WRC2020/10/09

ノートを読むのが忙しくて恐怖を感じる暇がない

(c)Pirelli

 ラリー・イタリア・サルディニアでの話題の一つが、ペター・ソルベルグが2021年に世界ラリー選手権に投入される新しいピレリ・タイヤのキャンペーンとして最終日のパワーステージでシトロエンC3 WRCで走ることだろう。しかも、コドライバーを務めるのは、同じノルウェー出身のアンドレアス・ミケルセンだ。

 ペターは、木曜日に行われたシェイクダウンで初めてミケルセンとコンビを組み、新しいマシンと新しいタイヤに慣れるために3回の走行を行っている。

 ペターは、その日の夜に行われた記者会見において、ミケルセンのコドライバーとしての仕事ぶりに満点をつけたが、ミケルセンはペターのノートの情報量に驚き、読み上げるのに忙しくて恐怖を感じる暇がなかったと明かして笑いを誘っている。

―ペターとアンドレアス、ピレリのデュオ。二人でまったく同じポジションに座り、今週末同じクルマに乗ることになっています。そして運転席にはペター、そんなシチュエーションが実現するのはいいものですね。ここで2人に会えるなんて最高です!ピレリがメインのタイヤサプライヤーとして2021年の選手権から参戦するわけですが、まずペター、今週末あなたがここに来た理由を教えてください。

ペター・ソルベルグ:「まず最初に、これは素晴らしいストーリーなんだ。先にこのことから伝えたい。僕が以前に(2004年に)サルディニアで勝ったとき、その時ピレリも一緒で、彼らがそれに沿ってストーリーを盛ったんだ。僕はどうせやることなくて暇だったからね(笑)とても楽しいし、プロモーションの一環としてこうしたことをするのはピレリのためにもいいことだ。それからファンのためにもね、素晴らしいよ」

―ということで、あなたがパワーステージを走るのを見られるわけですね。あなた方の間で実際、誰が運転席に座ることになるのか、どのように決めたのですか?

ソルベルグ:「それは非常に難しかったよ、なにせコドライバーとしてのアンドレアスと組んだ経験はなかったからね、でも彼は大きな問題どころか、まったく問題なく出来ていたし、実際ペースノートを書くのも読むのも最高にうまかったんだ。感動したよ」

―ペター、あなたのペースノートは難しくて、テクニカル、情報量が豊富なことで有名で、クリス・パターソンがあなたの横に座った時はほとんど息をつく暇もなかったらしいですね。

ソルベルグ:「だからその点がアンドレアスにはまったく問題なかったということさ」

―アンドレアスのために少しテクニカルな部分は抑え気味にしましたか?

「いや、もっと多くなっている」

―アンドレアス、ペターはノートを少し簡単にしてくれましたか、それとも全然大変な仕事になってますか?

アンドレア・ミケルセン:「もちろん、彼のペースノートのシステムについては前から知っているからね、だからすでに心の中で自分で準備を始めていたよ。でもレッキをスタートした時に、その情報量のすごさに衝撃を受けた。けど、それでも僕はすべての情報をタイミングに間にあわせるために可能な限り速く読み上げなければならない、でもそんなに速く正確なタイミングに間に合わせるために考えることすらできなくなるんだ、とにかく必死についていく感じ。でもそれも結構楽しい、生まれて初めて乗客として乗っていることが怖くなかったんだ、普段なら外の様子がどうなっているのかが気になって、それが怖いと感じてしまうんだけど、今回は忙し過ぎて、自分のやっていることに集中するあまり、怖いなんて考えている余裕もないんだ。今朝のシェイクダウンは楽しかったよ。そうだね、まだちょっと間に合っていなかったけど、だいぶ上達してきているよ」

―アンドレアス、ペターが一部のソーシャル・メディアで、冗談であなたとともにパワーステージで最速タイムを狙いにいくと宣言した時、あなたの目が一瞬恐怖を感じているように見えました。

ミケルセン:「そうそう、あの有名な5ポイント!」

―ピレリとの仕事について、開発ドライバーとして、どんな感じに進んでいるのか、そして2021年にその成果が出るのをあなたがどのくらい楽しみしているのかについて話してくれますか?

ミケルセン:「どんなものになるのか非常に興味深い。もちろん、ピレリとの主な狙いは、タイヤをサプライズを発生させない一貫性のあるものにしていくと同時に、極めて高いレベルのパフォーマンスを発揮できるものにすることだ。その点については達成することができたと本当に自信をもっている。他のドライバーたちからのフィードバックを聞くのも楽しみにしているけど、ターマック、グラベル双方で充実したテストができたし、タイヤに関してはすごく確信が持てている、だから僕たちはいい立ち位置にあると思う」

―私たちはあなたの性格のことも分かっています、あなたはペターにもかなり厳しめようですが、彼にもそうしたことは話していますか? 

ミケルセン:「いや、ぼくたちは二人ともクルマの中でずっと笑顔がはじけているよ。もちろん、コドライバーとしての僕に対するペターは辛抱強く対応してくれている。レッキではいい感じでリラックスしたよ」

ソルベルグ:「彼がどんな感じにペースノートを書くのかを見た方がいいと思うよ」

ミケルセン:「そうそう、あれはコドライバーたちと普段からの彼らの取り組み方に革命をもたらしただろう」

―いったい何をしたのですか?

ミケルセン:「走っている時はペースノートを書かないんだ、難しすぎるのは明らかだからね。というわけで僕たちのやり方としては、彼の言っていたのを僕が録音して、ステージのあと30分のコーヒー休憩をとって、僕が安らいだ中ですべての情報をかき出せるようにした。時間はかかったけど、なんとかできた。僕たちが走るのが1ステージだけで良かったよ、なにせとんでもなく時間がかかったからね!」