WRC2022/05/29

シュコダ訓練生が作ったダカール・コンセプトカー

(c)Skoda

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 シュコダ・ワークスカラーをまとったこの精悍なマスクをもつラリーカーは、近い将来WRCに投入される新しいシュコダ・ファビアRally2ではない。この「シュコダ・アフリク(AFRIQ)」は、シュコダの職業訓練生がシティSUVのシュコダ・カミックをベースに製作された、ダカール参戦マシンをイメージさせるシュコダ技能訓練生コンセプトカーだ。

 今回で8回目を迎えたシュコダの技能訓練生コンセプトカープロジェクトは、同社の将来を背負って立つことが期待される若き訓練生たちがシュコダ車のエンジニアリングコンポーネントを使用して、夢の車を作るというプロジェクトだ。シュコダ・アフリックの開発に携わったのは3人の女性を含む25人の実習生で、その名前が示すように北アフリカで行われた時代のダカールへのオマージュであると同時に、北アフリカにおけるフォルクスワーゲングループの活動に対するシュコダ・オートの責任が製作のテーマとなっているという。

 シュコダ・アフリクのエンジンとトランスミッションは、シュコダ・オクタヴィア 4×4のものを使用している。2.0 TSI 4気筒エンジンは、140kW(190ps)、最大トルク320Nmを発生、このパワーを7速DSGトランスミッションを介して4輪に配分、アフリカのオフロード走行に最適なラリーカーを目指したという。

 アフリクにオクタヴィア 4×4のドライブトレインを搭載するには、アンダーボディに大規模な改造を施す必要があり、フロントアクスルのブラケット、エンジンやトランスミッションのマウントが変更されたほか、リヤアクスルについてはアクスルブラケットを取り付けるためにオクタヴィアの後部のボディを移植、マルチリンク式に変更するという大がかりな改造が行われている。

 アフリクの製作期間は4ヶ月で、技能訓練生は約2,000時間を費やした。ベーシックモデルであるカミックのボディは根本から見直され、リアドアは溶接され、4ドアから2ドアへと変更、張り出したフェンダー、ホイールアーチ、バンパーは拡大されました。さらに、サスペンションも強化されている。

 シュコダ・アフリクは競技用のロールケージを備えた本格的なラリーカーとして仕上っており、技能訓練生コンセプトカープロジェクトの歴史の中でかつてなかったほど、シュコダ・モータースポーツが、このアフリクの開発に深く関わってきた。シュコダ・モータースポーツのエキスパートたちは、技術的な知識を実習生に伝え、装備を提供した。例えば、ナイトポッドランプ、ベンチレーション、リヤスポイラー、ステアリングホイール、ダッシュボード、6点式シートベルト、専用レーシングシートなども、ファビアRally2エボに搭載される装備が使用されているという。

 またアフリクの興味深いところは、イスラエルのウォータージェン社が開発した革新的な飲料水生成装置を搭載していることだ。

 これにより、大気中の湿度から水分を抽出し、飲料水を生成することができるため、たとえばダカールが行われる砂漠でも乗員はいつでも清潔で冷たい飲料水をとることが可能になるという。