WRC2020/07/04

エストニアのWRC開催で、ラリーDirtFishは中止へ

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 ラリー・エストニアが世界ラリー選手権として初開催されることが決まったことで、ラリーDirtFishの短い道のりに終止符が打たれた。

 ラリーDirtFishは、今年の年初にラリー・エストニアとエストニア・オートスポーツ連盟の契約金をめぐるトラブルが起きたあと、同連盟がアメリカに本拠をもつDirtFishの支援によって今年の夏にまったく新しいイベントとして南部ヴァルガ地域のオテパーを拠点として開催を目指したものだった。ヒュンダイ・モータースポーツもこのイベントにオイット・タナクとティエリー・ヌーヴィルがヒュンダイi20クーペWRCで参戦することをすでに決定していた。

 しかし、世界ラリー選手権のカレンダーを再開するために、昨年までWRCプロモーションイベントとして開催している実績をもつラリー・エストニアのWRC開催に注目が集まることになり、政府としても今季のうちにエストニアでWRC開催を目指すことを決定、エストニア・オートスポーツ連盟もラリー・エストニアへの協力について合意することになり、ラリーDirtFishの中止を決めることになった。

 DirtFish CEOのジャスティン・シンプソンは、この動きについて次のように説明した。

「オテパーでのラリーDirtFishは、たとえWRCイベントではなくても、エストニアで今年、注目度の高いラリーを開催できるという考えから生まれた」

「オイット(・タナク)との関係やエストニア・オートスポーツ連盟とのつながりから、このようなラリーを実現するためにできることは何でも支援したいと思っていた」

「ラリー・エストニアがWRCとしてオイットの地元で開催される今、そこから焦点やリソースを奪う必要はない。エストニアとすべてのラリーファンのために、エストニアのWRC参戦を心から楽しみにしている」

 ラリーDirtFishはエストニア初のWRCラウンドで予定される南エストニアの道路を使用する予定だったため、状態の良い道路を維持しておくこともイベント中止の理由の一つだ。

 シンプソンはエストニアでのラリーを諦めたが、北米でラリーDirtFish を開催してWRCを目指す可能性を示唆している。

「我々はエストニアにおいてラリーDirtFishのイベントがどのようなものにするかを吟味したり、また、自分たちでラリーを主催するという機会を十分に味わった」

「憶測を呼ぶつもりはないが、大西洋のどちらの側においても、これがラリーDirtFishの終わりではないとだけ言っておこう」

 タナクは、DirtFishがすぐに歩み寄ってくれたことに感謝した。

「ラリーDirtFishは素晴らしいイベントになっただろう。開催することができれば良かったが、でも今はWRCに集中しなければならない」

「ジャスティンと彼のチームには、彼らが協力してくれたこと、そしてラリーDirtFishのために計画してくれたことすべてに感謝したい」

「彼らがWRCラウンドを手伝う準備ができているのは良いニュースだ。WRCがエストニアで開催されることは特別なことになるだろうし、DirtFishはそれを本当に興味深いショーにするのを助けてくれると確信している。僕たちは一緒に素晴らしい仕事をすることができる」