WRC2019/05/14

タナク、「この結果を獲得することが重要だった」

(c)Michelin

 トヨタGAZOOレーシングWRTのオイット・タナクは、先週末のラリー・チリで完全な勝利を果たし、不運続きだったシーズンと決別してタイトル争いの流れを掴んだと実感している。

 雨の影響によってラリー・チリはマディでスリッパリーなコンディションのなかでスタート、タナクもオープニングSSでオーバーシュートして5番手タイムで発進することになったが、SS2でのベストタイムで首位に立って以降、難しいコンディションのなかでライバルたちにまったく付け入る隙を与えなかった。

 あらゆる努力をしながら2位に終わったセバスチャン・オジエは、最終ステージを最後に走ったタナクにパワーステージでも敗れたことを知るや、ライブ中継のインタビューに答えているかつてのチームメイトに駆けより、「オイット、君の週末は僕らよりもずっと簡単だったようだ。君はそんなふうには思ってないだろうけどね!」と、強く抱きしめ、肩を叩いて、いまや選手権の最大のライバルとなった友人の完璧な勝利を心から祝福している。

 オジエからの祝福にめずらしく心からの笑みを見せたタナクだが、記者会見ではクールな表情を崩さず、ラリーがけっして簡単なものではなかったと淡々と語っている。

「ホッとしている。大変な週末だった。レッキを開始してすぐに僕たちは道路のコンディションが厳しいことを知った。新しいラリーは大変な仕事だった。限界を大きく超えて走ったわけではないが、限界ギリギリで攻めることは難しかった。トラブルなくここにいることができてうれしいし、満足している」

「金曜日の朝、僕たちは限界を探ったが、最初のステージを終えた時は、全くフィーリングを得られなかった。だが、そこからかなり迅速に調整することができた。僕たちは最速だったと思う。完璧なマシンを持っていたし、自信を得て、金曜日の午後に少しギャップを築くことができた。その後はマシンをコントロールすることに集中した。それは簡単な仕事ではなかったけどね」

 タナクはモンテカルロとコルシカではホイール破損で勝機を失い、アルゼンチンではオルタネーターの問題でマシンを止めることになった。彼はリスクを負ってチリのパワーステージを本気で狙うつもりではなかったと語ったものの、温存してきたタイヤのおかげでパワーステージでも勝利、選手権での遅れを挽回することになった。

「こういう結果でラリーを終えることは重要だった。僕たちは最近の2、3のイベントでは不運に見舞われ、多くのポイントを失った。ここでこの結果を獲得することが重要だった。何も達成できなければ、気持ちが下がる。僕たちはやっと正しい軌道に戻ったので、今後もプッシュし続けるよ」