WRC2020/12/04

オジエがモンツァ初日をリード、勝田は波乱

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 2020年世界ラリー選手権(WRC)最終戦のACIラリー・モンツァが4日にスタート、トヨタGAZOOレーシングWRTのセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)がトップタイムを奪ってDAY1をリード、ティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)が0.5秒差で続いている。

 ACIラリー・モンツァは金曜日の夕方に行われたSS1ソットゼロ・ザ・モンツァ・レガシー(4.33km)で開幕した。モンツァ・サーキットに作られたオープニングステージは、ツイスティなオープニングを経て、サーキットのコースへと進入、パラボリカからレティフィロのシケインを走ったあと、シケインやヘアピンがあるピットストレートを通過、グラベルのサービスロードからバンピーなバンクに向かったあとはメイントラックに戻り、最終シケインまでの短いグラベル区間を走る。

 SS1のスタート時点の気温は5度と低く、単純なようにも見えるサーキットの冷えたウエット路面に潜む魔物が早くも牙をむくことになる。最初の犠牲者になってしまったのは、TGR WRCチャレンジプログラムの勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)だ。シェイクダウンで4番手タイムを叩き出すなど速さをみせた勝田だが、シケインのブレーキングで予想以上にグリップがなかったためかオーバーシュート、コースに戻った際に雨で湿ったグラスセクションでマシンをスライドさせてしまい、コンクリートウォールに激突、ブレーキディスクを破損したためマシンを止めることになってしまった。

 この難しいコンディションのなかで好発進を切ったのはオジエだ。彼は、シェイクダウンでトップタイムをマークしたヌーヴィルに0.5秒差をつけるトップタイムを奪い、初日をリードすることになった。

「非常にシンプルだ。(タイトルのためには)僕は勝つ必要があるので、全力を出す必要がある。コンディションにかなり左右されるだろうから、僕たちは上手く走る必要がある」とオジエは語った。

 シェイクダウンのあとのこのオープニングSSでも引き続きいい走りをみせたヌーヴィルは、マシンの仕上がりに満足していると述べたが、天候がどうなるかわからないので明日以降はタフな戦いが待つとコメントしている。「何が待ち受けているかわからない。スリッパリーなコンディションで、タフな戦いになるだろう。僕らもここですでにちょっとワイドになった。だが、自分の走りにもマシンの動きにも満足している」

 オイット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)はオジエより2秒遅れ、チームメイトからは1.5秒遅れの3番手タイムでスタート、このステージを走っただけで、この週末にはなにかが起きることを誰も知ったはずだと語っている。

 一方、オジエに4ポイント差をつけて選手権をリードするエルフィン・ヴァンス(トヨタ・ヤリスWRC)はトップから2.7秒遅れの4位でオープニングステージを終えている。シェイクダウンの最初の走行で簡単に見えたシケインの通過の際にスピンを喫しており、ここでは少し慎重なスタートだったとふり返っている。「ここは、これでオーケーだ。少し慎重に走ったので、週末の間はこれより少し速く走る必要がある。ここは何とか終えることが重要だったし、まだ先は長い」

 首位から3秒差の5 位にはチームメイトのカッレ・ロヴァンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)、彼の後方0.7秒差には同タイムの6位にはダニエル・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)とエサペッカ・ラッピ(フォード・フィエスタWRC)が並んでおり、8位にはガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)が続いている。

 明日の金曜日もモンツァ・サーキットとその施設内の道路を使用した5SS/69.61kmとなる。天気予報は朝から小雨が降り、午後からは大雨になると伝えており、困難な1日が待ち受けることになる。