WRC2018/03/11

オジエ、波乱メキシコの首位に浮上

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 2018年世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコは、10日にDAY2を迎え、波乱の一日を制したセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が首位に立っており、昨年の勝者であるクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)が35.9秒差の2位につけている。

 ラリー・メキシコの土曜日はオープニングSSでいきなり首位が交代するドラマチックな幕開けとなった。金曜日を7.2秒差の2位で終えたセバスチャン・ローブ(シトロエンC3 WRC)がSS11グアナファティート(30.97km)で金曜日を首位で終えたダニエル・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)を12.3秒を上回る劇的なベストタイムを奪い、5.1秒差をつけてラリーをリードすることになった。

 ローブは、トラブルで遅れたオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が巻き上げるダストのなかを走ることになったが、彼はペースを落とさなかったと語った。「ステージの最後で彼のダストを見たが、減速しなかった。だからまったくタイムは失わなかった。一日の良い出だしとなるように努力した。最初のステージのリズムは、僕にとって重要だからね。思いっ切りプッシュし、良いフィーリングを持つことができた」とローブは語った。

 そのタナクはローブの3.8秒差の3位につけていたが、ステージ途中でパワーを失ってスローダウン、2分46秒をロスして、3位から6位へと後退することになった。タナクは言葉少なく、「問題が何か分からない。僕たちはたぶん20馬力しかない・・・」と語って走り去ったが、その後、ロードセクションでリタイアとなった。

 タナクのリタイアによってシトロエンのミークが3位に浮上、このステージで2番手タイムを奪ったオジエもミークの1.1秒差に迫っている。

 2015年のラリー・モンテカルロ以来となるラリーリーダーとなったローブは、2013年以来となる勝利への強い意思をみせるかのようにペースをキープ、SS12オテーツ(26.37km)でもソルドを0.9秒引き離したが、SS13エル・ブリンコ(9.98km)ではソルドが3.1秒を縮め、二人の差は2.9秒と縮まって朝のループを終えることになった。

 ソルドは、エル・ブリンコでの2番手タイムで昨日までの勢いを取り戻しつつあるようにも見える。「マシンのバランスはかなり良くなった。今朝のスローなステージではトラクションに苦しんだが、高速なステージでは良くなった。タイムを少し取り戻せて嬉しい」

 しかし、この2つのステージでは二人の後方につけていたミークとオジエも1つずつベストタイムを分け合い、首位から15.5秒差の3位に並ぶことになった。

 ミークは、首位から25秒差でDAY2をスタートして、ここまで10秒を縮めることに成功、エル・ブリンコでのミスがなければさらにトップに近づけたはずだと悔やんだ。いっぽう、30.2秒差でこの日を迎えたオジエもスターターモーターに問題を抱えながらも、エル・ブリンコでこの週末2つめのベストタイムを獲得して3位のミークに並び、すっかり追撃モードの状態だ。

 オジエはサービスを挟んだあとのグアナファティートの2回目の走行でもベストタイムを重ね、ミークも3.8秒差の2番手タイムで続き、戦いから一歩も引かない構えをみせる。だが、3位を争っていたはずの二人の後方で、首位争いをしていたローブとソルドに相次いでドラマが起きる。首位のローブは左フロントをパンク、交換作業を行ったため2分23秒を失い、5位へと後退することになった。また、2位につけていたソルドもタイヤのディラミネーションを起こして30秒をロスして後退、これでオジエが首位に立つことになった。

「ライン上にある石だった。そんな大したことではない。あれでパンクするとは思わなかった」とローブ。また、バラバラになりそうなタイヤでステージをゴールしたソルドは、ローブがタイムロスしてすぐ目の前にいるのに気づき、「なんてことだよ」と思わず天を仰ぐことになった。

 これで首位争いは、オジエと3.8秒差で続くミーク、そして17.4秒遅れのソルドに絞られることになった。だが、SS15オテーツではこの3人に決定的な差がつくことになる。26.37kmのこのステージでミークは最初のスプリットでオジエを1.2秒上回る素晴らしい速さをみせたが、流れるリヤを抑えきれずにスピン、巻き上がったダストのなかでコースを戻ってターンしなければならなかったために30秒をロス、連続してベストタイムを奪ったオジエから34.5秒の遅れとなってしまった。

 ミークとソルドの順位がここで入れ替わるかに見えたが、スペアを使い果たしたソルドももはや攻めることはできずに24秒をロス、ミークはどうにか2位をキープすることになった。

 オジエはSS16エル・ブリンコでもベストタイム、レオン・モーターレーシング・サーキットにつくられた2台併走のスーパーSSはシケインに接触してひやりとさせたが、残されたストリートステージ・レオンでも首位をキープ、ミークに35.9秒の差、3位のソルドには46.8秒の差をつけて土曜日をフィニッシュすることになった。

 アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)は、オジエと1.5秒差で土曜日をスタート、表彰台バトルに加わるかとも思われたが、マシンにしっくりとしたフィーリングが得られないのか、どうしてもペースが上がらない。ペースノートのミスもあり、朝のループではトップグループに50秒も引き離されて5位となってしまった。それでもローブが5位に後退したことで彼は4位に浮上して土曜日をフィニッシュしている。

 昨日に続いて一番手のポジションで路面掃除を行ったティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)は、オープニングSSではウォータースプラッシュのあとでエンジンがストップ、再始動に1分あまり要し、さらに終盤のスローパンクによって首位からは3分58秒遅れとなったが、タナクのリタイアによって6位へと順位を上げることになった。

 明日の最終日は24.32kmのアルファロのステージで始まり、11.07kmのラス・ミナースがそれに続く。さらにノーサービスで行われる2回目のラス・ミナースがパワーステージとなっている。オープニングSSは現地時間8時18分(日本時間23時18分)のスタートが予定されている。