ラリー・デ・エスパーニャのWRC2ではテーム・スニネン(ヒョンデi20 N Rally2)が12.7秒をリードしてトップに立っている。しかし今回イベントでは初日の戦いを終えて最も重要となっているのがタイトルを争う二人のバトルの行方であろう。
カイエタン・カイエタノヴィッチ(シュコダ・ファビアRally2エボ)とエミル・リンドボルム(シュコダ・ファビアRally2エボ)は双方ともポイントリーダーのアンドレアス・ミケルセンを逆転してタイトルを獲得する可能性を持っている。
そのミケルセンはすでにWRC2のポイント獲得するために出場できるイベントの上限の達しているため、スペインと日本でカイエタノヴィッチとリンドホルムによる決戦が繰り広げられることになる。しかしその初日の戦いでは二人にドラマが待っていた。
リンドホルムは最初のステージで素晴らしい速さをみせてリードを奪うが、SS2セラ・デ・ラ・レナのステージをわずか数コーナー走ったところで路肩のコンクリートに接触し、右リヤタイヤをリム落ちさせてしまう。
彼はクルマを止めてタイヤ交換を行うのではなく、そのまま走り続けたが、高速でスピンしてコースオフ、1分あまりも遅れて18位まで後退してしまった。
「スタートは順調だった。しかし、2つ目のステージはダメだった!」とリンドホルム。
「レッキには記していなかった何かでパンクが起きた。小さなコンクリートの塊か何かをクリアできたと思ったんだけど、リヤタイヤが接触してしまった」
「パンクしたタイヤで、ステージの後半にスピンしてしまった。いろいろ盛りだくさんだった。それでもまあ、まだまだ序盤だし僕たちの目標は何らかのポイントを獲得することだし、それはまだ可能だと思うし、勝負はこれからだ」
リンドホルムの予想は的中する。そのトラブルに乗じて、カイエタノヴィッチはペースを上げるはずだったが、午後のループセラ・デ・ラ・レナの2回目の走行で彼もまた汚れたコーナーのカットでスピードに乗ったままスピンし、フィールドにアウトしてしまう。
クルマにダメージはなかったが、7位につけていたカイエタノヴィッチは8位へと後退、3.4秒差に迫ったリンドホルムが終盤で猛追、カイエタノヴィッチを抜いて6位で初日を終えている。
一方、朝のループの最後のステージで首位に立ったスニネンには特にドラマも起きていない。最初の2つのステージこそ湿ったマッディなコンディションでグリップを読むのに苦労し、トークスポーツWRTのニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアRally2エボ)に一時リードを許すも、そのコンディションが解消されて路面が乾き始めると、4つのステージウィンを獲得し、グリアジンを12.7秒引き離して初日をリードしている。
ヨアン・ロッセル(シトロエンC3 Rally2)はギリシャでの最終ステージでの横転でWRC2タイトル獲りへの望みは断たれているが、シーズン最高の形で終えることをめざしている。朝のパンクによって数秒遅れたこともあるが、スニネンやグリアジンのペースに及ばず、16.7秒差の3位につけている。
ロッセルから22秒遅れの4位にはヤリ・フットゥネン(フォード・フィエスタRally2)、さらに6.4秒差には5位のステファン・サラザン(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)が続いている。
リンドホルムが6位、カイエタノヴィッチが7位と続き、その後方にはファブリツィオ・サルディヴァール(ヒョンデi20 N Rally2)が入っている。