WRC2019/10/08

シケインの不通過問題に罰則適用されず

(c)wrc.com

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 ウェールズ・ラリーGBの金曜日に行われたスレート・マウンテン・ステージにおいて3人のドライバーがフライングフィニッシュ後に設置されていたシケインを定められたルートから外れて走行した行為について、スチュワードはシケインの設置方法に不備があったことを認めて罰則を適用しないことを決定したが、タイムに重大な影響を与える恐れがあるシケインの設置方法について再考を求める声が上がっている。

 金曜日の午後に行われた1.60kmの短いスレート・マウンテン・ステージのフィニッシュ後、セバスチャン・オジエ、ティエリー・ヌーヴィル、アンドレアス・ミケルセンは定められたルートから外れてシケインとしておかれたストローベイルを通過、これらはタイムが計測されるスペシャルステージ内に設置されたものではなかったが、3人のドライバーが上位のタイムを出したことから、フライングフィニッシュをより速く通過できた可能性も疑われていた。

 スチュワードはWRカーのオンボード映像を比較検討した結果、シケインとしておかれていたストローベイルのレイアウトに不備があったことを認め、ベイルには経路の方向を示すテープが貼られることなく、ベイルの隙間は通過が許されているかのように開いていたためロードブックでの図示との差異が生じ、シケインを通るルートについて2つの解釈が生まれることになったと説明し、ペナルティなどの罰則を科さないことを決定している。

 ラリー後に行われたトップ3の記者会見において、アルゼンチンで同様のケースでペナルティを受けた経験をもつオイット・タナクは、今後このようなことは起きるべきではないと発言、ロードブックの明確性を求めた。

「将来的なスポーツの公正のために、今週末に起こったシケインに関して話をしたい。皆が知っているとおり、結果的には(ペナルティが科されることなく)何も変わることはなかった。ただ、今後またこういったおかしなことがおきてほしくない」とタナクは語った。

 タナクとチームメイトのクリス・ミークは、今年のラリー・アルゼンチンでロードブックに記載されたルートと異なるコースを走行したとして10秒のペナルティを科されている。このときはスペシャルステージの道路の真ん中にあった石柱のアウト側を通過する指示がロードブックに記載されていたが、二人はイン側を通過したことで意図的にタイムを縮めた可能性が疑われていた。

「アルゼンチンの時も全く同じだった。カットしてはいけない場所を開けておかないでほしい。あの時もロードブックが明確にされておらず、僕たちはペナルティを受けている。今回は9人のドライバーが正しい方向で、3人が違っていたが、ロードブックが明確でなかったためにこのようなことが起こった」

「明確でない場合には、とても分かりにくく、混乱を招く。今後こういったことを防いでいくためには、もっと厳格に判定できるやり方が必要にあると思う。このスポーツのルールを公正に保って(スチュワードが判定しなければならないような)政治的な要素を回避できればいいなと僕は思っている」

 オジエは、今回問題になったシケインで何が起きたのか説明するとともにベイルの配置については全員にとって同じ条件が保たれるように厳しく定めていくことが必要だと語った。

「まず初めに、僕たちはロードブックに従った、なぜならベイルが1つしか無かったからだ。ロードブック的には僕たちは間違っていなかった。僕にとって最も重要なのは、ものごとを不明瞭な状態にしてしまわない、ということだ。このシケインはもともとまったく意味のないものだった。僕たちは低速でそのまま直線に抜けるというフライング・フィニッシュのところだったんだ。何故ベイルをそんなフィニッシュラインの後ろに置くのか? まったく意味不明だ。これらのベイルはロードブックにあるとおりに間違いなく配置されるよう明確にしていくべきである。常に動くものである、これがベイルの問題となる核心の部分だ」

「もちろん安全のために必要とされる時にベイルを使用する、というのは本当に重要だ。でも安全性のために必要とされないのであれば、何が起こるのか分からない時、オイットの言っているような、そこに起こるべきでない状況を作り出してしまう可能性があるとしたら、それは使用するべきではない。スポーツの公正のためにも、ベイルの配置については全員にとって同じ条件が保たれるように厳しく定めていくことが必要だ」

 シケインの通過違反が問われた一人でもあったヌーヴィルは、ロードブックの指示通りに追加したと強調しつつも、誤解を呼んだベイルの設置方法についての改善を求めた。

「僕にとっては、わりと単純なことだった、僕はコーナリングのためにブレーキングをしていくと、突然コーナーがなくなっていたように見えたんだ。最後にやっと、(奥にも)小さなベイルがまだあったことに気づいたわけで、でもそれはロードブックで確認したところ、小さなベイルがあると記されていたから、僕たちは何も間違ったことはしていない、ということになる。誰も故意にあの小さなコーナーをミスするようなことはなかったし、タイム的な利点も関係なかったから、その意味が理解できない。でも、ベイルの設置方法などについてはセブと同じ意見だ。もっと良い解決策があるし、それを見つけていこう」