WRC2021/09/30

ピレリ、10月開催のフィンランドはソフトがメイン

(c)Toyota

 ピレリ・タイヤは、史上初めて10月に開催されるラリー・フィンランドではグラベルタイヤのスコーピオンKXのソフト・コンパウントをファースト・チョイスとしてノミネートし、各ドライバーにはソフト28本+ハード8本を用意する。

 「フィンランド・グランプリ」という異名をもつラリー・フィンランドでは、2016年にクリス・ミークがイベント全体での平均速度126.60km/hという史上最速記録を達成するなど、選手権でもっとも高速イベントとして知られている。最近では安全性の観点から平均速度を下げるために小道をステージに組み込んでいるが、それでも最後に行われた2019年のフィンランドではミークがアーネコスキ・ステージで平均速度131.77km/hの最速タイムをマークしており、今年もまた高速でのバトルになると見られている。

 しかし、雨の多い秋の気候での開催となり、朝の気温は5度以下、日中でも10度前後という低温でのイベントになることから、ピレリのラリー・アクティビティ・マネージャー、テレンツィオ・テストーニはソフト・コンパウンドが主体となる戦いになると説明している。

「ラリー・フィンランドはWRCではおなじみのラリーになるが、今年は開催時期が遅いため、条件が大きく異なる可能性がある。例年の夏場は気温が高く、高速走行や大きなジャンプがあるため、タイヤには多くのストレスがかかり、信頼性と快適性が求められる。今回は、雨が降って路面が滑りやすくなった場合など、気温が低い中でグリップを確保することが最大の課題となる」

「そのため、ミスをすればタイムロスにつながる高速ステージでのアタックに必要なトラクションと自信をドライバーに与えるために、ソフトタイヤを主な選択とするのは明らかだ。天気予報では気温が5〜10度と予想されている。ソフト・コンパウンドのスコーピオン・グラベルタイヤが初めての寒冷地でどのように対応するのか、興味深いところだ」

 ピレリはフィンランドには1300本のタイヤを持ち込む予定にしており、そのうち400本がWRカー用となる。それぞれのドライバーには、スコーピオンKXソフトタイヤが28本、スコーピオンKXハードタイヤが8本割り当てられ、そのうち28本を使用することが可能となる。また、2日半で19SS/287.11kmという史上初めて300kmを切るショートフォーマットで開催される今年は、シェイクダウンのための特別なタイヤの割り当てはなく、この28本で週末を乗り切らなければならない。