WRC2021/10/14

ピレリ、ターマック用最新ハードタイヤがデビュー

(c)Toyota

 ハイブリッドによる新世代Rally1カーの世界ラリー選手権がスタートする2022年のシーズンを見据え、ピレリの最新のハードコンパウンド・ターマックタイヤがラリー・デ・エスパーニャでデビューする。

 世界ラリー選手権は今週末、ピレリの新しいドライタイヤを装着して、1年で最も高速なターマックラウンドに向かう。新しいP Zero RA WRC HAハードコンパウンドは、今年クロアチアとベルギーで開催された2つの純粋なターマックイベントで得られた教訓を活かし、次世代のハイブリッドカーを視野に入れたピレリのターマック製品の最新の進化形として開発された。

 新しいP Zero RA WRC HAは、トレッドパターンについてはこれまでのP Zero RA WRC Hと同一となるが、革新的な構造を採用しており、特にショルダー部は従来のものに比べて衝撃に強くなっているという。今週末のデビューを前に、スペインで各チームによるテストが行われるなど、各チームの協力によって開発プログラムは前倒しされたが、P Zeroの性能と駆動性は維持されているという。

 ツイスティな公道で開催されるラリー・デ・エスパーニャでは、スムーズなターマックに加えて、一部に摩耗しやすいセクションもあるため、タイヤ戦略と適切なドライビングスタイルが重要になる。特に外気温が高い場合は、タイヤの摩耗が重要なファクターとなる。また、ドライバーはコーナーをカットする傾向があるため、石や砂利を道路に引きずり込む可能性があり、多くのマシンが通過することでステージは汚れていく。

 ピレリはスぺインに約3200本のタイヤを持ち込むが、そのうち900本はトップカテゴリーのWRカーに使用される。

 スペインでは新開発のハードコンパウンド、P Zero RA WRC HAがファーストチョイスとなる。これは特に気温が高い中のドライコンディションでロングステージを走ることを目的としている。また、オプションとして、ドライとウェットが混在するコンディションや、気温が低くスリッパリーなステージに適したソフトタイヤ(P Zero RA WRC S)も用意される。ターマックにおけるウェットコンディションに対応する専用レインタイヤとして開発されたチントゥラート RWBもオプションで用意される。チントゥラート RWBはP Zeroとは異なる独自のトレッドパターンにより、排水性を向上させてアクアプレーニングを軽減させることを狙っている。

 WRカーを駆る各ドライバーには、P Zero RA WRC HA(ハード)が32本、P Zero RA WRC S(ソフト)が24本、フルウェットタイヤのチントゥラートRWBが12本が割り当てられる。このうち28本が本番で使用可能となり、さらにシェイクダウンのために4本が追加で使用可能となり、合計32本が使用可能となる。

 スペインはこれまで10年間、ミックス路面のイベントを開催してきたが、今年、100%ターマックラリーに戻ったことで、これまでとは違ったアイテナリーとなっている。多くのステージが新設され、特に金曜日のオープニングレグは、ヘアピンやダウンヒルセクションが多く、最も短いが最もトリッキーな一日となる。土曜日はサロウで終わる最長の1日となり、日曜日のオープニングステージは暗闇の中で行われる。ピレリのラリー・アクティビティ・マネージャーのテレンツィオ・テストーニは、ラリー・デ・エスパーニャにむけて次のようにコメントした。

「スペインは1年のうちで最も過酷なイベントのひとつであり、おそらく最も攻略の難しいターマックだ。高速コーナーが多く、トラクションやブレーキングなど、タイヤへの負担が大きいのが特徴だ。その上、通常は外気温がかなり高く、またほとんどの道路が滑らかであるものの、摩耗しやすい路面という新たな課題もある。我々の最新のP Zero RA WRC HAタイヤは、ドライバーに安定性と信頼性を感じてもらえるように設計されている。これは、タイヤ戦略が結果に大きく影響する今回のようなラリーでは特に重要だ。スペインではまとまりのないドライビングスタイルが貴重なタイムを落とす一方で、スムーズで研究されたアプローチが功を奏する傾向がある。また、スペインがオールターマックのフォーマットに戻ったことで、今年は新しく厳しいステージがいくつかあり、それらも面白くなるだろう」

 また、スペインのWRC2、WRC3をふくむRC2クラスのためのターマックタイヤはP Zero RA RC2となる。P Zero RA RC2は、WRカーよりもパワーが小さいRally2/R5カーのためのターマックタイヤで、ドライコンディション用のハードコンパウンド(RA5)と、ドライとウェットが混在するコンディション用のソフトコンパウンド(RA7+)の2種類が用意されている。トップカー用のP Zero RA WRCと共通する要素が多い。

 各ドライバーは、P Zero R2 RA5(ハード)が30本、P Zero R2 RA7+ (ソフト)が22本、チントゥラートRWBが12本が割り当てられ、シェイクダウンを含めてそのうち30本が使用可能となる。