WRC2019/11/02

オジエ、来週ヤリスWRCを極秘テストか?

(c)Yukari Okamoto/RALLY-X mobile

 新チャンピオンのオイット・タナクの衝撃的なヒュンダイ移籍が明らかになった今、2020年のWRCシーズンにむけた最大の焦点は、トヨタがセバスチャン・オジエとサインするかどうかということだ。

 タナクの移籍によって、来季のトヨタのチーム体制についてはさまざまな憶測が舞っているが、オジエのトヨタ入りというさらなる衝撃的なニュースが舞い込んでくるかもしれない。フィンランドでは来週行われるトヨタ・ヤリスWRCの緊急テストにむけた準備が進められているようだが、これはオジエのためのテストドライブになるとの噂も囁かれている。

 オジエは、フォルクスワーゲンがWRCから撤退した後、2016年末に移籍先の候補としてトヨタのヤリスWRCをテストしたが、けっきょく彼はMスポーツと契約し、トヨタのトミ・マキネン代表のラブコールを断った過去をもつ。

 しかし、オジエは昨年末、移籍先についてマキネンと交渉を試みたが、このときには今度は彼が鼻先であしらわれた恰好となり、2年間の契約でシトロエンに加わることになった。

 こうした過去の経緯があることから、6度のチャンピオンと4度のチャンピオンによる夢のチームの実現を疑問視する声もあり、なによりもオジエとシトロエンとの契約はあと1年残っており、このチームを最後に2020年末にラリーから引退するという従前の決意が揺らぐことはないとも考えられている。

 ラリー・デ・エスパーニャの後、将来について尋ねられたオジエは、次のように答えている。

「これらの質問について考えるのは、今は適した時ではないかもしれない。このラリーを終えて感情が高ぶっているからね」

 スペインのゴール後、オジエとマキネンのニアミスが目撃されている。先にポディウムを終えたオジエがパルクフェルメにクルマを止めに行くところで、マキネン代表がC3 WRCに駆けよってオジエとがっちりと握手を交わしているが、これはライバルの健闘を讃えるためだったのか、それとも今後の交渉を約束したのかはっきりしていない。

 シトロエン・レーシングのチーム代表であるピエール・ブダールは、オジエの噂に関して次のようにコメントしている。

「彼(オジエ)は来年、我々と契約を結んでいる」

 ブダールは以前にも2020年までシトロエンがWRCに参戦することは100%確定していると約束しており、オジエとの来季の契約はこれを裏付けているものだが、それにもかかわらず、シトロエンの撤退とオジエのチーム離脱に関する噂は根強く、とくにオジエの妻アンドレア・カイザーのtwitterにおけるチーム批判は、こうした状況を把握したうえでの発言だとも囁かれている。

 ブダールは「我々は(来季にむけて)さまざまな準備を行っていることはみんなよく知っているはずだ」と短く付け加えている。

 なお、一部のインサイダーは、過去の例を見ても、オジエとシトロエンの契約には解除できる条項が含まれていると指摘している。