WRC2021/01/25

タナク、3輪での危険走行で猶予付き1戦出場停止へ

(c)RedBull Content Pool

 ラリー・モンテカルロのスチュワードは、土曜日にダブルパンクのためにロードセクションを3輪で危険な走行を行ったとして、ヒュンダイ・モータースポーツのオイット・タナクに猶予付き一戦出場停止処分を科すことを決定した。

 タナクは土曜日の最初のステージ、ラ・ブレオル〜セロネでの左フロントのパンクに続いて今度はSS10サンクレマン〜フレシニエールで左リヤタイヤをパンクしてしまう。1本しかスペアタイヤ搭載していなかった彼は、このままリタイアしてもおかしくない状況だったが、モンテカルロのルールで土曜日にリタイアとなった場合には最終日にリスタートが許されないため、ノーポイントで開幕戦を終えることになる。

 それを避けるために彼はここでパンクしたタイヤのゴムが完全にダメージを受ける前にマシンをストップ、さきほどのステージでリムだけになったホイールをわざわざ装着してこのステージを走り切り、そしてステージをゴール後、ふたたび、かろうじてゴムが残ったホイールを左リヤに戻してロードセクションをギャップへと向かっている。だが、残念ながらサービスパークに辿りついた時にはパンクしたタイヤのゴムはほとんど失われて、3輪走行状態となっていたという。

 FIA WRCスポーツレギュレーションは第34.1.5条において「公道である道路区間およびステージ開始時には、競技車両は自由に回転する4つのホイールとタイヤでのみ走行することができる」と定めており、この条項に従わない車両は同規定第54条により「リタイアとみなされるか、もしくは、スチュワードが追加のペナルティを課すこともある」と定めているために、チームはオフィシャルの指示に基づいてタナクのリタイアを受け入れている。

 だが、モンテカルロのスチュワードは日曜日のゴール後、タナクとコドライバーのマルティン・ヤルヴェオヤ、そしてチームマネージャーを召喚、この件に関する詳細な事情調査を行っている。

 スチュワードによれば、FIA国際スポーツ規約第12.2.1.h条で定める、「安全ではない行為や合理的な措置を取らなかった結果、安全ではない状況に陥った」という条項にタナクが違反していると説明、たとえ競技者がWRC第34.1.5条のもとでリタイアとみなされたとしても、クルーがSS10の後も危険とみなされる危険な状態で公道を走り続けた行為はまさにこの条項に該当する違反だと説明、タナクに本日から11か月7日以内に同じ行為があった場合には1戦の出場停止処分を科すことを言い渡している。

 なお、スチュワードは今回のタナクのケースでは特別な状況であるため、今後、競技者がWRC第34.1.5条に違反した場合に今回と同じ制裁を科すわけではないと説明している。