ERC2017/10/09

グリアジン、ロヴァンペラを破ってERC初優勝

(c)ERC

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 土曜日に20歳になったロシアのニコライ・グリアジンが、17歳のカッレ・ロヴァンペラとのバトルを制してヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)最終戦のラリー・リエパーヤでの勝利で誕生日を祝福することになった。

 スポーツレーシング・テクノロジーズのシュコダ・ファビアR5を駆ったグリアジンは、彼が住んでいるラトビアで開催されたホームイベントにおいて今季ERCで7人目の勝者となった。

 グリアジンは初日、アレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)がトラブルで遅れたあと、SS5からラリーリーダーとなり、ロヴァンペラに対して18.3秒の差をつけて最終日を迎えていた。

 雨によってトリッキーなコンディションとなった最終日は、ロヴァンペラがラリー最長ステージとなる21.59kmのオープニングSSで8.1秒を縮めて、一気に10.2秒差に迫って始まることになった。ロヴァンペラは続くSS9でも連続してベストタイム、グリアジンも0.1秒差で食い下がったがその差は10.1秒へと減ることになった。

 しかし、SS10の水たまりとぬかるんで滑りやすくなったセクションで慎重になったロヴァンペラが7秒あまりをロス、SS11のゴール付近に民間のヘリコプターが墜落したためにラリーの医療チームとレスキューが駆けつけるというアクシデントが発生したためにステージがキャンセルとなったあと、グリアジンはロヴァンペラ連続してベストタイムを奪ってロヴァンペラを突き放すことに成功する。

 グリアジンは最終ステージではロヴァンペラに1.2秒縮められたが、最終的に18.5秒差をつけて若手対決を制してキャリア初のERC勝利を飾ることになった。

「いくつかのところで僕は限界を超えて走らなければならなかったが、カッレとの僅差の戦いは本当に楽しかった。このようなバトルをすると、自分がさらにうまくなったようにも思えるよ。今季はさまざまな不運もあったし、クルマの問題もあったのでホームで勝利できて本当にうれしいよ」とグリアジンは喜びを語っている。また、すでにERCジュニアU28のタイトルはマリヤン・グリーベルが手にしていたが、今回の勝利で彼はランキング2位を決めている。

 雨で滑りやすいステージでさまざまなセッティングを試すなど、2週間後に控えるラリーGBでのWRCデビュー戦にむけた実戦トレーニングをしていたかのようにも見えるロヴァンペラは、ERCデビュー戦での2位ポディウムを飾ることになった。

「フィエスタでの初めてのラリーだったけれどマシンのセットアップもドライビングも大きな進歩があったよ。スローでテクニカルなセクションではかなりいい走りができたし、高速なセクションでは異なる印象はあるが慣れるだろう。テストをほとんどしないままにラリーを迎えたが、どんどんよくなったし、セットアップも試すことができた。次のラリーGBが楽しみだよ!」

 SS11のヘリコプター事故により観客に負傷者がいるとの情報がもたらされたあと、すでに前日に史上初となる3年連続ERCチャンピオンを獲得したカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)とLOTOSラリー・チームはラリーを棄権することを表明した。彼は「親しい友人がおかれた状況から僕らはラリーから撤退することになった。アスリートとしては難しい決定だが、僕の個人的な決定を尊重してもらったことを皆さんに感謝している」とコメントしている。

 3位につけていたカイエタノビッチがいなくなったことでポーランドのウーカシュ・ハバイ(フォード・フィエスタR5)とプジョー・ラリーアカデミーのホセ・スアレス(プジョー208 T16)が最後のループで激しい3位争いをすることになり、ハバイが初のERC表彰台を獲得することになった。また、スアレスは惜しくも8秒表彰台に届かなかったが、キャリアベストのERC 4位でシーズンを締めくくり、ERCジュニアU28のシーズン3位を決めている。

 オペル・ジュニアチームのチームメイト同士のタイトル争いとなったERCジュニアU27は、最終日にラリーリーダーのヤリ・フットネン(オペル・アダムR2)がSS8でコースオフ、ダブルパンクを喫して優勝争いから脱落、クリス・イングラム(オペル・アダムR2)が逆転勝利で王座を獲得することになった。ERCレディス・トロフィーはすでに前戦でタイトルを決めたタマラ・モリナロ(オペル・アダムR2)のみが出場、今季4勝目を飾っている。

 ERC2では、世界ラリークロス選手権に参戦しているレイニス・ニッティス(三菱ランサーエボリューション)が最終日に逆転勝利を飾り、選手権をリードしていたゼリンド・ミレガリ(三菱ランサーエボリューション)が最終ステージでディッチに落ちてリタイアするという波乱のなか、2位でフィニッシュしたティボール・エルディJr(三菱ランサーエボリューション)がタイトルを獲得することになった。

 また、併催されるラトビア選手権にはペター・ソルベルグの息子のオリヴァー・ソルベルグ(プジョー208 R2)がLRC3クラスに参戦しており、土曜日に開催された選手権第6戦において優勝を飾っている。ERCのジュニアカテゴリーのトップのタイムと遜色のない走りをみせた彼は、日曜日に行われた選手権第7戦でもクラスをリードしたが、SS3で横転、5位まで後退したあと追い上げをみせて最終的に2位でフィニッシュしている。