Raid2022/09/04

アウディ、来季ダカールのRS Q e-tron E2を発表

(c)Audi

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 アウディは、2023年のダカール・ラリーに参戦するRS Q e-tron E2を発表した。このマシンは今年のダカールに史上初の電動ドライブトレインを搭載してラリーレイドデビューを果たしたRS Q e-tronの後継マシンとなり、その名称のE2は、1980年代に世界ラリー選手権を席巻したグループBマシン開発の最終段階で投入された、伝説のラリーカー、アウディ・クアトロスポーツE2を想起させる

 アウディはさせ、カルロス・サインツ、ステファン・ペテランセル、マティアス・エクストロームの3台体制で参戦、電気自動車の大きな可能性を世界に証明することになったがトラブルも重なったことで、最上位はエクストロームの総合9位にとどまった。

 新型RS Q e-tron E2は、このマシンに空力的な大幅に変更、パワートレインの制御を大幅な改良したほか、数10kgに及ぶ軽量化を図っている。チーフデザイナーであるアクセル・レフラーは、新しいマシンは、先代のボディパーツをひとつも採用していないと語る一方、効率の向上と低重心化を目指して全体の重量を減らしていると語った。

「新しいRS Q e-tron E2は先代モデルと共通のボディパーツは一切使用されていない」とレフラーは語った。

「新しいモデルではBピラーの左右にあるリアフードのアンダーフローを廃止している。これらの部品を取り除くことで、電気自動車に必要なエネルギーをさらに削減することができる。空力計算は、すべて数値流体力学(CFD)を用いて行っている」

 新しいE2は、車体上の空気の流れを高めるために、ボディシェル全体が新設計となっており、先代よりも視覚的にずっとコンパクトになっている。

 空気抵抗は最大15%低減され、最高速度は170km/hに制限されるが、ダカールで何度も優勝しているステファン・ペテランセルは、新しいE2がより効果的にこの速度を達成できると考えている。

「確かに、車重は少し軽くなったように感じるよ」とペテランセルは説明する。「トップスピードも速くなった。自由に加速できるような印象だし、まるで抵抗がないみたいなんだ」。

 ダカール・ラリーのT1Uクラスの最低重量はこれまでの2000kgから2023年には2100kgへと引き上げられるが、先代モデルはこの重量を大幅にオーバーしていたため、新型E2では数10kgの軽量化が図られ、最低重量ぎりぎりの2100kgに収められている。

 新型E2にはフォーミュラEカーAudi e-tron FE07のモータージェネレーターユニット(MGU)を3基搭載、フロントとリヤのアクスルを各1基ずつのMGUが駆動し、3基目のMGU はフロントアクスルに搭載され、TFSI 2.0リッター 4気筒ターボエンジンによって発生する電力を充電し、さらに、ブレーキング時にエネルギーを回収するための高効率エネルギーコンバータとして機能する。搭載するバッテリーの容量は52 kWh 、重量はわずかに軽くなり370kgとなっている。

 また、アウディは今年のダカールでは、ジャンプしたり不整地を走ったりしたときに瞬間的なエネルギー過剰になり、レギュレーションの出力規制を超えることが判明したため、クルマのリアアクスルに搭載されるMGUからの電力量を制限する措置をとるなどパワートレインの制御システムが大幅に改良されている。

 今回のダカールでは、序盤からタイヤのトラブルやサスペンションの不具合で走りが中断されたことから、E2は、大きな懸念材料となっているパンク時のタイムロスを軽減するため、スペアタイヤを簡単に取り外しができるデザインを採用している。

 アウディ・スポーツの車両オペレーション責任者であるウーヴェ・ブリューリングは、ロティフォーム社製の新しい10本スポークリムや、スペアタイヤへのアクセスを車体側面から容易にしたことを、教訓として挙げている。

「私たちは、非常に短い時間で重要な教訓をすべて組み合わせた」とブリューリングは語っている。

「開発チームの決意とコスト効率の高い仕事により、2回目のダカール・ラリーに向けて完璧な準備が整った」

 新型E2はスペインのサラゴサで初期テストを行った後、10月のラリー・デュ・マロックに出場し、冬に向けてダカールの準備を本格化させる予定である。