ERC2022/07/21

ソランス、ERCタイトル争いを断念

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 ヨーロッパ・ラリー選手権の優勝候補の一人だったニル・ソランスは、今週末のラリー・ディ・ローマ・カピターレへの参戦を諦め、彼のタイトル争いが終わりを告げたことを明かした。

 ソランスはラリー・チーム・スペインのフォルクスワーゲン・ポロGTI R5でシーズンをスタート、開幕戦ラリー・セーハス・ダ・ファフェで優勝したものの、第2戦を予算不足のためにスキップ、シーズンに復帰した第3戦ラリー・イスラス・カナリアスで勝利を飾ってふたたびリーダーとなってきた。それでも、あいかわらずソランスはラリーがスタートする前に予算との戦いが続くことになり、ラリー・ポーランドではエントリー締切の土壇場になってコワックス2BBレーシングに移籍、ヒョンデi20 N Rally2で臨んだ緒戦はダンパーの破損で木立の中に滑り落ち、続くラリー・リエパーヤではではリムの破損によって表彰台から遠ざかってしまった。

 ソランスによれば、今週行われるラリー・ディ・ローマ・カピターレにはロジスティクスの問題でマシンをイタリアに持ち込めないとチームから連絡があり、さらに、彼のコドライバーのマルク・マルティは、先週のラリー・エストニアでブルーノ・ブラシアのコドライバーを務めた際に背中を痛めてしまった。

 ソランスはすでに選手権リーダーのエフレン・ヤレーナから46ポイント遅れており、残されたラリーは3戦だけだ。しかし、未確定のままである最終ラウンドが開催されなければ残りは2戦になるかもしれないという状況のなか、ローマへの参戦を断念、事実上、タイトル争いを諦めることを決めている。

「ローマへの参戦の可能性をギリギリまで探した。しかし、少ない予算で、他のオプションを探そうとしたが、見つからなかった。コドライバーもいないので、ローマに行く方法はなかった」とソランスは語った。

 ソランスは自身の可能性を示すことが出来たシーズンだったと語り、タイトルを諦めることはそれほど不幸なことではないと語った。

「今年はチャンピオンを狙うことが目標でスタートしたわけではなかった。このような状況でも、ローマに出られないのは、言ってみればそれほど不幸なことではない。結局、予算はとても重要な部分であり、予算がなかったのだから、無理な話だ。安いスポーツではない」

 ソランスは、次戦のバルム・ラリー・ズリーンに参戦する可能性は否定していない。彼の最近のチームが、このラリーの母国に本拠地を置いていることは、多少なりとも助けになる。しかし、彼はすでに、より重要なことに集中している。来年はフルシーズン参戦するために準備に余念がない。

「来シーズンに向けて、今、すべてを準備する必要がある」とソランスは付け加える。「チームと話し合い、スポンサーと話し合い、すべてを準備するための時間ができた。だから、シーズンを通して100%の力を発揮できるよう、予算を調整するつもりだ」

 ソランスがタイトル争いから脱落したことで、ラレーナのタイトル争いを巡る主要なライバルは52ポイント差のシモーネ・テンペスティーニ、59ポイント差のアルベルト・バティストリといったメンバーが残っているだけであり、新チャンピオンが誕生するのも時間の問題と見られている。