ERC2019/05/27

ソルベルグ、ERCラトビアで史上最年少優勝

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第3戦ラリー・リエパーヤは26日に最終日を迎え、17歳のオリヴァー・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)がERCデビュー戦で初優勝を成し遂げるとともに史上最年少のERCウィナーに輝くことになった。

 ソルベルグは、ERC王者のアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 R5)を9.7秒リードして迎えた最終日、雨によって湿ったコンディションとなったラトビアの高速ステージでも揺るぎないスピードを見せつけてリードを拡大、13ステージのうち10ステージでトップタイムをマークしてルクヤヌクに22.7秒差をつけてERC初優勝を飾ることになった。

 ソルベルグの唯一のピンチは、最終日の午後のSS12で、柔らかくなった砂質の路面に深いわだちが刻まれたところで姿勢を乱して右フロントフェンダーを破損することになったが、大きなタイムロスにはつながらずにプレッシャーなどまったく感じさせない走りでERCレギュラーメンバーたちを突き放してトップでフィニッシュを迎えることになった。

「これは人生の最大の一日になったよ」とソルベルグは言いました。「これほどいいドライブができたことはなかったし、なんと言っていいかもわからないよ」とソルベルグは語った。

 ソルベルグは初日、ルクヤヌクをリードしてゴールしたあと、感極まって、「彼(ルクヤヌク)は僕のヒーローだったんだ。すべてのオンボードを見てきたし、彼を倒すことが僕の大きな夢の一つなんだ」と語っていたが、早くもその夢を掴むことになった。

「本当に信じられない。とても完璧なラリーだった。(フロントに小さなダメージを負った)残り2つ目のステージは、慎重になりすぎて、ドライブが硬くなってしまっていたんだ。それからこの週末を通してやってきたとおりにやろうと思って、全開で走ったんだ。最後のステージも勝利できたし、素晴らしい気分だよ」とソルベルグは付け加えた。

 サンテロック・ジュニア・チームから今季のERCに参戦しているルクヤヌクは、最終日のSS9とSS12では最速タイムを奪ったものの、開幕の2戦で期待に反して優勝を逃したため、チームからのプレッシャーがあったと語り、ポイントのためにもリスクを負ってソルベルグを追い掛けることはしなかったと認めている。彼は今季初表彰台で44ポイントもあった選手権リーダーとの差を27ポイントへと縮めることに成功している。

 リエパーヤ出身の19歳のマルティンシュ・セスクスは初めてシュコダ・ファビアR5でのラリーだったにもかかわらず、見事に地元戦で3位でフィニッシュ、初のポディウムを達成している。

 セスクスと11.6秒差で最終日を迎えたクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)は、最終日はポディウムに挑戦することよりERC1ジュニア選手権リーダーを守ることに専念、残り2つめのステージではわだちでコントロールを乱してオーバーシュート、ラジエータに穴を開けてしまうトラブルに見舞われたが、どうにか応急修理を成功させて4位でフィニッシュ、ERC1ジュニアのリードも守り切るとともにERC総合のタイトル争いでも選手権リーダーのウーカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5)にわずか1ポイント差に迫っている。

 ACCRチェコ・ナショナルチームのフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアR5)が6位、ドイツ・チャンピオンのマリヤン・グリーベル(シュコダ・ファビアR5)が初日の遅れを挽回して11位から7位まで追い上げている。

 チームSTARDの新井大輝(シトロエンC3 R5)にとっては試練のERCチャレンジになった。初日は電気系の問題からサービスでエンジン始動に手間取って70秒のペナルティを課された新井は、最終日もステージモードとロードモードの切替が不良となるなど電気系の問題に悩まされてペースを上げられなかったが、それでも不利なスタートポジションに耐えて8位でゴールを迎えている。

 ERCで3度の優勝経験をもつ地元のラルフス・シルマチス(三菱ランサーエボリューションX)はR5マシンを上回る速さをみせて総合13位フィニッシュ、ERC2選手権では後続に10分の大差をつけて優勝を飾っている。

 ERC3ジュニア選手権は、エストニアのケン・トルン(フォード・フィエスタR2T)が優勝、12.8秒差で続いていた前戦勝者のジャン-バティスト・フランセスキ(フォード・フィエスタR2T)はボンネットを閉め忘れるトラブルで4位に終わっている。

 ERCは高速グラベルラウンドが続き、次戦は6月28〜30日に行われるラリー・ポーランドとなる。