WRC2020/05/19

アダモ、ランチアのリモーネにチーム指揮を学んだ

(c)Hyundai

 ヒュンダイ・モータースポーツのアンドレア・アダモは、彼のリーダーシップがランチア・ワークスで最も成功したラリーカーであるデルタ・グループAの責任者だったセルジオ・リモーネに学んだものだと明かした。

 アダモがアバルトに開発者として加わったとき、すでにランチアはラリー活動を終えていたが、アバルトでのアルファDTMとスーパー・ツーリング・プログラムへ移っていたリモーネのもとで1995年から仕事を始めている。

 アダモは彼のキャリアで最も影響を与えた人物について尋ねられると、「リモーネだ。セルジオは特別だった」と即答した。

「いま私が使用しているルールと方法について質問されることが多いが、それらに答えるには自分のルーツを遡って、私が若いチーフデザイナーだった頃やセルジオのデザイナーだった古き良き頃を思い出す必要がある。私たちは毎回、ルールをそれぞれ読み、意見交換をしていた。セルジオはそれらの問題について私にとって非常に素晴らしい先生だった。そして私はいつも、枠に囚われずに考えるという彼からの大きなレッスンを思い出す。セルジオは私の人生で出会った中で最も賢い人物の一人だと思う」

「リーダーシップは重要だ。明確な組織を持つ必要があることは、当時の大きな教訓だった。全員で一緒に何が起きているのかを判断しているのではない。そうではなく、重要なのは明確な組織であり、明確なリーダーシップだ」

 空気力学の見習いとしてトリノ大学からアバルトに入社したアダモは、レース・エンジニアリングを経てデザイン部に進み、リモーネの推奨によって最終的にテクニカル・ディレクターになった。しかし、アバルトは変化していた。リモーネが去ったため、アダモは不満を募らせた。

「私は彼らと仕事をするのが大好きだった。私はチームの中で、彼らにとっての子供のようなものだった。働き始めたとき、私は若かったからね。しかし今や彼らが引退を迎えているのは信じられない。彼らはまだ私を彼らの子供のように考えてくれている。そういう長いストーリーがあったので、私がアバルトを去る時は、非常に感傷的になった」

 アダモはその後、JASモータースポーツによるWTCCプログラムなどに関わったあと、2015年にエンジニアとしてではなく、カスタマーレーシング部門のマネージャーのポジションでヒュンダイ・モータースポーツに招かれた。

「私はアルツェナウに来て、多くの人々と出会い、R5でチームをディレクションした。私は(当時のチーム代表である)ミシェル・ナンダンと会社の代表の人々と話したが、この担当者は私で決まっていたわけではなく、選ばれないかもしれないと考えていた」

 アダモは昨年の開幕前、ナンダンに代わってチームを引き継いだ。なかなか結果がだせなかったナンダンは事実上の更迭だったが、アダモは彼の前任者の選択してきたチームづくりを批判するつもりはない。

「我々はまだ、すべてを学ぶには十分な時間を過ごしていない。改善するためのすべての小さなミスをまだ経ていないが、人生にはノーと言えない瞬間がある」とアダモ。

「もし私がyだったら、xをやったとは言えない。もしかすると私はもっと悪いない選択をしたかもしれないし、後悔するようなタイプではない。私は行動するタイプだ。忘れないでほしいのは、私はすでにドライバーとマニュファクチャラーの両方で世界選手権を競っていたチームの代表になったということだ。忘れて良いことではない」

「誰もが自分のやり方で物事を行なう。私も自分のやり方で物事を行ない、組織や変更が必要なその他のことを少し変更した。しかし、時間をかけて整理して、それから進もうと言うことができない現実にも直面した」

「私はすでに優勝を経験しているチームを引き受けて、いくつか変更した。そして、私たちは進化し続けている。私は物事をどんどん良くしようと努力した。最初の年に勝てたことは幸運だったが、つまりチームは非常に良かったということだ。以前勝てなかったことにはさまざまな理由があり、私が完全に理解することはできない」

 アダモは、勝つための組織をつくることがリーダーシップだと捉えている。

「私が知っていることは、自分のやり方と勝利への意欲をもたらしたことだ。そして今、我々に改善すべき点があることも知っている。私は幸運だ。私と一緒に働いている賢い人たちがいて、これらの決定のほとんどをアラン(・ペナス)と共有してきた。彼は本当に私よりもルールをよく読んで知っている。ほとんどの場合、我々は同じページにいて、いつ細かなことを変えるべきか理解している。ドライバーを変更したり、路上で走行ポジションを交換する戦略をとったとき、彼が異議を唱えてきたことはあったが、結局、我々は勝つために雇われているということだ。そしてリーダーシップは結果をもたらさなければならない」