WORLDWIDE2022/05/08

ヒルボネンの16歳の息子がラリーデビューへ

(c)Mikko Hirvonen

 FIA世界ラリー選手権で4度選手権2位となっているミッコ・ヒルボネンの16歳の息子、ローペ・ヒルボネンが今週末フィンランドで、ラリーデビューを果たした。コドライバーのシートには父のミッコが座っている。

 レンガス・トゥルク・ラリーはヘルシンキから120km西に位置するサロを拠点とする小さな森林道を走るイベントで、ローペはフォード・フォーカスを走らせる。

 ローペはこれまでにラリークロス形式のイベントにレギュラー参戦を続けており、父と息子のコンビでラリースプリントにも出場している。ラリーへの出場はこれが初となり、ステップアップとなるが、今回は純粋に楽しむことに重点を置いている。

「とてもエキサイティングなことだよ」とローペはスタート前にwrc.comで語っている。「テストをする時間はなかったから、トレーニングなしで挑んでベストを尽くすだけだ。クルマをゴールさせ、ミスなくラリーを走り切ることが最大の目標だ」

「さらにもっと走ってみたいと思うけど、まずは今回様子を見てからだ。僕はずっとラリーにもトライしてみたかったし、レースの方にはもう何年も関わってきたから、そろそろ何か新しいことに挑戦したいところなんだ」

 父も息子もそれぞれ神経を使う。現在WRCターマックイベントでシリーズをリードするカッレ・ロヴァンペラのグラベルクルーとしてルートノートカーを走らせるミッコにとっては、コドライバーとしての責務を果たすことへのプレッシャーがある。

「そうさ、僕だって怖いよ」とミッコは微笑む。「たぶん迷子になるんじゃないかな!ステージを見つけて、そこからタイムカード関係のことを僕がやる、それが最大のチャレンジだ」

 幸いにも元フォード、シトロエン、スバルのワークス・ドライバーだった父にとってはペースノートの解読のために眠れぬ夜を過ごすことはなさそうだ。

「ローペはまだ18歳以下でジュニアクラスに参戦しているからレッキを走ることは許可されていない。フィンランドではラリーをある程度の回数走ってからでないとペースノートを使うことができないんだ。僕にとってはありがたい話だ!」と、ミッコは笑みを見せる。

 今回彼らが走らせるフォーカスはヒルボネンにとっては新顔のクルマとなる。

「クルマは3週間前にある若手ドライバーがラリーで使っていたものを譲り受けたんだ」とミッコは説明している。「我々はV1600クラスに参戦する。AKK連盟の規定ではジュニアが走ることができるのはこのクラスだけなんだ」

「ロールケージの装着とサスペンションの変更のみで、それ以外はまったく普通のロードカーと同じだ。エンジンも1.6リッターしか載せられないから、足掛かり的な感じかな」

 ミッコはローペがモータースポーツへの関心を高めていくことを応援しつつも同時に期待は控えめにしている。

「僕たちは純粋は楽しい時間を過ごすために行くんだ。モータースポーツを一緒にやるのを本当に楽しんでいるし、どちらかというと家族で過ごす週末のような感覚で、同時にラリーもできるといったところだ」とミッコは付け加えている。

「ローペは夏の間も全然クルマを走らせていなかったし、ちゃんとしたステージでも走っていない。でも僕たちは何かを達成する必要もないからね」

 今のところは、ラリーはやりたいとは考えているものの、次のロヴァンペラやソルベルグになろうとは思っていない。「親子で走りに行って楽しい時を過ごすだけだ」

 土曜日に行われるレンガス・トゥルク・ラリーは、フィンランドの夏シーズン最初のイベントで、4つのスペシャルステージを含むおよそ45kmを走行する。