WRC2020/09/08

トヨタ、勝田のパフォーマンスを過去最高と評価

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元が、9月4日から6日にかけて開催された、FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦ラリー・エストニアにヤリスWRCで参戦、経験豊かな強豪を相手に総合5位につけるなど健闘しましたが、最終日の朝にコースオフを喫し、残念ながら完走を果たす事はできなかった。

 新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、3月の第3戦ラリー・メキシコ終了後、しばらくシーズンが中断、多くのイベントが中止や延期となった結果、勝田の参戦計画も受けてきたが、やっとラリー・エストニアで参戦再開を果たすことになった。

 WRC初開催となるラリー・エストニア、地理的に比較的近いフィンランドと同じように非常にハイスピードなステージが特徴だ。勝田は以前にR5カーで2回出場経験があったが、WRカーでの出場は今回が初となる。今年のラリー・エストニアには11台のWRカーが出場し強豪が揃いましたが、勝田は序盤から良い走りを続け、大部分のステージで6番手タイムを記録。ステージによってはトヨタのチームメイトを上まわる好タイムをマークし、最長の1日となった土曜日最後のSS11では5番手タイムを記録、総合5位で1日を終えることになった。

 しかし、最終日の2つめのステージとなるSS13で勝田はコースを外れ横転、残念ながらリタイアとなってしまったが、そこまで全力でトップの選手と戦い続けたことにより、これまでとは違うレベルの経験を蓄積し、非常に有意義な1戦となっている。

 勝田は次のように戦いをふり返っている。

「土曜日はかなり自信を持ってドライブすることができましたし、ステージを重ねるごとにどんどんフィーリングが良くなっていきました。そして、いくつかのステージでは、世界最高のドライバーである、トヨタのチームメイトに近いタイムを刻むことができました。同じクルマで、彼らと自分を比較することができたのは本当に有意義でした。また、路面のコンディションが安定していたので、しっかりとグリップを感じて走ることもできました」

「日曜日は路面の変化が激しく、一晩中雨が降っていたので、かなり滑りやすいコンディションでした。僕がクラッシュしたコーナーは、ペースノートに記していた角度よりも少しきつかったのですが、それはレッキでの自分の判断ミスです。スピードが高すぎて側溝にはみ出し、3、4回転してしまいました。大きなクラッシュでしたが、ダンも僕も無事でした。チームには本当に申し訳なく思います。彼らは素晴らしいマシンを作ってくれましたし、アクシデントが起こるまでは走りを楽しんでいました。この週末に得た多くのポジティブな学びが、将来僕をより強くしてくれると確信しています。

 WRCチャレンジプログラムのインストラクター、ヤルッコ・ミエッティネンは今回のエストニアを評している。

「金曜日から土曜日にかけてタカは速く、コンスタントで、本当に良い走りをしていた。特に土曜日の走りはクリーンで迷いのない運転をしているように見えたし、間違いなく今までで最高のパフォーマンスだった。日曜日の朝のSS12を終えた時点で彼は総合5位につけ、トップとの差は1kmあたり0.41秒だった。この差は予想よりもはるかに小さく、1kmあたり0.81秒差だったラリー・スウェーデンと比べても、大きく改善されている。タカとダンのラリー・エストニアは少し早めに終わったが、彼らのパフォーマンスは強力だった。ラリーを学ぶ過程においては、ポジティブな学習曲線を描きながらも、時々壁にぶつかることもあるものだ」

 勝田の次戦は、10月8日から11日にかけて、イタリアのサルディニア島で開催されるWRC第6戦ラリー・イタリア・サルディニアとなる。勝田はこのラリーにR5カーで過去3回出場していますが、WRカーのヤリスWRCでの参戦は今回が初めてとなる。