RallyCross2017/04/03

エクストロームが世界RX開幕戦で優勝

(c)FIAWorldRallycross.com

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 2017年の世界ラリークロス選手権開幕戦のバルセロナRXは、マティアス・エクストローム(アウディS1 EKS RXクアトロ)とティモ・シャイダー(フォード・フィエスタRXスーパーカー)によるDTMチャンピオン同士の優勝争いとなり、昨年のRXチャンピオンのエクストロームが接戦を制して今季初優勝を飾り、タイトル連覇に好スタートをきった。

 エクストロームは予選Q2の途中で降り始めた豪雨によって初日は11位と出遅れたものの、Q3でのトップタイムによって予選2位でセミファイナルに進出、王者の貫禄をみせたものの、それ以上に週末を通して驚きの速さをみせたのは過去2度、DTMでチャンピオンになっているシャイダーの躍進だ。

 MJPレーシング・チーム・オーストリアから今季フル参戦を果たすシャイダーは、予選Q2の雨を逃れ、予選初日を2位で終えることになったが、その速さは天候に味方されたものだけではなかった。ドライとなった最終日もQ3で2位、Q4で5位につけて堂々の予選トップとなっていた。

 ファイナルでは、2番グリッドにつけたPSRXフォルクスワーゲン・スウェーデンのヨハン・クリストファーソン(VWポロGTIスーパーカー)がスタートでエンジンストールして出遅れるなか、エクストロームがポールポジションから素晴らしいスタートを決めて1コーナーをトップでクリア、セミファイナルで2位となったシャイダーは2列目のグリッドからのスタートだったものの、クリストファーソンのトラブルにまきこまれることなく、さらに混戦の1コーナーを巧みにすり抜けて2位へと浮上することになった。

 その後もエクストロームがリードし、シャイダーが追う展開がファイナルラップまで続き、わずか0.362秒差でエクストロームが逃げ切り、今季初優勝を飾ることになった。

「昨日は僕のラリークロス・キャリアのなかでももっともチャレンジングなものだった」とエクストロームは語った。「しかし、今日は天気も改善し、いい走りをみせることができた。正直言って、ティモ(・シャイダー)の速さは非常に印象的だったと認めざるを得ない。おまけに彼はプライベートのチームだしね。台数も多く、タイム差はないのでこれからも接戦になるだろうし、素晴らしいシーズンになるだろうね」

 2位となったシャイダーは、このような素晴らしい週末になることを想像もしてなかったようだ。

「バルセロナにくる前に、ほとんどテストをしていなかったので、非常に驚きました。スペインには何の期待もなかったが、最終的には僕のレースの人生における最も特別な瞬間の一つとなった。DTMで16年を過ごしたが、今はラリークロスの人生を愛しているよ」とシャイダーは語った。

 開幕戦3位は、フーニガンレーシング・ディビジョンのアンドレアス・バックルド(フォード・フォード・フォーカスRS RX)。バックルドは雨で滑りやすくなったQ2ではペター・ソルベルグ(VWポロGTIスーパーカー)に接触されてリタイアとなり、セミファイナル進出が危ぶまれたが、Q3で3位、Q4でもトップタイム、予選4番手で順当にファイナルへと駒を進めてきた。バックルドはファイナルの1コーナーで立ったあとも3位をキープ、3ラップ目でジョーカーの際にソルベルグに3位を奪われるも、4周目の1コーナーでスリリングなパスシーンをみせて開幕戦を3位で終えている。

 ただ1チームだけファイナルに2台を送りこむことに成功したPSRXフォルクスワーゲン・スウェーデンだが、ソルベルグにとっては不運が連続する週末となった。Q2の雨で初日12位と出遅れ、Q3で4位、Q4で2位となり、予選5位だったソルベルグは、3列目のグリッドからスタートしたファイナルでは、チームメイトのクリストファーソンのスタートミスに影響されてジャンプアップがかなわず、バックルドとの接戦に敗れて4位でのフィニッシュとなった。

 チーム・プジョー・ハンセンのティミー・ハンセン(プジョー208 WRX)が5位、クリストファーソンはスタートミスの遅れを挽回できずに6位でのフィニッシュとなっている。

 また、セバスチャン・ローブ(プジョー208 WRX)はQ3で左フロントのドライブシャフトを破損、セミファイナル進出を逃している。

 世界ラリークロス選手権次戦は3週間後の4月22〜23日にポルトガルで行われるモンタレグレRXとなる。