WRC2022/06/22

ピレリ、スコーピオンKXソフトをメイン選択に

(c)Pirelli

 ピレリ・タイヤは、今週のサファリ・ラリー・ケニアでは、昨年とは異なりソフト・コンパウンドのスコーピオン・グラベルタイヤをファーストノミネートした。サファリの路面の多くが柔らかいグラベルをもち、昨年のイベントでタイヤの摩耗が少なかったことから新たにとられた措置だが、ピレリでは、大量の岩が待ち受けるセクションでタイヤにダメージがないよう最新のKX WRCタイヤではサイドウォールの構造を強化していると説明している。

 サファリ・ラリー・ケニアは、昨年FIA世界ラリー選手権に19年ぶりに復活を果たし、他には類を見ない挑戦を提供している。かつてのサファリ・ラリーに比べれば距離は短くなったが、マシンを破壊するラリーという評判は変わっていない。タイヤは、深いわだちや巨大な岩、そして連続する高速走行に対応しなければならない。ひとつのステージにおいても路面状況は様々で、信じられないほど柔らかい砂地もある一方で、雨が降れば一瞬にして泥だらけで滑りやすい道となる。また、サファリ特有の危険物である『フェシュ・フェシュ』は、非常に細かい土でマシンに詰まりやすい。

 ピレリはケニアに約2000本のタイヤを持ち込み、そのうち570本をトップカテゴリーのRally1カーに供給する予定だ。

 ピレリのトップカテゴリー用グラベルラリータイヤであるスコーピオンKX WRCには2種類のコンパウンドがあり、いずれも2022年シーズン用に構造を強化し、最新のRally1マシンの重量とトルクに最適化したデザインにリニューアルされている。ケニアでは、スリッパリーなコンディションで最適なグリップを発揮するソフトSAがメインの選択肢となり、摩耗の激しい路面での耐久性を高めるハードHAがオプションの選択肢として供給される。

 Rally1のドライバーは、シェイクダウンを含めてそれぞれ最大32本のタイヤを使用することができる。各ドライバーにはソフトのスコーピオンKX WRC SA 28本、ハードのスコーピオンKX WRC HA 8本が割り当てられるが、この標準割り当てに加えて、2022年のグラベルイベントの新ルールでは、シェイクダウンの前にいずれかのコンパウンドでさらに4本のタイヤを選択することができるようになる。

 ラリー・アクティビティ・マネージャーのテレンツィオ・テストーニは、次のようにコメントした。

「サファリ・ラリーはスプリントではなくマラソンであり、他のWRCイベントとは異なることを昨年確認した。ケニアでは、タイヤの摩耗が少ないことも、今年各チームのためにソフトコンパウンドタイヤを主な選択肢として供給する決定を行った理由のひとつだ」

「その代わりに焦点はサイドウォールに非常に集中している。サイドウォールは、ステージの多くのセクションで見られる大量の岩や非常に深い轍に耐える必要があり、マシンのメカニカルコンポーネントに損傷を与えてその場でラリーが終わってしまうほど深刻な衝撃にも耐えなければならない。フラットアウトのセクションや激しいブレーキングが続くセクションも多く、最新のKX WRCタイヤの構造がどれだけ強化されたのか試されることになる。この独特のイベントにおいては、性能だけでなく、強度が重要なポイントになるだろう」

 また、ピレリはWRC2やWRC3に参戦する他の4輪駆動マシンにも1400本のタイヤを供給する予定だ。

 WRC2のRally2カー、WRC3のRally3カーのグラベルタイヤであるスコーピオンKは、ハードとソフトの2種類があり、トップカテゴリーに装着されるKXと同じ特性を備えている。

 Rally2カーのスコーピオンKは、ケニアに向けて最適されたBバージョン、K6B(ソフト)とK4B(ハード)がデビューする。また、Rally3カーはK6(ソフト)とK4(ハード)となる。

 各ドライバーにはともにソフト26本、ハード8本が割り当てられ、シェイクダウンの前にいずれかのコンパウンドでさらに4本のタイヤを追加することが可能となり、シェイクダウンを含めて最大で30本が使用可能となる。