ERC2020/08/16

ソルベルグ、ERCラトビア連覇にむけて初日リード

(c)ERC

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 2020年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第2戦のラリー・リエパーヤは15日土曜日に初日を迎え、18歳のオリヴァー・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)がダストの問題に悩まされながらも、2年連続優勝にむけてラリーをリードしている。10秒差の2位にはPHスポールから出場するマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 R5)が続いている。

 本来なら5月に予定されたラリー・リエパーヤは新型コロナウイルスの流行によって延期となり、初の真夏のイベントとして開催を迎えることになり、猛暑とダストがクルーたちを苦しめることになった。ソルベルグはオープニングSSのガレーネ・ステージ(24.82km)でいきなりファンを驚かせることになった。彼はスタートの際にエンジンをストールして5秒ほど遅れたにもかかわらず、ベストタイムを叩き出してラリーをリードすることになった。「その問題で5秒を失ったけれど、そのあとは猛列にプッシュしたんだ。ペースノートもよかったよ!」

 一方、波乱模様の幕開けとなったのは、前日の予選ステージで最速タイムを奪ったニコライ・グリアジン(ヒュンダイi20 R5)だ。彼は左リヤ・タイヤがリム落ちした状態でフィニッシュしたものの、パンクに気付かなかったとステージエンドでコメントすることになった。

「パンク? 何も起こらなかったよ。ブレーキングはもっとマシになるはずし、速いステージで難しかったけど、OKだよ」と、グリアジンは語った。パンクはあったものの、彼は驚くべきことにソルベルグから3.1秒差の2番手タイムでスタートすることになった。

 2017年と2018年にラリー・リエパーヤで総合優勝を飾っているグリアジンは、SS2アンドミ(17.45km)で反撃を開始、スペアタイヤのない彼はもはやパンクができない状況にもかかわらずベストタイム、ソルベルグの後方1.3秒差に肉薄して1回目のループを終えることになった。「もうスペアがないのでパンクを心配して走ったけれど、スローペースで走っている時はタイムがいいね。でも、速いペースの時は悪いタイムなので、何が起きているのかよくわからないよ」

 朝のループを首位で終えたソルベルグは、あまりにも路面がルースだったために慎重に行きすぎたためにグリアジンに差を詰められてたと認めている。「序盤は慎重になりすぎていたし、ルーズだったからリスクを冒したくなかったんだ」

 3番手には、「あまりいいフィーリングではないんだ。競争力がなくて残念だった」と言いながらも、首位から6.9秒差でマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 R5)が続き、サンテロック・ジュニアチームのアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 R5)は「最悪の予選だった」と不満そうに語りながらも、7番手という不利なポジションで路面掃除と戦いながら14.3秒差の4位につけることになった。

 午後のループは朝とは異なる新しいステージでの走行となるため、スタートポジション上位のドライバーたちはここでも路面を覆うダストに苦しめられる。

 SS3 SCグルパ(20.36km)でふたたび速さを見せたのはソルベルグ。彼はコーナーにかきだされた石にヒットしながらも幸いパンクすることなく、グリアジンに6.1秒差をつけるベストタイムを叩き出して、リードを7.4秒差へと広げてみせた。

 だが、SS4ストラステ(25.54km)でソルベルグは、パンクのために大きくペースを落としていたミッコ・ヘイッキラ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が巻き上げるダストで視界を失い、たまらずスピン、再スタートをするまでダストが引くのを待たなければならなかった。

 ソルベルグは20秒ものロスを覚悟したが、それでもステージウイナーとなったルクヤヌクからわずか6秒遅れでステージをフィニッシュ、首位をキープすることになったことに驚愕したような表情を浮かべることになった。

「たったの6秒遅れ? 信じられないよ。リスタートするのにダストが消えるのを待たなければならなかったので、少なくとも20秒は失ったはずだった。前のドライバーのダストに完全につかまってしまい、スピンしてしまった。本当に何も見えなかったよ!」とソルベルグは語った。

「タイムは失ったが、結局、僕はまだリードしている。10秒のリードは多くはないが、このようなハイスピードステージではわずかなマージンでも明日のためにはいいことだよ」

 一方、2位に付けていたグリアジンもソルベルグの後方でダストのなかでの走行を強いられていたが、彼は高速の左コーナーでリヤのグリップを失ってクラッシュ、3度目の勝利にむけた戦いを終えることになった。「左コーナーでコースアウトしてしまったんだ。思った以上にタイヤの摩耗がひどかったのが原因かもしれないが、コーナー手前でしっかりブレーキングをしていたつもりだったが、実際には曲がるのが遅くなってしまった。最後までトップ争いができなかったのは非常に残念だよ」とグリアジンは語っている。

 これで首位から10秒差の2位にはオストベルグが浮上することになった。彼は、SS4のステージエンドでC3 R5にいくつか問題があると不満そうに認めたが、「僕らはテストが必要なことを受け入れなくてはならない。ここでは勝利を狙うのが目標ではなく、ラリー・エストニアにむけたテストに集中しなければならない」と自身に言い聞かせていた。

 選手権リーダーのルクヤヌクはオープニングSSでは8位という厳しいスタートを切ることになったが、路面の掃除に加え、SS3ではポップオフバルブの問題を抱えながらも、チームMRFタイヤのエミル・リンドホルム(シュコダ・ファビアRally2エボ)とのバトルを制して、オストベルグに6.2秒差の3位まで迫っている。オストベルグがERCポイント対象外であるため、このままのポジションをキープすれば、彼は選手権のリードをさらに拡大することができるはずだ。

 4位にはエーリック・ピエタリネン(シュコダ・ファビアRally2)が続き、クレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20 R5)がルクヤヌクと同様に理想的なロードポジションとは言えないなかで0.2秒差の5位で続いており、最終ステージでスピンを喫したリンドホルムは惜しくも6位まで後退している。

 ERC3ジュニアはSS3までラリーをリードしてきたケン・トルン(フォード・フィエスタRally4)がブレーキトラブルで遅れたマシンによるダストによって視界に苦しんでペースダウン、初日を首位を地元のマルティンシュ・セスクス(プジョー208 Rally4)に譲ることになった。セスクスは朝のループでバンクにヒットしてステアリングに問題を抱えながらも、勝利への強い意志をみせてプッシュを続けてきた。

 3位にはスウェーデンのデニス・ロドストローム(フォード・フィエスタRally4)、4位にはラトビア出身の世界ラリークロス選手権のトップドライバーである地元のレイニス・ニッティッシュ(フォード・フィエスタRally4)が続いている。