ERC2022/08/28

ツァイス、タイヤ違反で猶予付き失格

(c)RedBull Content Pool

 バルム・チェコ・ラリー・ズリーンで2位につけるエリック・ツァイスは、タイヤ選択を隠そうとしてコンパウンドを見えなくした作業がタイヤ規定違反と判断されたが、幸いにも即時失格を免れることになった。

 ツァイスは昨年のバルム・チェコ・ラリーで最終ステージまでリードしながらクラッシュによりERC初優勝のチャンスを失っている。彼は今年も優勝争いが期待されたが、初日はヤン・コペツキから34.6秒遅れの2位となっており、いまのところ雪辱を果たすチャンスはなさそう状況となっている。

 さらにツァイスは、タイヤの改造禁止を定めたFIAリージョナル・ラリー選手権スポーティングレギュレーション第13条1.3項に抵触し、危うくラリーから脱落するところであった。

 同項は、以前のERCでは認められていたタイヤパターンのハンドカットなどの「加工」を禁止したもので、クルーは常に支給されたノーマルの状態のタイヤで走ることを義務づけられている。タイヤはトレッドだけでなく、サイドウォールなど表面に意図的に傷をつけることも違反となるが、ツァイスが金曜日の朝のループで使用したタイヤは6本ともサイドウォールにあるコンパウンドマークのペイントが掻き消されていた。

 ヤッコACCRチーム代表のペトル・ヴェイヴォダは、「タイヤ担当のメカニックとの間で、指示の行き違いがあった」と説明、スチュワードもこれらがパフォーマンスの向上を意図したものではなかったと認め、スチュワードは5000ユーロの罰金と今後12ヶ月以内にERCで違反を繰り返した場合には失格となる猶予付きの裁定を下している。

 WRCでは、全車が交換作業を終えたあとに公式タイヤサプライヤーであるピレリが各ドライバーのタイヤ選択を公表するのに対し、ERCでは今年、ピレリ、ミシュラン、MRFの3ブランドの使用が認められているため、タイヤ選択はライバルにわからないように極秘に行うのが一般的となっておる。

 そのためERCではタイヤのコンパウンドマークの上にステッカーを貼って隠すことがあるが、これはコンパウンドマークを削るなどのタイヤ表面の「加工」を禁じた同項の違反には該当しない。