WRC2018/07/31

トヨタの若獅子たちのフィンランドは厳しい結果に

(c)Toyota

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 トヨタGAZOOレーシング・ラリーチャレンジプログラムの勝田貴元、新井大輝およびコドライバーの足立さやかが、7月26〜29日に開催されたFIA世界ラリー選手権(WRC)第8戦ラリー・フィンランドに参戦、新井がWRC2選手権7位、ニカラ・足立組が同14位で完走、勝田は安定した速さで成長を見せるもリタイアとなった。

 WRC全戦の中で非常に平均速度が高いラリー・フィンランドは、森林の間を通るスムーズなグラベル(未舗装路)と数多くのジャンプとクレスト(丘)で知られている。勝田、新井にとっては昨年、一昨年に続き3度目の参戦となったが、今年のスペシャルステージは2017年に使われた道の約65%が変更され、より道幅が狭く、テクニックを要求される道が増え、新たな挑戦となった。

 勝田は金曜日の朝から安定した走りと競争力あるスピードでWRC2の5位につけていたがSS8でトラブルが発生。ジャンプからの着地の際にパワーステアリングの誤作動が起き、操作不能となりコースオフ。車両のダメージが激しく修復不能のためリタイアとなっている。

勝田貴元:「SS8で左コーナーの前のジャンプからの着地時に急にステアリングが違う方向にロックされ、右に行ってしまい、車をコースに留めることができませんでした。一瞬のことだったのでどうすることもできませんでした。それまではだんだん調子が上がっていただけに残念です。朝はあまりリズムに乗れていなかったので午後はドライビングスタイルを変え、フィーリングもより自然になって徐々に良くなってきていたところでした。とても早くラリーが終わってしまいましたが、1年前と比べて成長は見せられたと思いますし、安定性も向上したと思います」

 新井はイベントを通し、多くのトラブルを抱え、金曜日の朝のステージでは走行ラインがイン側に寄り過ぎ、車を横転させている。その後も走行は継続しましたが、午後のステージで2度のパンクを喫し、スペアタイヤが足りずSS10を前にデイリタイアとなった。ラリー2規定により再出走した土曜日はいくつかメカニカルトラブルがあったものの粘り強く走行を続け、最終日まで徐々にペースを上げ、WRC2選手権7位でラリーを終えている。

新井大輝:「たくさんの問題を抱え、難しいラリーでした。最終日にはやっとクリーンな走りをすることができてよかったです。最終日は2本のスペアタイヤを積んでいたので車が重かったことを考えると比較的良いタイムを出すことができたと思います。この部分はポジティブな要素と考え、次回のフィンランドラリー選手権で戦うことを楽しみにしたいと思います」

 また、足立にとっては初参戦であり、今年2月のラリー・スウェーデンに続き2戦目のWRC2への挑戦となった。いきなり金曜日のSS2でコースオフしてデイリタイアとなったが、二人は再出走した翌日以降は競争力あるスピードを見せ、3つのステージで2番手タイムを記録した。パワーステアリングやポップオフバルブのトラブルの発生もあったが、残りの2日間を走りきって貴重な経験を積んでいる。

足立さやか:「長くて厳しいラリーでした。SS2でコースオフしてしまったときは信じられない気持ちでしたが、チームが素晴らしい仕事をして車を直してくれました。翌日からはとにかく距離を重ねて経験を積むことに集中しました。ペースノートのリーディングはまだ少し遅れる部分もありましたが、フィンランドの道でのヤルッコの豊富な経験がカバーしてくれました。コ・ドライバーとしてとても成長したと感じています」

ヤルッコ・ニカラ:「SS2でのコースオフはとても残念だった。コーナーでスピードを出し過ぎ、膨らんでしまったんだ。翌日からは再びリズムを取り戻し、いくつかマシンにトラブルがあったにもかかわらず、良いタイムを出すことができた。サヤカとのコミュニケーションも概ねうまくいった。ラリー・フィンランドのような高速スピードにおいてはペースノートの適切なリズムを掴むのが大変だったが、残りの二日間を二人で乗り切り、経験を積むことができてうれしく思う」

 TGRチャレンジ・プログラムにおいてチーフインストラクターを務めるヨウニ・アンプヤは次のように評した。

「金曜日は3台とも最後まで走りきれず、チームにとってはとても厳しい一日となった。新井とニカラは小さなミスが原因でデイリタイアとなり、勝田はメカニカルトラブルによるアクシデントで翌日以降も走ることができなかった。彼らのスピードからはポジティブな面も見ることができたが、期待していた結果は得ることができなかった。しかし、下を向くことなく、起こったことをきちんと分析し、次のイベントではより良い結果を出したいと思います」

 勝田、新井、足立の3名にとっての次戦は、8月31日〜9月1日に開催されるフィンランド・ラリー選手権第6戦エンセントSMラリーとなる。勝田、新井は、フォード・フィエスタR5で、ニカラ・足立組はスバル・インプレッサWRX STI R4での参戦となる。