WRC2020/02/04

スウェーデン、開催か中止か厳しい決断を迫られる

(c)Rally Sweden

 深刻な雪不足に悩むラリー・スウェーデン主催者は開催をめぐって厳しい選択を迫られている。主催者は寒気の到来を待ちながら、ラリーがスタートする10日前の2月3日に開催できるかどうかについての最終的を判断が下すとの情報だったが、発表はいまも行われていない。

 2月13-16日に第2戦として予定されているルートは、いまも多くのステージが雪も氷もないコンディションにあり、主催者は悲惨なほど泥だらけのコンディションのなかで、ラリーを短縮して、さらに各ステージを1回の走行のみとする妥協したアイテナリーで決行するか、この歴史的なイベントを中止とするかという局面に立たされている。

 もしスタートまでの間にコンディションに変化がなければ、今年のラリー・スウェーデンはすべての関係者にとってまさに未知との戦いとなるだろう。マニュファクチャラーチームは、実際のラリーのコンディションに近い環境でテストをするために、いまはまだどのチームもテストを行っておらず、主催者の決定を待っている状況だ。

 マニュファクチャラーチームのテスト日数は年間わずか42日間に制限されているため、チームは中止される可能性のあるイベントで日数を無駄にするリスクを背負いたくない。またWRカーを2、3日間走らせるための費用もかかるからだ。

 そしてこれらのテストは、通常のような雪と氷のレイヤーで覆われているコンディションだけではなく、凍結したグラベルが露出した路面での走行が行われることにもなるだろう。ウィンタータイヤであるミシュランX1アイスノースのスタッドが岩やわだちからどれだけの損傷を受けるかを知り、タイヤのスタッド保持レベルを調べるための作業になる。タイヤからスタッドを失われた場合、スウェーデンの高速ステージを走ることは非常に危険がともなうからだ。

 ラリー・スウェーデンがいかなる決断を下すとしても、その決定を裏打ちするのは、すべてが一晩で変わる可能性があるという事実だ。もしも北から猛烈な寒波が到来し、道路に30cmの深さの雪を降らし、スカンジナビアを最も深い氷の世界に誘うならば、世界ラリー選手権のウィンター・ラリーとして完璧なコンディションを約束するだろう。だが、それはあまりにもリスクの大きいギャンブルだ。ここ数年、スウェーデンでは天気の予報そのものが外れる傾向にあり、寒くなるかと思えば、たちまち暖かくなることを経験をしてきたからだ。

 ラリー・スウェーデンが天気の賭けに負けた場合、数週間の雨によって軟化したスウェーデンのステージはラリーカーの走行によって破壊され、主催者はわだちを埋めて道路を補修するために深刻な財政的結果に直面する可能性がある。さらに悪いのは、現時点で中止を決定することも財政的な大損害をもたらすということだ。

 スウェーデンの情報筋によれば、ラリーのDAY2のルートが予定されていたトースビー空港の東南エリアのトーントルプ、スウェーデンの象徴的な存在として知られるヴァルゴーセンは雪もアイスもなく路面も凍結していないことから走行を断念し、国境を越えたノルウェーのステージでの短縮したアイテナリーを作成しているという。トースビーは、−5度まで気温が下がった昨夜も路面を凍結させるための散水が行われたとの情報だが、残念ながら降雪はなかったようだ。