ERC2022/07/24

バッソが2度のフライング、クルニョーラが首位に

(c)ERC

(c)ERC

(c)ERC

 ヨーロッパ・ラリー選手権第6戦のラリー・ディ・ローマ・カピターレは土曜日を迎え、アンドレア・クルニョーラ(シトロエンC3 Rally2)が2位のダミアーノ・デ・トマソ(シュコダ・ファビアRally2エボ)に9.5秒差をつけてリードを築いている。

 ラリー・ディ・ローマは2度のヨーロッパ・チャンピオンであるジャンドメニコ・バッソ(ヒョンデi20 N Rally2)の波乱とともに始まっている。このラリーで過去2勝しているバッソは、今年も優勝候補の一人と目されていたが、金曜日の夜に行われたローマのシンボルであるコロッセオのオープニングステージでベストタイムを奪ったあと、ジャンプスタートによる10秒のペナルティが課されて21位からのスタートとなっていた。

 さらにバッソは、土曜朝のオープニングステージでもふたたびベストタイムを奪ったが、またしてもジャンプスタートを犯していたと宣告されることになる。2度目のジャンプスタートは1分のペナルティとなるため彼は完全に苦境に立たされることになった。

 バッソは、このオープニングレグで3回のファステストタイムを記録していながらトップから1分12秒7遅れとなっており、2度のジャンプスタートの問題がなければ、トップからわずか2秒7差だったことになる。さらに彼は、この日の最終ステージで、ペナルティに対するアピールをする可能性を示唆した。

「ペナルティについてはよく分からないので、確認しなければならない」とバッソはコメントした。

 バッソがジャンプスタートでトップ争いから脱落したことで、26 歳のデ・トマソが土曜日をラリーリーダーとしてスタートするという意外な展開となるが、今季、タルガ・フローリオでイタリア選手権に初優勝した期待の若手は、SS3サントパドレのステージでERC初のベストタイムを獲得、2年前にイタリア・チャンピオンに輝いているクルニョーラを4.8秒引き離して朝のループを終えることになった。

 デ・トマソは、午後のループの最初のステージのSS5ロッカセッカのステージでこの日2つめのベストタイムを奪い、クルニョーラに5.6秒差をつける堂々としたパフォーマンスを見せることになった。

 しかし、猛暑のステージでこれまでタイヤを温存することに慎重になりすぎたと認めたクルニョーラが、サントパドレの2回目の走行となるSS6でデ・トマソを9.8秒上回り、一挙に首位立つや、この日の最終ステージのグアルチーノでも連続してベストタイムを出し、リードを9.5秒に広げた。

 クルニョーラが土曜日のローマでリードしたのはこれが初めてではない。昨年も同じような状況に陥ったが、最終日にパンクして優勝をバッソにさらわれている。

「今日は全体的にはいい一日だったが、戦いはとてもタイトだ」とクルニョーラは語った。

「今朝は、ロングステージでペースをコントロールしてタイヤをマネージしようとしすぎて、少しタイムをロスしてしまった。明日はほぼゼロからのスタートだ」

 チームMRFタイヤのシモーネ・カンペデッリ(シュコダ・ファビアRally2エボ)はラリー・ディ・ローマでの7回出場した経験を活かし、デ・トマソから16.9秒遅れの3位で続いている。ERC常連の彼は、今季はアクシデントも多く、ラリー・イスラス・カナリアスの5位が最高位となっているが、ローマではようやく調子を取り戻し、土曜日のオープニングステージでスピンさえしなければ、さらに上位に近づけたはずだった。

 カンペデッリの8.7秒後方の4位にはヨアン・ボナート(シトロエンC3 Rally2)が続き、わずか0.7秒差の5位で選手権リーダーのエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRally2エボ)がつけている。

 ヤレーナは、このままいけばERCドライバーズタイトルを獲得する可能性があるが、6位につけるシモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRally2エボ)がこのポジションでフィニッシュした場合にはタイトル争いは次戦のバルム・チェコ・ラリー・ズリーンに持ち越されることになりそうだ。

 テンペスティーニは、表彰台を狙えるペースで走っていたが、気温の上昇とともにアンダーステアに苦しんでおり、ファビオ・アンドルフィ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が1.6秒差の7位でつづいている。

 また、前戦ラリー・リエパーヤでERC初勝利を飾ったマーティシュ・セスクスはふたたびチームMRFタイヤのシュコダ・ファビアRally2エボで参戦したが、7位で迎えたSS3サントロパドレでブレーキミスしてコースオフ、クラッシュしたマニュエル・ギグー(アルピーヌA110 RGT)の赤旗が提示された直後、再びコースに戻って走り出すことができたが、62位と順位を大きく下げている。

 また9位につけていた最終ステージでライバル、ケン・トルン(フォード・フィエスタRally2)がアンダーステアで岩肌に激突し、右側の前後タイヤをパンクして16位まで後退している。

 最終日の日曜日は3ステージを2回ループする6SS/92.72kmとなる。