WRC2017/06/03

トヨタ、3台体制のサルディニアは完走が最重要

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racingは、6月8日から11日にかけて開催されるFIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦ラリー・イタリア・サルディニアに、ヤリ-マティ・ラトバラ、ユホ・ハンニネン、エサペッカ・ラッピの3台のヤリスWRCで参戦する。チーム代表のトミ・マキネンは、難しいコンディションとなるサルディニアにおいてできる限り多くの実戦データを収集し、クルマの開発を加速させるためにも3台の完走が目標となると

 サルディニアのステージは、全体的に道幅が狭くツイスティで、道のすぐ脇まで木々が迫るコースが多い。道のコンディションは硬軟様々で、軟らかい道の表面は目の細かい砂のようなグラベルに覆われている。しかし、その下には硬質な岩盤や石が隠れており、ラリーカーが通過するたびに路面の状態はどんどんと変化し荒れていく。そして、2回目の走行では、より轍が深くなるため、慎重に車高セッティングを行う必要がある。

 また、6月のサルディニアは気温がかなり高くなることが多く、全開で走行するラリーカーのエンジンの温度は上昇しやすい。また、タイヤの温度もかなり上がり、ドライビングによる摩耗のコントロールが勝負に大きな影響を及ぼす。
 
 チーム代表のマキネンは、チームにとって初挑戦となるサルディニアが難しい戦いになることを予想しているが、できるだけ多くを学ぶためにも完走が重要となるとコメントしている。

「ラリー・イタリア・サルディニアは、とても大変なラリーです。我々のクルマの仕様は前戦ラリー・ポルトガルとあまり大きくは変わらないが、ポルトガルで学習したいくつかのことが、イタリアで役立つだろうと期待している。サルディニアは気温がかなり高くなると予想され、パンクの可能性も高まる。しかし、我々の選手は皆プロなので、うまく対処してくれるはずだ。3台揃っての完走が私の希望であり、その上で何ポイントか獲得できれば、なお良しです。サルディニアでは、エサペッカに協力をしてもらい、実戦の場での開発を予定しているが、何よりも重要なのは走行距離を伸ばし、可能な限り多くを学ぶことになる」

 現在ドライバーズランキング3位のラトバラは、2009年にサルディニアで総合優勝しており、それ以外に4回表彰台に上がっている。彼はここではコースにかき出された石をいかに避けるかが勝負になると語った。
 
「ラリー・イタリア・サルディニアへの出場をとても楽しみにしているが、きっとラリー・ポルトガルよりも暑く、路面が滑りやすく、そして出走順がより大きな影響を及ぼすことになる」とラトバラは語った。

「路面は場所によって非常に硬いため、それほど荒れもせず、またコースを2回目に走行する際もコンディションはそれほど悪くはなりません。ただし、路上の石は跳ね飛ばされることなく道の上に留まり続けるため、パンクの可能性が高く、ダンパーにダメージを受ける危険性もある。それを避けるためには、コーナー内側の石に注意して走るなど、ドライビングスタイルを少し変える必要がある」
 
 ハンニネンは過去に4回、サルディニアへの出場経験があり、2011年にはSWRC(スーパー2000世界ラリー選手権)で2位に入っている。彼はクリーンな走りで最後まで

「第5戦ラリー・アルゼンチンの前にサルディニア島でテストを行なった。かなり前のことだし、今よりも気温は低かったけれど、それでもサルディニアの道に対する理解を深めることができた」とハンニネンは語った。

「暑いラリーとなるが、タイヤ選択に関してはよりシンプルになり、あまり迷わなくて済むのは良いことだね。我々にとってポルトガルはとても良いラリーとなり、多くの学びを得ることができた。今回もクリーンな走りができれば、さらに多くのポイントを獲得できるチャンスがあるはずだ。グラベルステージでの初日の出走順は僕らにとって有利に働くはずだから、それをうまく活用して最後まで戦うつもりだ」

 前戦ポルトガルでWRカーデビューを果たしたラッピは、前戦と同様に開発ドライバーとしての役割を担って出場する。彼は過去にシュコダ・ファビアR5で2回このラリーに出場している。

「ラリー・イタリア・サルディニアは常に、純粋に速さを競うよりも、リタイアせず生き残る事が重要なイベントだ。したがってトラブルやアクシデントと無縁で最後まで走り切り、フィニッシュすることが目標となる」とラッピは語った。

「サルディニアではテストのためにいくつか新しいパーツを装着して走る予定なので、完走してデータをチームに提供することが僕の任務だ。ラリー・ポルトガルでの結果を受け、周囲の期待の高まりを感じるけれど、僕自身は変わらず自分の任務に集中して臨むつもりだよ。サルディニアを前にフィンランドで1日テストを行ない、クルマのセットアップに対する理解を深めることもできた。もちろんフィンランドとサルディニアでは条件が違うが、それでも約150kmを走り、異なるサスペンションのセッティングを試すことができたので、とても有効だった」