WORLDWIDE2021/05/10

バッソ、タルガでブリーンの追撃から逃げ切る

(c)ACI Sport

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 イタリアで3度、ヨーロッパで2度のチャンピオンに輝いているジャンドメニコ・バッソ(シュコダ・ファビアRally2エボ)は、ヒュンダイ・モータースポーツのクレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20 R5)のプレッシャーに耐え、タルガ・フローリオで自身初の優勝を果たした。

 5月7〜8日にシチリア島のターマックを舞台に争われたイタリア・ラリー選手権の第3ラウンドであるタルガ・フローリオで、バッソは10SSのうち9ステージで首位を守ったが、2位のブリーンとのギャップは最大で5.1秒を超えることはなかったほどの接戦が終盤まで続くことになった。

 ブリーンは、プジョー207 S2000に出場した2012年のタルガ・フローリオでコドライバーであり友人でもあるギャレス・ロバーツをクラッシュで亡くしており、それ以来、初めてこの島のラリーに戻ってきた。「素敵な思い出を残して、この島とあのアクシデントについての僕の悪い記憶を解放したい」とスタート前に語っていたブリーンは、SS7のトップタイムでバッソの1.6秒後方まで迫ることになった。

 最後のループのSS8でふたたびバッソがベストタイムを奪って4.9秒のリードとしたが、SS9は開幕戦勝者のステファノ・アルベルティーニ(シュコダ・ファビアRally2エボ)がクラッシュしたためキャンセルとなり、最終ステージのSS10でブリーンは反撃を試みたが、最終的にバッソが2.4秒差をつけて逃げ切ることになった。

「僕はとても幸せだよ。なんといってもクレイグと戦うのは大変だったからね。それでも最後は僕らが勝つことができたし、勝利を信じていたよ。タルガの勝利を家に持ち帰ることができえ幸せだよ」とバッソは語った。バッソはこの勝利で選手権で43ポイントを獲得、ブリーンを2ポイント上回って選手権リーダーとなっている。

 ブリーンにとってはSS9のキャンセルが惜しまれるが、2位でゴールできたことに彼は満足そうに笑みをみせている。

「今週末に満足している。この週末の戦いは大変だったが、結果はともかくゴールできたことに満足している。タルガに戻ることは複雑なものだったが、この9年間、僕を支え続けてくれた家族に感謝したい。そして、皆さん、ありがとう!」

 チャンピオンのアンドレア・クルニョーラ(ヒュンダイi20 R5)はシェイクダウンでエンジンに技術的な問題が発生、フリウリモータースポーツは必死に修理を試みたがスタートには間に合わなかった。

 また、タルガ・フローリオは、11度のイタリア・チャンピオンのパオロ・アンドレウッチがルノー・クリオRally4をデビューさせたことでも注目を集めていたが、彼は2WDクラスで2位につけていたが最後のループでメカニカル・トラブルのためにリタイアとなり、クリストファー・ルケーシ(プジョー208 Rally4)が優勝を飾っている。

 タルガ・フローリオWRCプラスには、ヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィル、そして2Cコンペティションからオーレ・クリスチャン・ヴェイビーによって2台のヒュンダイi20クーペWRCがスタートラインにつけることになった。

 ヌーヴィルはオープニングSSからリードを築いたが、SS2ではヴェイビーが同タイムでのベストタイム、さらにSS3でも単独でベストタイムを刻んでヌーヴィルに2.3秒差まで迫ったが、そのあと7SS連続でベストタイムを奪ったヌーヴィルが42.6秒差をつけて優勝を飾っている。

 新しいコドライバーであるマルテイン・ウィダーゲとの7戦目のラリーを勝利で飾ったヌーヴィルは、次のようにコメントしている。

「僕らはいい仕事をしてタルガ・フローリオで楽しい時間を過ごすことができた。マシンはいい調子だったし、ステージも美しかった。コドライバーとの仕事はとてもうまくいったので、成功を期待してラリー・デ・ポルトガルに向かうよ」

 ヴェイビーにとっては昨年12月のACIラリー・モンツァ以来、2度目のWRカーでの参戦となったが、アンドレアス・ミケルセンが彼のサポートを行い、彼は進化のための貴重な機会に感謝していると述べている。

「とても楽しかったよ。タルガのステージはとても美しかったし、このような素晴らしい機会を与えてくれたヒュンダイに感謝したい。一歩一歩の前進だったが、進歩が見られたのでラリーにも満足しているよ」