ERC2017/08/06

ブフィエがジェシュフで優勝、ERC通算4勝目

(c)ERC

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 ポーランドの高速ターマックを舞台に争われるヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第5戦ラリー・ジェシュフは5日に最終日を迎え、フランスのブライアン・ブフィエ(フォード・フィエスタR5)がERCでの通算4勝目を獲得するとともにこのイベントにおける5度目のウィナーに輝いた。

 ラリー初日、シェイクダウンから速さをみせたアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)がクラッシュで消え、マッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタR5)がリヤブレーキとパワーステアリングのトラブルで6位へと後退するなか、ブフィエはSS4からラリーをリード、19歳の新鋭ニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)を18.6秒をリードして初日を終えることになった。しかし、その日の夜、ラリーのスチュワードは、SS2においてルクヤヌクのクラッシュしたマシンに走行を阻まれたというカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)の主張を認め、彼のタイムを6.8秒救済することを決定、地元の英雄カイエタノビッチが15.6秒差の2位で最終日をスタートすることになった。

 気温が28度近くまで上昇した最終日は波乱の朝となった。カイエタノビッチだけがタイムを救済され、自身は期待に反してそうならずに順位を失うことになったグリアジンが、オープニングSSの右コーナーでスライドさせてクラッシュ。だが、ブフィエはカイエタノビッチが救われたことを意に返さないかのようにこのステージをトップタイムで発進、リードを18.8秒に広げることになった。

 また前日のトラブルで首位から38秒遅れとなっていたオストベルグも不運が連続することになった。彼は最後まで諦めないと語ってスタートしたが、インをカットした際に左フロントをパンク、タイヤ交換のためにマシンを止めることになり3分近くをロスすることになる。さらに彼はロードセクションでマシンをストップ、「昨日と同じパワーステアリングに問題があり、コーナーでそれが発生した場合には僕自身だけでなく観客にとっても危険だ」と語り、リタイアを決意することになった。

 ラリーの表彰台を争うと見られていた二人が消えるなか、ブフィエは朝のループの3つのステージのうち2つを制し、カイエタノビッチに対して30.5秒のリードを築くことに成功する。

 カイエタノビッチはステージのゴール後、「ラリーの勝利を狙うことではなく、ブルーノ・マガラエスから選手権のリードを奪還することがターゲットだ」と語り、セッティングに苦しみ10位にとどまるマガラエスとのリードを築くためにも着実なゴールを目指すことを宣言する。

 昼のサービスを終えていちだんと気温が上昇、午後のループはタイヤにとってもマシンにとっても厳しいコンディションとなったが、ブフィエはクリーンな走りをキープしながらも3ステージのうち2つのステージでベストタイムを獲得、最終的にカイエタノビッチに38.5秒のリードを築いて優勝することになった。

「素晴らしいラリーだった。ここは僕が初めてポーランドで走ったラリーなんだ。すごく前のことだけどね。だから僕にとって勝利することはとても重要なことだったんだ」とブフィエは語った。

 彼は2004年にラリー・ジェシュフで8位になり、2007年からはプジョースポール・ポーランドの支援によって長いことポーランド選手権に挑戦、3年連続でチャンピオンに輝いている。

「ERCではあまりいい結果にならなかったカナリアスのあとだけに、いいペースを見せることができてよかったよ。ポディウムのもっとも高いところに戻ることができてよかったよ」

 カイエタノビッチは計画どおりに2位でフィニッシュ、ライバルのマガラエスが9位に終わったため選手権の逆転に成功した。

「これは僕の母国のラリーなので本来なら怒っているべきだが、僕は満足しているよ。ヨーロッパ選手権をリードすることが私の主な目標だったからね。チームの仕事は素晴らしかった」とカイエタノビッチは語った。

 14ポイント差のリードをひっくり返されたマガラエスはタイトルを諦めず、次戦のチェコ・ラリー・ズリンへの参戦を表明している。

 マリヤン・グリーベル(シュコダ・ファビアR5)が総合3位でフィニッシュするとともに、ライバルのグリアジンがリタイアに終わったために2度目のERCジュニア・アンダー28での優勝を飾ってリードを広げることになった。

 2016年のポーランド・チャンピオンであるグジェゴシュ・グジェブ(シュコダ・ファビアR5)が4位、フランス・ターマック選手権チャンピオンのシルヴァン・ミシェル(シュコダ・ファビアR5)が5位でフィニッシュ、プジョー・ラリーアカデミーのホセ・スアレス(プジョー208T16 R5)が最終日に8位から6位までジャンプアップに成功している。

 ERCジュニア・アンダー27は、オペル・ジュニア・チームのヤリ・フットネン(オペル・アダムR2)がブレーキトラブルに見舞われたにもかかわらずに、2分26秒の差をつけてERCジュニア・アンダー27で初優勝を飾っている。

 ERC2では18分あまりのリードを築いてトップで最終ステージをフィニッシュしたティボール・エルディ(三菱ランサーエボリューションX)がエンジントラブルのためにリタイアするという波乱が発生、イタリアのゼリンド・メリガリ(三菱ランサーエボリューションIX)がアクロポリス・ラリーに続く2勝目を獲得することになった。

 ERC次戦は、8月25〜27日に開催されるバルム・チェコ・ラリー・ズリンとなっている。