WRC2017/04/01

トヨタ、初のフルターマックラリーに挑む

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racingは、4月6日から9日にかけて開催されるFIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦ラリー・ド・フランス・ツール・ド・コルスに、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラとユホ・ハンニネン/カイ・リンドストロームの2台のヤリスWRCで参戦する。コルシカ島のツイスティなターマックコースはTOYOTA GAZOO Racingにとって新たなるチャレンジとなるが、4戦連続の2台完走を目標に全力でラリーに臨む。

 フランスのコルシカ島が舞台となるツール・ド・コルスは、今シーズン初の純粋なターマックラリーとなる。コルシカ島は地中海西部に位置するフランス領の島で、多くの部分は険しい山岳地帯。島内には曲がりくねった山道が多く、ラリーのSSで使用される道もタイトなコーナーが連続する。それ故、ツール・ド・コルスは「1万コーナーのラリー」と呼ばれている。コースは道のすぐ脇に岩や断崖絶壁が迫るなどエスケープゾーンは皆無に近く、ほんのわずかなミスも許されない。また、舗装路とはいっても平坦で滑らかな道だけでなく、表面がざらざらに荒れていたり、古くなった舗装が崩れ、まるで未舗装路のようになっている道も多い。このように、たとえ舗装路であっても、よく整備されたサーキットとは大きく性質が異なる、きわめてチャレンジングなコースなのである。

 ツール・ド・コルスは、WRCがスタートした1973年からシリーズの1戦に含まれるなど、長い伝統を誇る。WRCのフランスラウンドは一時、本土のアルザス地方に開催地を移していたが、2015年よりコルシカ島に回帰。6年ぶりにWRCとして開催されたツール・ド・コルスでは、ラトバラが優勝を果たした。ラトバラは前年にアルザス地方で行われた2014年のWRCラリー・ド・フランスでも優勝しており、フランスのターマックラリーを2年連続で制している。一方、ハンニネンは2008年に1度出場経験があり、その時はプロダクションカーのグループNカテゴリー1位でフィニッシュしている。

 チームはツール・ド・コルスに向け、3月下旬にコルシカ島でテストを行った。各クルーは、本番と条件が近いターマックコースをそれぞれ2日間走り込み、ヤリスWRCをツール・ド・コルス仕様に仕立てあげた。チーム代表のトミ・マキネンは、テストがうまくいったため、初のターマックラウンドにむけた準備が万全に整ったと語った。

「クルマに改善を施し、今回のテストはとてもうまくいった。今のところ、ターマックでのヤリスWRCのパフォーマンスは非常に期待できると思っている。もちろん結果が伴えばベストだが、我々の目標は引き続き、経験と学びを積み重ねることとなる」とマキネン。

「今回のラリーに向けて、ポジティブなことがたくさんある。まず、ヤリ-マティはツール・ド・コルスが好きで、とても良いムードでいる。ドライバーがこのような精神状態のときは、よいパフォーマンスができるものだ。コルシカ島のコースにはカットできるコーナーはほとんどないため、彼は2番手走者だが、路面の状況については問題ない。また、ユホの体調も完全に回復した。前回のメキシコでは体調を崩しながらもよいパフォーマンスをして完走し、チームのためのポイントも稼いでいる。体調が万全になった今回はさらに自信を持って挑めるはずだ」

 ラトバラは、テストでは初日と二日目の路面特性にあわせたセッティングがうまくできたと語っている。

「私にとってツール・ド・コルスは特別なイベントです。1986年のヘンリ・トイボネンの事故も含め、フィンランド人ドライバーにとって、なかなか結果が出せない難しいラリーだったので、自分がこのラリーで勝てたことは非常に大きな意味があった」とラトバラ。

「2日間で380kmを走行したテストは非常にうまくいった。初日は道幅が狭くバンピーな道、2日目は高速で平らな道と、本番で想定される両方の条件でテストをし、ダンパーのセッティングをいくつかトライしながら、両方の条件に合う良いセッティングに到達した。モンテカルロを走って、ヤリスWRCのターマックでのポテンシャルはある程度分かっていたが、今はモンテカルロの時よりもさらによいフィーリングになっている。もちろんこれまでの3戦で分かったように、ライバル達もとても強いので簡単にはいかない。ここまで着実に行ってきたように、過度に結果にとらわれず、ラリーごとにクルマを改善していくという目的に向かって集中するつもりだ」

 ハンニネンは、テストでは長いステージにおいてタイヤのマネージメントすることを学ぶいい機会になったと語った。

「体調を崩していた前回よりずっと調子がよく、ターマックに戻る今回のラリーがとても楽しみだよ。昨年ここでレッキはしたが、ツール・ド・コルスには1度しか出たことがなく、それもかなり前のことだ。そのため、クルマのセッティングに関してはヤリ-マティのアドバイスにずいぶん頼り、その結果、とてもうまくいっている」とハンニネンは語った。

「モンテカルロと極めて近いフィーリングだが、主な違いはタイヤだ。このタイヤで、特に長いステージでベストな結果を出せるようにテストでしっかり学んだ。 メキシコで、粘り強くやれば、悪条件の中でもよい結果が出せることが分かった。そしてそれは、『もっといいクルマを作り続ける』というトヨタの考えにも通じるところがある」