WRC2017/06/07

ジャンプ王マッズ、イタリアで表彰台バトルに挑む

(c)OneBet JCWRT

 「ジャンプ・キング」と呼ばれるマッズ・オストベルグだが、今週末のラリー・イタリア・サルディニアで狙っているのは、ミッキー・ジャンプでの新記録ではなく、表彰台をめぐるバトルだ。

 ノルウェー出身のオストベルグは、2013年に地元のスキー場で、フォード・フィエスタRS WRCを駆って雪路でのジャンプ記録に挑戦して60.48mの最長記録を達成している。「ジャンプ・キング」というニックネームは、その後の彼のトレードマークとしてしっくりこないかもしれないが、今シーズンに関していえばこれまでに2月のラリー・スウェーデンのコリンズ・クレストで44mの最長ジャンプを記録し、さらに3週間前のポルトガルでも最終ステージの有名なファフェの大きなジャンプで特大の36mを飛んでいる。

 今週末に控えているサルディニアでもモンテレルノのステージにある有名なミッキー・ジャンプでまた新たな大ジャンプの可能性に注目が集まるが、彼はそれを狙ってサルディニアに来たのではないと語った。

「実際僕は最長のジャンプを跳ぶためにラリーをドライブしているわけじゃない!」
とオストベルグは語る。

「今シーズンあんなに長い距離を飛んできたのは決して意図的なことではないんだけど、それでも楽しかったし、結果的にはポジティブな注目を集めることになった。僕のコドライバーをつとめるオラ(・フローネ)が結構ハマっていて、僕たちが着地する時は笑いが止まらないらしい。クルマに乗っていて楽しくなるし、それは非常に前向きなことだ」

 マッズは今週末に表彰台をめぐるバトルに再びチャレンジできるのを楽しみにしている。ポルトガルの最終結果は期待どおりにはいかなかったが、ポテンシャルは確実にそこにある。

「僕たちはパンクや他の技術的なトラブルのないイベントをやり遂げることを目指している。ポルトガルでは2つのステージ・ウィンを獲得したし、速さ的には満足だったけど、一つのステージで行ったホイール交換による数分のロスが僕たちのチャンスをすべて台無しにしてしまった」

 そのせいかどうかわからないが、彼はポルトガルで使用したDMACKからサルディニアではふたたびミシュランにスイッチする。ラリーの前にサルディニアでのテストを1日行った彼は、3戦目となる厳しいグラベル・イベントに挑むことを楽しみにしている。

「サルディニアではスタート順はさらに重要な要素となる。大概、ステージを最初に通過する時は、細かい砂の層があってからその上をルースグラベルが覆うっている状態だ。それにもっとルースな石や岩がある。ラリーが金曜に正式に始まる時の自分たちのスタート順はかなり後方になりそうだけど、そのアドバンテージを持っているのは僕たちだけじゃないからね」とマッズは語った。

「そして高温と大量の日差しが降り注ぐことが予想される今度のサルディニアは当然、タイヤだけでなく人にも厳しい環境だ。ポルトガルでも走らせた、光沢のある反射を促すゴールドカラーにラップされたクルマのルーフのアイディアがサルディニアでも僕の味方をしてくれるだろう。あれによってクルマの中の温度上昇を抑えることができたんだ。当然、必需品となるだろう」