WRC2017/04/09

ヌーヴィルとヒュンダイ、待望の今季初優勝

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 2017年世界ラリー選手権(WRC)第4戦ツール・ド・コルスは9日に最終日を迎え、ヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)が今季初優勝を飾ることになった。

 ツール・ド・コルス最終日はバスティアから島を南下、53.78kmのアンテザンティ〜ポッジオ・ディ・ナッツアを走ったあと、タイヤフィッティングゾーンでのタイヤ交換のみでパワーステージの10.42kmのポルト・ヴェッキオ〜パロンバッヅィアを走る2SS/64.20kmの一日だ。

 快晴の朝を迎えたコルシカ。3日間とも雨は降らなかったものの、この日も大きなドラマが待っていた。53.78kmというラリー最長ステージで首位のヌーヴィルは攻めたわけでないと語りながらも最速タイムをマーク、Mスポーツのセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)がペースダウンしたため、リードを57.8秒へと広げることになった。

 ステージをフィニッシュしたオジェはレポーターの問いかけに対して何も語らずに走り去り、その後、ロードセクションでジュリアン・イングラシアとともにチームの指示を受けながらフィエスタの修理を試みている。チームは断続的に電気系の問題が発生しているようだと発表したが、この問題が解決したかどうかははっきりしていない。オジエはこのトラブルでダニエル・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)に抜かれて3位に後退したとはいえ、その差はわずか2.5秒遅れにすぎない。

 そして迎えた最終ステージ、オジエはスタート前になってもトラブルの内容については相変わらず語ろうとせず、「パワーステージを走り切れるかどうかわからないが、なんとかできるだけ多くのポイントを獲得したい」と不安な表情で語っていたが、どうにか快調なペースで10.42kmを走りきり、ソルドを1.3秒差で逆転することに成功、2位を奪い返すことになった。

 オジエはゴール後、「フィニッシュできて嬉しい。パワーもなく、アンチラグもなく、ディファレンシャルはロックされていた。最後のステージではハンドブレーキも全く使えなかった」と明かし、厳しい戦いから解放されてほっとした表情を浮かべることになった。

 大きなリードを奪ってラリーリーダーとして最終ステージを迎えたヌーヴィルはマシンを大きくスライドさせないクリーンな走りでフィニッシュ、54.7秒のギャップでラリーを制することになった。開幕戦モンテカルロ、そしてスウェーデンと、いずれも圧倒的な大差でラリーをリードしていながら自らのミスで勝利を失ってきたが、シーズン4戦目にして待望の今季初優勝を飾ることになった。

「最高の気分だよ。チームに特に感謝したい。彼らはいつも僕を信じて、モンテカルロとスウェーデンの後でも僕を励まし続けてきてくれた。初日の後はこのイベントに勝てるかどうか分からなかったが、2日目に建て直すことができた。とても嬉しいよ」とヌーヴィルは語っている。

 ヒュンダイの1-2勝利はならなかったものの、ソルドは3位でフィニッシュできたことに満足していると語った。しかし、彼は速さはあるものの、けっきょく最後までクルマのフィーリングがいいのか悪いのかはっきり把握できないままにゴールを迎え、ゴール地点で首を傾げることになった。

 4位争いは最後まで息詰まるバトルとなった。SS9でシトロエンのクレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)が3番手タイムをうばい、トヨタのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)を2秒逆転して4位へと浮上することになったが、最後のパワーステージで渾身の走りで駆け抜けたラトバラがわずか0.1秒上回って4位を獲得することになった。トヨタのパワーステージ勝利はスウェーデンに続く2回目となる。

 6位にはヒュンダイのヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)。トップ3のタイムを一度もだせないままに不本意なラリーとなった彼は最終ステージでボーナスポイントを狙いにいったが、ジャンクションでオーバーシュート、そのあとはステージでドリフトを楽しみ、鬱憤を晴らしていた。

 7位にはWRC2トップのアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアR5)、1分6秒遅れでテーム・スニネン(シュコダ・ファビアR5)が続き、自らのチームを結成してコルシカに挑んだステファン・サラザン(シュコダ・ファビアR5)が見事トップ10フィニッシュを果たしている。

 トラブル続きの週末となっていたトヨタのユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)はSS9の48km地点でコースオフ、リタイアになった。