WRC2019/01/27

オジエ、熱闘モンテDAY3も首位をキープ

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(c)Toyota

 2019年世界ラリー選手権(WRC)開幕戦のラリー・モンテカルロは、土曜日にDAY3を迎え、6年連続勝利を狙うシトロエン・レーシングのセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)が緊迫した争いの続いたDAY3も首位をキープしたが、ヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)も一歩も引かぬ走りで4.3秒後方でプレッシャーを掛け続けている。

 朝7時の時点でマイナス7度という寒い朝を迎えたギャップ。オープニングSS、アニェール・アン・デヴォリュイ〜コール(29.82km)は雪こそ降ってないが、多くのコーナーが凍結しており、ラリー2で再出走したポントゥス・ティデマンド(フォード・フィエスタWRC)が5km地点でタイヤ交換のためストップしたほか、エサペッカ・ラッピ(シトロエンC3 WRC)もミスファイアのあとエンジンの原因が疑われるトラブルでコースから外れてマシンを止めるなど波乱の幕開けとなった。

 オープニングSSのドラマはさらに続いた。トップグループと1分以上の大差をつけられていたとはいえ3位につけていたアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)が最後のコーナーの出口でグラベルに乗ってスライド、左リヤを石の壁にヒットさせてしまいタイヤを吹き飛ばしてフライング・フィニッシュの後でリタイアとなってしまった。

 雪と氷のトリッキーなこのステージで好タイムをマークしたのはトヨタ勢。オイット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)がベストタイム、クリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)が2番手タイム。前日のタイヤ交換で7位と8位でこの日を迎えたが、ともに追い上げが期待できそうな素晴らしいペースをみせることになった。

 そして、注目のトップ争いは、2位のヌーヴィルに2秒差をつけてこの日を迎えたオジエが3番手タイム、ヌーヴィルとの差を5.6秒差へと広げて発進することになった。

 続くSS10サン・レジェ・レ・メレーズ〜ラ・バティ・ヌーヴ(16.87km)ではオジエがスタッドとスーパーソフトをクロスに使用したのに対してヌーヴィルはスタッドとソフトを選択、タイムはヌーヴィルがオジエを0.3秒上回ったが。彼はこの組み合わせを後悔することになった。「スーパーソフトで行くべきところだった、非常にスリッパリーだった。走りとしては良かったが、タイヤ選択は間違いだった」

 朝の2つのステージを走り終えて5.3秒差をつけて首位をキープしたオジエは、トリッキーな朝だったために慎重なアプローチだったと認めたが、「ティエリーとのバトルはキツいが、今のところいい感じできている」と語り、モンテの勝利にむけて計画どおりに進んでいると自信をみせた。

 二人の後方は激しい3位争いが続いている。オープニングSSでミケルセンがリタイアしたことで、3位にはセバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)が浮上したが、すぐさまヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)がSS10の2番手タイムで3位を奪いとり、ついに表彰台圏内へとポジションを上げることになった。

 午後のループはふたたびラリー最長となる29.82kmのコールへと向かうロングステージで再開する。朝のループでは3.6秒差をつけられたヌーヴィルはここではオジエを1.2秒上回り、4.1秒差の後方へとじわりと近づくことになった。

 さらにラ・バティ・ヌーヴへと駆け下りるこの日最後のステージでもヌーヴィルは、チャンピオンに近づくべく限界でギリギリで攻め込む。「彼はステージをよく知っているので、気をつけなければならなかった。でも、アイスがあったところは慎重に行ったが、あとはこれ以上できないくらいリミットだった」

 だが、オジエはさらにその上を行く走りをみせてヌーヴィルを0.2秒上回り、その差を4.3秒へと広げて一日を終えることになった。

「ポジティブな一日だったし、大きなリードを手にすることができた。なんといっても今朝の2倍だからね」と、オジエは陽気な笑顔をみせて冗談を言ったが、このバトルが明日はさらに厳しいものになることを予感している。

「僕らもここではプッシュしたし、C3もじょじょに僕らのものになりつつあることを感じているよ。本当にティエリーとは厳しいバトルになっている。彼は勝とうとするだろう。僕は彼を知っている、彼は僕のすぐ後ろにいるし、きっと諦めないだろう。二人とも勝ちたいからね」

 ローブとラトバラの激しい3位争いは午後のループでも続いたが、ローブが2つのステージでともにラトバラを上回り、2.3秒差ながら3位につけて最終日を迎えることになった。「いいセットアップが見つかったので午後のループでは自信をもって攻めることができたね。もちろんもちろん楽しんでいるさ」と、ローブは目を輝かせていた。

 4位に転落したとはいえ、ラトバラもこのまま終わるつもりはない。「出来る限りプッシュしようとした。まだアンダーステアが少しあるが、昨日に比べて僕らのクルマにあっているし、いいペースになりつつある。バトルは素晴らしいし、明日も全力を尽くすよ」

 タナクは上位陣のなかではただ一人だけスタッドのないウィンタータイヤをチョイス、スーパーソフトとの組み合わせて臨んだ午後のループでも無敵の速さをみせた。彼はこの日の4つのステージすべてを制して4位のラトバラの15秒後方、3位のローブまで17.3秒差まで迫ってみせた。「明日の4ステージでこの差を詰めるのは、ターマックだけに厳しいが、それでもマシンのフィーリングはいいのでベストを尽くす」と、彼は表彰台への野心をみせた。

 タナクの3分あまり後方には、この日3つの2番手タイムで急浮上してきたミークが続き、トヨタが4-5-6位を占めることになった。

 6位で土曜日をスタートしたエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)はオープニングSSでのパンクのために1分をロス、さらにSS10の日陰の高速コーナーでブラックアイスに乗ってワイドになってディッチを滑り落ちてクラッシュ、リタイアとなっている。ラリー・モンテカルロでの規則では、土曜日のリタイアは明日の最終日のラリー2を認めていないため、エヴァンスとともにこの日を走りきることができなかったミケルセン、ラッピはいずれもこれでラリーを終えることになった。

 ラリー・モンテカルロはギャップで行われたこのラリーの最後のサービスでクルマのチェックを行ったあと、モナコにむけて240kmあまりを移動する。明日の最終日はわずかに4SS/63.98kmが残されるだけとなっているが、有名なチュリニ峠を駆け抜けるラ・ボレーヌ・ヴェジュビー〜ペイラ・カヴァなど、幾多のドラマを生んだ決戦の舞台がチャレンジャーたちを待ち受けている。