WRC2021/02/09

オリヴァー、ヒュンダイWRカーを初テスト

(c)Oliver Solberg

(c)Petter Solberg

 オリヴァー・ソルベルグは、2月26日から28日まで開催されるアークティック・ラリー・フィンランドでのWRカーデビューに向けて、日曜日に初めてヒュンダイi20クーペWRCのテストを行った。

 15歳で初めてラリーに参戦してから4年、4WDラリーカーを初めてドライブしてから2年、オリヴァーは19歳にして世界ラリー選手権のトップカテゴリーに初めてWRカーで参戦するチャンスをつかむことになった。ヒュンダイは先週からラップランドでアークティック・ラリー・フィンランドにむけたプレイベントのテストを行っており、ソルベルグは日曜日、−10度に冷え込んだロヴァニエミ近郊の完璧なウインターコンディションの中、初めてi20クーペWRCのステアリングを握ることになった。

 父親であり2013年のワールドチャンピオンであるペター・ソルベルグが見守るなか、オリヴァーは丸一日にわたってWRカーでスノーステージを走り続け、トラブルもなくサスペンションやデフの変更を繰り返してその走りを確認した。

「素晴らしかった。とても楽しく、ひたすら走りつづけたかったよ」とオリヴァーはi20クーペWRCの印象について語った。

「スタートラインに向かって走る時はずっと満面の笑みが浮かぶ。ステージモードになると集中が高まってくるが、本当に楽しいので、ドライブ中は笑顔をやめることができないんだ!」

「僕が長年この日を夢見てきたことは知っていると思うが、実際にWRカーとワークスチームと一緒にテストに来て、ここにいられること、それを実現できたことは格別な思いだ」

 以前に600馬力のシトロエンDS3スーパーカーを駆ってノルウェー・ラリークロス選手権に参戦していたオリヴァーにとって、初めて乗ったWRカーのパワーはそれほど驚くものではなかったようだ。

「以前はラリークロスカーでパワーのあるマシンをドライブしていたので、スピードは自分には問題ないが、エアロからのグリップが信じられないほどすごい。慣れるまでにはまだまだ時間がかかると思う。正直に言うと、実際にドライブしてみると、思っていたよりも少し簡単に感じた。センターディファレンシャルから多くが得られるので、その面からアプローチすることができる。それに、言ったように、エアロのグリップが非常に優れているんだ」

「もっと高速コーナーがあればさらに試せるのだけれど。6速コーナーがいいね。でも、それはラリーでできることだし、ラリーはそのためにある」

 アークティック・ラリー・フィンランドでどんな結果を期待しているか聞かれ、オリヴァーは何も狙わずに無心で向かおうと思っていると語った。

「(ラリーについては)何ができるかというと、何もできない」とオリヴァーは語った。「僕たちはただ走りに行って、テストのような感じにやってくる。派手なことも特別なこともなく、テスト感覚で走る。徐々にスピードが上がればいいが、プレッシャーや特別な感情はない。ただ自分のスピードで走りたいだけだ」

「でも、ひとつだけ言わせてもらうと、このチームはとても特別なチームだ。チーム代表のアンドレア(・アダモ)をはじめ、ここにいるみんなが僕らをとても歓迎してくれている。とても良い人たちだ」

 この日のテストでオリヴァーにとって唯一残念だった点は、飛行機がキャンセルされたために、コドライバーのアーロン・ジョンストンが一緒に走れなかったことだ。そのためオイット・タナクのコドライバーであるマルティン・ヤルヴェオヤがオリヴァーを手助けし、初めて英語のペースノートを使って代理のコドライバーを見事にこなした。

 しかし、テストを終えたあとオリヴァーが空港に向かうときには、彼の右側のシートには今度はヒュンダイ・モータースポーツのチーム代表を務めるアンドレア・アダモが座ることになった。

「私は今日一日に満足している。チームの皆の仕事ぶりに満足しているし、彼らはいつも一生懸命働いてくれているので、結果がついてくると確信している」とアダモは語った。

「オリヴァーにとっては良かった。私は彼の家族と一緒に過ごす時間があって、感銘を受けた。彼らは知的で、ラリーに対する大きな情熱を持っている。私はこれが好きだ。しかし、私が本当に好きなのは、オリヴァーがとてもプロフェッショナルで、自分の仕事にとても献身的であることが見て取れることだ」

「それと同時に、彼の人生はまだ19年ほどだ。自分が19歳の時を振り返ると、彼と同じく、このスポーツで仕事をするという情熱、同じ夢を持っていた。ペターと話すと、彼がその年齢の時に持っていたのもまた同じ感覚だった」