ダカール・ラリーの第9ステージは、トヨタGAZOOレーシングがトップ3を独占、これまで不運に見舞われてきたジニール・ド・ヴィリエ(トヨタGRダカールハイラックス)が今大会で自身初のステージ勝利を飾り、総合首位のナッサー・アル‐アッティーヤ(トヨタGRダカールハイラックス)が再びリードを広げることになった。
ワジ・アド-ダワシールの南部をループする287kmの第9ステージは、前のステージより短く、より高速なステージとなったため、フィニッシュ時のトップ5のタイム差は約2分に留まった。
2009年のダカール勝者であるド・ヴィリエは、この高速戦でチームメイトのヘンク・ラテガン(トヨタGRダカールハイラックス)と激しく競い、最終的に9秒の差をつけてトップでフィニッシュした。
アル‐アッティーヤは第2ウェイポイント手前でトラブルに見舞われ1分以上遅れたが、その後順調に追い上げ、ド・ヴィリエから51秒遅れでフィニッシュ、バーレーンレイド・エクストリームのセバスチャン・ローブ(BRXハンター)に1分7秒差をつける3番手タイムで終え、総合リードを39分5秒へと拡大した。
ステージ中盤はワジ(河床)や谷が続き、ナビゲーションの難しさが予想されていたが、ローブとナビゲーターのファビアン・ルルカンはこの区間で2分近く遅れてしまい、トップ争いから脱落した。
ステファン・ペテランセル(アウディRS Q e-tron)もステージ勝利の可能性をもっていたが序盤で脱落、ラテガンとド・ヴィリエのトップ争いが激化し、16秒あったド・ヴィリエのリードは200km地点付近で5秒まで縮まった。
その後、リードは再び開いたが、ラテガンが再度この差を縮め、ド・ヴィリエは僅か9秒差で、自身通算18回目のダカールステージ勝利を獲得した。
ド・ヴィリエの2022年のダカールは、最初の週にバイクとの事故により2度のタイムペナルティを受け、波乱の幕開けとなった。その後、2度目のバイクとの接触で科された5時間のペナルティは撤回されたが、日曜日の第7ステージでオイルパイプが緩み、4位から9位へと後退してしまった。表彰台からも大きく遠ざかってしまったが、それでもこのステージ勝利でふたたび総合5位まで挽回した。
「本当にいいドライブで、うまくプッシュすることができた。終盤50kmほどで左フロントタイヤがスローパンクに見舞われたが、なんとか持ちこたえてくれて、今はとてもハッピーだ。チームのためにもとても嬉しい」とド・ヴィリエは語っている。
「僕たちはこれまで運が悪かった。残念なことにオイルパイプが外れて1時間失ってしまったが、このレースはとても奇妙だ。僕たち自身にもいくつか課題があった。最初の1週間は理想的ではなかったと言わざるを得ない。非常にストレスが多く、精神的にもすごく疲れた。もう二度と経験したくないことだが、それはもう過去のことだ。過去は変えられない。今は未来に目を向けている。まだ3つのステージが残っているので、何が起こるかわからない。だから、それまではベストを尽くす」