WRC2020/03/19

ヌーヴィル、Rally1は頂点のマシンとして魅力ない

(c)Hyundai

 ヒュンダイのティエリー・ヌーヴィルは、2022年から世界ラリー選手権のトップカテゴリーに導入される新しいグループRally1ラリーカーでは、ドライビングの魅力が失われ、面白くない選手権になってしまうと警告した。

 ジュネーブにおいて開催されたワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)は、2022年から世界ラリー選手権のトップカテゴリーに導入される新しいグループRally1のテクニカル・レギュレーションを承認した。

 Rally1は、現在のWRカーのフォーミュラに可能な限り近いパフォーマンスレベルを達成しながら、FIAが進める5つの階層から成り立つラリー・ピラミッドの最上段に位置づけられるが、サスティナブルなWRCを目指すためにマシンのエアロダイナミクスおよびメカニカルコンポーネント全体にコストを削減するための新しいレギュレーションが適用され、資金が潤沢なマニュファクチャラーのチームがライバルよりも優位に立つことを防いでいる。

 Rally1のすべてのマシンがハイブリッドシステムを共有することになり、それとともにFIAを中心として開発される共通のクラッシュ構造をもつことになる。エンジンについては現行WRカーのGRE(グローバル・レース・エンジン)を踏襲するかグループRally2(昨年までのR5)のエンジンをベースとするか決定はされてないが、「より多くのマシンがレギュレーションに適合し、参戦することができるようにする」という新しい車両規定のコンセプトからすれば、コスト削減の流れはここでも変わらないと考えられている。

 だが、ヌーヴィルは、おぼろげながら姿をみせてきた将来のトップカテゴリーのマシンがグループRally2(R5)プラス仕様にすぎないとして不満を表明し、それによってスペクタクルなWRCを実現するために行ったいまのWRカーへのすべての作業が台無しになってしまうと語った。

「僕はボスにこの戯言に同意するかどうかすぐに尋ねたが、どうやら、そのようだ」とヌーヴィルは語った。

「コストを削減し、ギヤを5速に戻し、センターデフを無くし、エアロダイナミクスの低下、サスペンションのホイールトラベルの低下など、マシンの技術的な面白さを低下させることは、正直に言って、僕には理解できない」

「3年前から、僕たちはWRカーに新しい命を吹き込もうとやってきた。そして正直、それは非常にうまくいった。それがプロモーションの面から、そしてスペクタクルの面からも成功した。それなのに今、R5プラスに戻そうとしている。もちろん、どうなるか確かめるつもりだが、僕は自分がそれらのマシンをドライブすることに興味を持つかどうか今は分からない」