ERC2018/08/27

コペツキ逆転、ERCチェコで4年連続優勝

(c)ERC

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 FIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第6戦バルム・チェコ・ラリー・ズリンは、シュコダ・モータースポーツのヤン・コペツキ(シュコダ・ファビアR5)が最終日にアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)を逆転、4年連続8度目のバルム・チェコ・ラリーの勝利を飾るとともに、チェコ選手権での連勝記録を23回へと伸ばすことになった。

 雨は上がったものの、バンピーなステージにはあちこちに水たまりが出現しているほか、表彰台をめぐるフロントランナーたちはトップ10がリバースでの走行となるためインカットによってかき出された大量の泥によって信じられないほどトリッキーになったコンディションと戦うことになった。

 前日、3本のパンクに見舞われながらも16.7秒差の2位まで追い上げたコペツキだが、最終日を前に「天気と路面状況がどうなるか見なければならないが、僕らは決して諦めない」と、最後まで逆転を信じてステージに挑む構えだ。これに対して選手権リーダーのルクヤヌクはタイトルチャレンジのためのポイント確保が最大のテーマとなるため、無理して首位を維持するつもりはない。

 マディなコーナーで大きくスライドするフィエスタをコースオフしないように集中させたルクヤヌクはレグ2の朝の3ステージを終えて16.8秒を失い、コペツキに2.6秒差の背後に迫ることを許すことになった。

 そして、午後のループの最初のステージとなるSS13でコペツキがベストタイムを獲得、ルクヤヌクは土曜日のSS3以降守ってきた首位をついに明けわたすことになる。「このようなコンディションではプッシュするのは不可能だ。セーフティにドライブしており、僕らは選手権に集中することになる」

 それでも二人の差は2つのステージを残してまだ1.7秒というないにも等しい状況であり、なにが起きるかわからない。だが、ルクヤヌクはSS14ではコーナーでポップオフバルブが効いたときのようなミスファイアに苦しみ、最終ステージを残してコペツキは5.8秒のリードを手にすることになる。

 ソフトのドライタイヤだったコペツキにとってふたたび雨が降ったことによってフルウェットとなった最終ステージは大きな試練となったが、彼は盤石の走りをみせてルクヤヌクに7.5秒差をつけてフィニッシュ、4年連続8度目のバルム・チェコ・ラリーの勝利を飾るとともに、チェコ選手権での連勝記録を23回へと伸ばすことになった。

「最終ステージはフルウェットだったが、アレクセイ(・ルクヤヌク)が全開で攻めたことは彼のタイムを見ればわかる。僕らは楽観的すぎたかもしれない。危なかったよ!」とコペツキは安堵の笑みをみせた。

 ルクヤヌクは、選手権を争うブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)が9位に終わったため、選手権のリードを36ポイント差に広げてフィニッシュすることになった。

 初参戦の難しいターマックに苦しんで初日を4位で終えたダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 R5)は、最終日の朝のループをすべてトップ3のタイムでまとめて追撃を開始、17秒をリードして最終日を迎えたニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)をSS13で捕らえて3位に浮上、初参戦のERCをポディウムフィニッシュすることになった。

 ドライになった午後のループをウェットタイヤで向かったグリアジンは、タイヤの摩耗に苦しみ、最終日に2つのベストタイムを奪って激しく追い上げてきた地元のミロスラフ・ヤケシュ(シュコダ・ファビアR5)が最終ステージで逆転して総合4位でフィニッシュすることになった。それでも彼はERCジュニアU28の首位でフィニッシュ、ERCジュニアU28の2位につけていたフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアR5)が最終ステージでクラッシュしたため、選手権リーダーのファビアン・クライム(シュコダ・ファビアR5)が2位でフィニッシュ、ポイントを大きく失わずにすんでいる。

 ERC2は、ティボール・エルディJr(三菱ランサーエボリューションX)が今季4勝目を獲得、4戦のベストリザルトで争われるERC2において早くも王座を決めており、ERCジュニアU27は、選手権リーダーのマルティンシュ・セスクス(オペル・アダムR2)がオーストリアのサイモン・ワグナー(プジョー208 R2)の追撃を振り切って、前戦ラリー・ディ・ローマに続く連勝を飾り、また一歩王座に近づいている。

 ERC次戦は、9月21〜23日に行われる高速戦のラリー・ポーランドとなる。