WRC2020/06/28

フィンランドのキャンセルはスポンサーの意向?

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 8月6-9日に開催を予定していたラリー・フィンランドがキャンセルを決めたのは、イベントのタイトルスポンサーを務めてきたネステによる強い意向が大きな理由となったようだ。また、いまのところ未確認の情報だが、ネステは来季、1974年以来となる長きにわたるラリー・フィンランドへの支援をストップするとの報道もあるようだ。

 ラリー・フィンランドは今年、70周年記念のメモリアルイベントとして8月6-9日の開催にむけて準備を進めてきた。その開催可否については新型コロナウイルスにともなうフィンランド政府による夏の大規模イベントに関するガイドラインを待つものと見られていたが、ラリー・フィンランドを主催するAKKスポーツは6月初旬に発表が予定されたこの政府指針を待つことなく今年のイベントを中止することを発表することになった。

 ネステ社でマーケティングディレクターを務めるシルパ・トゥオミは、フィンランド・メディアのウルへイル・ウーティセットのインタビューにおいて、今年のイベントのキャンセルについては、あくまでもAKKスポーツとネステの決定だと強調した。

「ネステはこの春からのパンデミックが自社の事業、社会、経済にどのような影響を与えるのか注視してきた。私たちは常に自分たちの価値観に沿って行動し、周りの人たちの安全と健康を最優先にしてきた。ネステ・ラリー・フィンランドのメインパートナーとして、自分たちの価値観に沿って行動したいと考え、現在の社会状況でフィンランドにおいて世界ラリー選手権を開催する可能性についての深刻な懸念があることはAKKスポーツに伝えていた」

「現状では政府によるイベント開催の可能性があることを認識しつつも、私たちとAKKスポーツはともに参加者の安全と幸福を優先するという考えでは一致しており、AKKがキャンセルについての最終決定をすることになった」

 AKKスポーツは先ごろ、開催都市であるユヴァスキュラと3年間の延長契約を締結したと発表しており、FIAが先々週に発表した2021年の世界ラリー選手権のカレンダーにもラリー・フィンランドは含まれている。にもかかわらず、同メディアはネステのブランディング戦略に変更があったために、ネステとラリー・フィンランドの長期にわたる協力は終わりを迎えることになり、来年のイベントの正式名称は改められることになるだろうとしている。

 この問題について聞かれたネステ社のマーケティングディレクターであるトゥオミは次のようにコメントしている。

「契約に関する質問についてはコメントするつもりはない。私たちは新しいブランドによるスポンサーシップ戦略を構築しているところだ。これに基づいて、ターゲット市場に呼応する将来のパートナーシップをマッピングし、国内外でブランド戦略を展開することになる」

 1948年にフィンランドのエスポーで設立されたネステは、1994年から1000湖ラリー(1996年までの呼称)のメインスポンサーとしてイベントへの支援を開始、1997年から2006年まではネステ・ラリー・フィンランドが正式名称となり、それ以降、2015年まではネステ・オイル・ラリー・フィンランドとなったものの、2016年からはふたたびネステ・ラリー・フィンランドとなっている。ネステは当時、オイルという名称は従来の石油関連事業だけを指し、新しい時代のエネルギー事業のイメージに則さないと説明していた。