ERC2022/07/26

コドライバーのアスカローネ、ERC初勝利に感無量

(c)RedBull Content Pool

 ラリーには時として魔法のような瞬間が訪れることがある。先週末に行われたヨーロッパ・ラリー選手権のラリー・ディ・ローマ・カピターレも、そんな瞬間のひとつだった。

 地元イタリアで10.5秒差の勝利を収め、シュコダ・ファビアRally2のルーフに登ったダミアーノ・デ・トマソとジョルジーア・アスカローネは、自分たちが成し遂げたことが信じられないような様子だった。

 若い2人には勢いがあった。5月のタルガ・フローリオでイタリア・ラリー選手権で初優勝を飾っている。しかし、ラリー・ディ・ローマ・カピターレは、2人にとって国際イベントでの初勝利ということもあり、その衝撃は格別なものだった。そして、この勝利にはそれ以上に大きな意味がある。デ・トマソにとってはさらに甘美なシャンパンだっただろう。この勝利はキャリアを決定づけるものだったからだ。そして、その成功に不可欠な役割を果たしたのが、コドライバーのアスカローネだった。

 最も良い状態の時でさえ、イタリア中部のテクニカルな道は息をつく暇もなく次のペースノートを読み上げる必要があり、コドライバーにとって難しい仕事となる。ましてや猛暑となった先週末、コックピットの温度は50度を超え、さらに右側のシートに割り当てられた他のすべての任務もあり、彼女にかかったプレッシャーは相当なものだった。

「現実ではないように感じる」とアスカローネはFIAERC.comに語った。「女性としてここに立てること、10周年記念のこのイベントに参加できたことは、とても特別なことだ。私にとって2回目のERCイベントなので、言葉が浮かんでこない」

「フィニッシュラインを越えたときは信じられなかったし、今でも信じられない。この週末に経験したことを理解するには、あと数日かかりそうだ」

「本当に大変なラリーだった。特に午後の2周目のループは、気温が異常に高かった。まるでコックピット内にドライヤーが設置されているようだった!でも、これ以上ないほど誇りに思うし、まるで天にも昇る心地よ」

 日曜日の朝の時点では、シトロエンC3を駆るアンドレア・クルニョーラが僅かなリードを保っていたが、スロットルセンサーのトラブルでスローダウンせざるを得なかった。しかし、優勝を狙っていたのはクルニョーラだけではない。エフレン・ヤレーナ、そして2021年のコドライバーズチャンピオンであるサラ・フェルナンデスのペアもまた、優勝を逃した才能ある選手のほんの一部に過ぎない。

「サラ・フェルナンデスのことが大好き」とアスカローネは笑った。「彼女は大きなインスピレーションを与えてくれるし、もう友達と言っても許されると思う」

「昨年はいくつか問題があったので、今年は自分たちの可能性に密かに自信を持っていた。でも、土曜日にリードを奪われたときは、本当に辛かったし、取り返せるかどうかわからなかった」

「あらためてエントリーリストを見ると、本当にすごい。イタリアやヨーロッパで最高のドライバーが揃っている。ここにいる全員がとても速かったので、さらに誇りに思う」