WRC2020/12/03

ヌーヴィルがモンツァのシェイクダウン最速

(c)Hyundai

 2020年世界ラリー選手権(WRC)最終戦ACIラリー・モンツァのシェイクダウンが木曜日の朝に行われ、ヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)が最速タイムをマーク、選手権リーダーのエルフィン・エヴァンス(トヨタ・ヤリスWRC)は9番手タイムに留まった。

 いつものイベントでは、シェイクダウンは本番のコースとあまりにもコンディションやキャラクターが違いすぎることから、それほどこのウォームアップを重視するドライバーがいるわけではないが、ラリー・モンツァのサーキットで行われるすべてのステージと同様にモンツァ・サーキットの本コースとコース内の施設道路やグラベルセクションを組みあわせたフォーマットとなるため、シーズン最終戦のコースにおけるペースをつかむうえでも重要なセッションとなった。

 4.64kmのモンツァ・サーキットのコースで行われたシェイクダウンは、前日に降った雪がコース脇に残り、氷点下でのスタートとなった。まるでラリー・モンテカルロのように雪が融けだして冷たく濡れたターマックとウェールズ・ラリーGBのようなぬかるんだ泥のセクションがいかに滑りやすく困難であるかを誰もがすぐに理解することになった。

 一番手のポジションでこのシェイクダウン・コースに臨んだエヴァンスは、霧のために視界の悪くなったバックストレートにつくられたシケインの2つめでスピン、マシンをスライドさせてコンクリート製の次のシケインにリヤをヒット、コース脇のグラベルへとコースオフしてしまう。幸いにも彼は20秒あまりをロスして走りきるも、いきなり洗礼を受けることになってしまった。

 一回目の走行での最速タイムは選手権で3位につけるヌーヴィルだ。彼は2番手タイムのセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)を3.5秒も上回る3分8.7秒の素晴らしいタイムを叩き出して暫定トップに立つことになる。

 このあとほとんどのドライバーが3回から4回の走行を行ったがヌーヴィルのタイムは破られず、3回目の走行でおいてチームメイトのオイット・タナク(ヒュンダイi20 クーペWRC)が2.1秒差の2番手タイムで続くことになり、ヒュンダイが1-2でシェイクダウンを終えることになった。

「面白い週末になりそうだ。しかし、シェイクダウンでもスリッピーなコンディションだったから、本番はさらにスリッピーなものになるだろうね」とヌーヴィルは語っている。

 オジエは3回目の走行を終えた時点でタナクから0.7秒遅れの3番手に後退した。

「今の天候は大きなチャレンジだと思う。サーキットの路面はいつものラリーよりも少し楽なように聞こえるが、実際にはそうではない」とオジエは厳しい表情を浮かべていた。

 チームメイトから0.9秒差の3番手にはカッレ・ロヴァンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)、勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)が1回目の走行ではスピンしたものの果敢な走りでロヴァンペラから0.4秒差の4番手タイムで続いている。

 勝田はレーシングドライバーだった時代にモンツァでレースをしたことがあるが、今週はそれがアドバンテージにはならないと断言した。「期待はしていない。コースが違うし、グラベルセクションも多い。前のキャリアで僕が知っていたものとはまったく違うよ」

 勝田から0.2秒遅れの6番手には、Mスポーツ勢最速タイムのガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)、2Cコンペティション・ヒュンダイからWRカーデビューのオーレ・クリスチャン・ヴェイビー(ヒュンダイi20クーペWRC)がさらに0.1秒差の7番手タイムで続き、前戦のラリー・イタリア・サルディニアで優勝しているダニエル・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)を1.9秒上回ってみせた。

 また、1回目の走行でスピンしたエヴァンスはその後もタイムを伸ばせず、ヌーヴィルから6.5秒遅れの9番手タイムにとどまっている。