WRC2018/04/07

オジエ、33秒差をつけてコルシカ初日をリード

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 世界ラリー選手権(WRC)第4戦ツール・ド・コルスが金曜日に開幕、Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチームのセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が3つのベストタイムを並べて初日をトップでフィニッシュ、33.6秒差の2位に昨年のウィナーであるティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)が続く展開となっている。

 ラリーヘッドクォーターがおかれるコルシカ島北部のバスティアはこの日、青空が広がった朝を迎えることになった。しかし、オープニングSSの49kmを越えるタフなラ・ポルテ〜ヴァレ・ディ・ロスティノのステージは、ほぼコース全域がドライながらところどころ水曜日の大雨の影響で湿ったコーナーが残る難しいコンディションとなるなか、一番手のポジションでコースに臨んだオジエが快心のベストタイムでステージを駆け抜けてラリーは始まることになった。

 だが、オジエはステージエンドで「かなり苦戦して何度かスピンしかかった」と訴えるなど、自身の走りにけっして彼は満足していたわけではない。ステージスタート時点での路面温度は5度と低く、ハードタイヤではグリップが苦しく、オジエですらタイトターンでほとんどエンジンストールしかかったほどだった。

 しかし、一番手でステージをフィニッシュしたオジエには後続のドライバーたちがさらなる苦難を強いられていることなどわかりようもない。ハードタイヤはやっと温まったかと思えば湿ったコーナーでふたたび冷え、なかなかいいグリップが得られない。トヨタ勢でトップのオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)も18.1秒差、昨年リタイアするまでラリーをリードしたクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)も19.1秒差をつけられ、スタート前から自信をみせていたヌーヴィルでさえも21秒をつけられてしまい、5番手でのスタートとなってしまった。

 だが、ステージに苦戦するWRCのレギュラーメンバーたちを余所に、2008年以来10年ぶりにコルシカを走ったセバスチャン・ローブがふたたび驚くべき速さをみせることになる。9番手という不利な後方からスタートした彼は、前走車によって土や砂がかき出されて汚れたコースにもかかわらず、オジエから9.7秒遅れの2番手タイムにつけることになり、ターマックの聖地にも喩えられてきたツール・ド・コルスで、これまで一度も実現したことがなかったオジエ対ローブという新旧王者による完全一気討ちの展開になることを予感させた。

 だが、ローブは続くSS2ピエイグリッジョ〜ポンテ・カスティルラ(13.55km)をスタートしてわずか400mの地点の右コーナーの出口でスライドしてリヤタイヤをダートに落とし、連続する左コーナーのブレーキングが間に合わなかったためにコースオフしてしまう。彼のC3 WRCはひどいダメージを受けたわけではないが、1メートルほど深いディッチからの脱出は不可能、彼はここで無念のリタイアとなってしまった。

 オジエはこのSS2でも連続してベストタイム、後続に対して早くも21.1秒をリードしてバスティアのデイサービスへと帰ってくることになった。「このステージではインカットによってさらにタイムを縮めることは可能だったが、パンクを避けるために慎重に行った」と余裕の笑顔をみせている。

 インターコムのトラブルに悩まされながも2番手タイムを奪ったミークが21.1秒差ながらも2位に浮上、3番手につけるも23.4秒遅れという想定外の遅れとなったヌーヴィルは、「クルマが思ったとおりに機能してくれないんだ」と不満そうな表情でマシンのグリップ不足を訴えた。

 オジエの速さは午後のループになっても変わらない。49kmのラ・ポルテのステージの2回目の走行でも彼は2番手タイムのヌーヴィルを10.3秒も上回るベストタイム、この日最後のSS4では朝と同様に堅実なペースで1.8秒遅れの4番手タイムにとどまったが、2位のヌーヴィルに33.6秒差をつけて初日をフィニッシュすることになった。

 ヌーヴィルは朝よりも気温が上がってグリップするようになったSS3では2番手タイムでミークを捉えて2位へと浮上、インターコムが時折正常に機能しない問題が発生するミークに5.1秒差をつけて初日を終えることになった。

 4位で初日を終えたのはトヨタGAZOOレーシング・ワールドラリーチームでの初のターマックイベントに臨んだオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)。彼は朝のループではリヤが不安定だった症状に悩まされ、午後のループでは問題は少しずつ改善したが、それでもオジエからは44.2秒の遅れとなってしまった。

 この日、オジエ以外でただ一人ベストタイムを奪ったのはエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)だ。彼もまたツイスティなコーナーが連続するラ・ポルテのロングステージではグリップ不足でタイムが伸びなかったが、ハイスピードな最終ステージでは気持ちのいい走りをみせてチームメイトのヤリ-マティ・ラトバラを1.7秒上回ってコルシカ初のベストタイム、エルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)とダニエル・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)を一気に抜いて5位に浮上した。

 エヴァンスは、彼のレギュラーのコドライバーであるダン・バリットが前戦メキシコのケガの養生のために欠場、2003年にペター・ソルベルグとともにワールドチャンピオンに輝いたフィル・ミルズが代わってペースノートを読んでいるが、慣れないコンビネーションにもかかわらず、ラッピから0.3秒差の6位で続いている。

 ラトバラは長いオープニングSSでグリップ不足からいきなり46秒を失うなど、スタートから苦しい滑り出しとなり、首位から1分25秒遅れの8位という不本意なポジションで初日を終えた。それでも彼は気温が上がってグリップのあがった最終ステージでは2番手タイムを奪うなど、明日の巻き返しにむけていい手応えを感じているようだった。

 アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)は、SS1をスタートした直後のタイトターンでスピンしたあとすっかりリズムを失ってしまい、ラトバラから4.2秒差、首位からは1分29秒遅れとなっている。

 明日の土曜日は、あまり使われたことがないバスティアよりさらに北部のカニヤノ〜ピノ〜カナーリという島東部から西部へと横断するステージから始まる6SS/136.90kmの一日となる。オープニングSSは現地時間7時37分(日本時間14時37分)のスタートが予定されている。