WRC2017/01/23

オジエ開幕戦優勝、トヨタのラトバラが2位

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 2017年WRC世界ラリー選手権開幕戦ラリー・モンテカルロは、22日に最終日を迎え、Mスポーツ・ワールドラリーチームのセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が最終日も首位を守りきり、4年連続開幕戦優勝を飾って新しいシーズンをスタートすることになった。また、ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が2位でフィニッシュ、18年ぶりにWRCに帰ってきたトヨタが復帰戦でポディウムを達成することになった。

 さまざまな波乱に見舞われた2017年ラリー・モンテカルロもいよいよ最終日の日曜日を迎えることになった。日曜日はモナコを見下ろす山岳地帯で争われる4SS/53.72kmという短い一日だが、雪が降る可能性もあると天気予報は伝えている。さらに、ノーサービスの一日となり、モナコ港沿いでの日曜日朝のサービスは行われず、タイヤフィッティングゾーンでのタイヤ交換のみを行ってドライバーたちはオープニングステージへと向かうことになった。

 それまでの3日間にわたってラリーを支配してきたティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20 クーペWRC)が前日の最終ステージでクラッシュするという波乱が発生したため、首位はオジエ、チームメイトのオット・タナク(フォード・フィエスタWRC)が47.1秒で続き、Mスポーツが1−2態勢で最終日を迎えることになった。
 
 いまにも雪が降り始めそうな暗い雲が上空を覆うものの、5.50kmのオープニングSS、リュセラム〜コル・サン・ロックは完全なドライ、これまでの雪のステージではペースの上がらなかったダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 クーペWRC)が息を吹き返したような速さをみせて初のベストタイムを獲得、旧スペックマシンを駆って彼の前に立ちはだかっていたクレイグ・ブリーン(シトロエンDS3 WRC)を捕らえて4位に浮上した。

 すでに大きなリードを得ているオジエはミスのない走りでここでは3番手タイム、さらに次のSS15ラ・ボレーヌ・ヴェジュビー〜ペイラ・カヴァでも手堅く4番手でまとめ、首位をがっちりとキープすることになった。

 だが、好調なスタートを切ったチームメイトに対してタナクは波乱に見舞われる。彼はSS14でエンジンが2気筒になるトラブルに見舞われて12.8秒をロス、ここではどうにか2位をキープすることになったものの、ミスファイアして不安定なエンジン音は事態の深刻さを物語っていた。

 タナクはすぐにロードセクションでマシンをストップ、チームの指示を受けながらマシンの修理を開始、30分あまりたって次のステージが始まる時間になってやっとエンジンを始動させて彼はステージへと向かうことになったものの、SS15のスタート前TCに5分遅れて50秒のペナルティを課されてステージをスタートすることになる。しかし、あいかわらずエンジンは激しくミスファイアしており、彼はさらに1分20秒あまりをロスしてトヨタのラトバラに抜かれて3位まで後退、さらに彼の後方にはドライターマックでペースを上げてきたソルドが46.6秒差まで迫ってきた。

 ラリーはまだ2回目のループを残しているが、次のSS16リュセラム〜コル・サン・ロックのステージはあまりにも多くの観客がコースに押し寄せ、安全ではない場所にあふれだしていたため、主催者はこのステージをキャンセル、さらに最後の波乱を呼ぶかのように最終ステージでは雪が降り始め、4分間隔でスタートするために瞬く間に頂上付近では路面が白くなるほど積もることになった。

 オジエはステージ前にボーナスポイントを狙わないことを宣言していたが、雪で信じられないほどに滑りやすくなった路面を見るや、さらにクリーンに走りに切り替え、トップから1分56秒あまりをロスしたものの、2分15秒差をつけて2017年の開幕戦を制することになった。

「正直言って、最初のラリーで勝てるとは思ってなかった。僕はモンテでの勝利を願っていたけど、準備が少ししかできなかったのでそれを達成できるとは考えてなかった。信じられない気持だよ。すばらしい仕事をしたチームに感謝したい。チームにとっても価値のある勝利となってうれしいよ。この結果でシーズンが楽になるとは思わないし、まだまだやるべきこともあるが、少なくとも大きなポイントを獲得してスタートできたことに満足しているよ」

 18年ぶりのWRC復帰戦に臨んだトヨタ陣営にとっても息詰まる最終日となったはずだが、タイヤを労る走りに専念してきたラトバラがミスのない走りで2位フィニッシュ、トヨタを2位表彰台へと導くことになった。

 最終ステージの雪はタナクにとっても味方することになった。滑りやすい路面のなかでソルドは3位の表彰台を目指す走りを断念、自らの4位をキープすることに集中することになり、エンジンパワーを失ったマシンながらタナクが悲壮ともいえる走りをみせて3位を死守、モンテにおける初ポディウムを獲得することになった。

 ブリーンはシトロエン勢のトップとなる5位でフィニッシュしたものの、彼は旧スペックのWRカーのため、マニュファクチャラー選手権ではポイント対象外だ。DMACKタイヤのエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)が最終日も速さをキープして6位でフィニッシュしている。

 いっぽう、土曜日の最終ステージのクラッシュで首位から15位まで転落したヌーヴィルが、最終パワーステージでは雪が強く降り始める前に2番手で走ってトップタイム、ボーナスポイントを5ポイント獲得することになった。また、1回目の走行でもスーパーソフトタイヤを選択するギャンブルを成功させてトップタイムを奪ったステファン・ルフェーブル(シトロエンC3 WRC)がパワーステージの2番手タイムで4ポイント、ユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)が3ポイントを獲得している。

 次戦はラリー・スウェーデン。WRCで唯一スノーコンディションで行われるラリーは2月9〜12日に行われる。