エストニアが世界ラリー選手権のカレンダー入りを目指し、野心に満ちた3年計画に着手している。
7月12-14日にエストニアのタルトゥを拠点としてスタートするラリー・エストニアは、数週後にバルト海を挟んだ隣国で行なわれるラリー・フィンランドに参戦するクルーたちにとっての、おなじみのウォームアッブの場となっている。
エストニアはWRC以外では、どのラリーよりも多くのエントリーを集める人気の高いイベントとなっており、来週も4つのワークスチーム全てが参戦する予定で7台の最新世代のWRカーが走ることになる。
地元出身のドライバーでWRCポイントリーダーのオイット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)もその中の一人であり、彼の師匠で友人、2010年にラリー・エストニアのウィナーであるマルコ・マルティン(フォード・フィエスタWRC)も参加するほか、エサペッカ・ラッピ(シトロエンC3 WRC)、エルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)、アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)、クレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC)も出場する。
エストニアのイベント・ディレクター、ウルモ・アーヴァは、WRCイベントの安全基準を引き上げることを期待したWRCの招致活動を準備するとともに、観客に向けた革新的な試みを計画しているという。
「世界ラリー選手権は我々のプランの中にある。誰もが言ってくる、『それは不可能だ、夢を見ているに過ぎない』と。だが、我々はあきらめることはしない」と、アーヴァは語っている。
「我々にはこのイベントを育てていくための3年計画があるが、これは少しばかり違ったやり方で行なっている。これまでにはフィンランドに向けてテストをするチームのためになる道路をつくってきた。だが今は、イベントの将来に向けてそしてファンのために、道路をつくり、準備を進めている」
「確かにまだまだフィンランドを象徴するようなジャンプを作り、サーフェイスを固めにしているが、我々がやろうとしているのは観戦するファンのために限りなく安全な環境を提供していくことだ」
「我々は特別に指定された観戦エリアを作り込んだ道路をつくっている。こうした場所では、ファンたちが安全な状態で1kmほどにわたってクルマをフォローしていけるようになる。だが当然、それをラリークロスのトラックのような感じにはするつもりない」
「我々の新しいプランと、WRCイベントを開催するという目標においては、観客の一人一人すべてに対応しなければならないということを理解している」
「安全性というのが当然メインになってくるが、我々はそこがファンの人たちにとって最適な場所になるようにしなければならない。それはつまり、快適な駐車場、食事、トイレ、大画面のビデオスクリーンといったすべての要素を満たすこと意味している。我々はそういう部分に取り組んでいる」
エストニアは今年、公式なWRCプロモーション・イベントとしての地位を確立しており、それは基本的に毎シーズン、キャンディデート・ラリーとして開催することが可能であることを意味する。
アーヴァは、エストニアが2022年より前に世界選手権のイベントとなることはない、と断言している。控え目な目標にも思えるが、着実に実行可能なプランを彼は目指している。
「我々は2022年より前に(WRCという)目標を実現したいと思っていない。我々がそこに到達し、またやりたい時は、すべての組織に準備万端であってほしい。2022年よりも前にそこにたどり着いたなら、我々は普通レベルのものしかつくれない。そんな平均的にはなりたくない」
「WRCラウンドのための政府による資金提供は設定されているが、それは毎年10月にリニューアルする必要がある。我々は政府からとてもしっかりとした支援を受けている。政府は我々やっていること、そしてWRCにたどり着くことが(イベントの)開発計画の中にあることを理解してくれている」とアーヴァは語っている。