WORLDWIDE2021/04/12

ブリーンがサンレモ優勝、WRC+はヌーヴィルが制す

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 ヒュンダイ・モータースポーツのクレイグ・ブリーンは、ラリー・サンレモで2年ぶり2度目の優勝を果たし、世界ラリー選手権の次のラウンドであるクロアチア・ラリーに向けて弾みをつけた。ブリーンは2年前、シトロエンのシートを失った後に、プライベーターのシュコダ・ファビアR5を駆ってかつてWRCカレンダーの一戦であったサンレモを制している。

 ブリーンとコドライバーのポール・ネーグルは、イタリア選手権のラウンドでもあった先月のラリー・イルチオッコではパンクによる突然のクラッシュでラリーを終えたが、先週末のサンレモ・ラリーではi20 R5で見事優勝を手にした。

 ヒュンダイ・モータースポーツはクロアチア・ラリーにむけたウォームアップとしてレギュラーメンバーが勢揃いしてサンレモに挑んでいる。ブリーンとオリヴァー・ソルベルグがi20 R5を駆ってイタリア選手権のレギュラードライバーたちと競う一方、ティエリー・ヌーヴィル、オイット・タナク、ピエール-ルイ・ルーベはそれぞれi20クーペWRCを駆ってサンレモに特別に設けられたWRカーのためのWRC+クラスに臨んでいる。

 タナクはSS1のジャンプスタートのあと、SS2のベストタイムで首位に立つことになったが、SS4とSS5の連続ベストでさらにリードを伸ばしたが、SS6で逆転され、最終ステージまでもつれた接戦の末、ヌーヴィルが3.9秒差でラリーを制した。ヒュンダイ2Cコンペティションのルーベは、ヌーヴィルから1分15秒遅れの3位となった。

 サンレモのメインイベントでは、ブリーンが土曜日午後の短いオープニングステージを終えた時点でリードしたが、日曜日午前の最初のステージでファビオ・アンドルフィ(シュコダ・ファビアRally2エボ)とアンドレア・クルニョーラ(ヒュンダイi20 R5)に抜かれた。

 ブリーンはSS3こそ最速タイムを記録したが、最初のサービスの時点では総合4位に留まった。この時点ではアンドルフィがクルニョーラを0.5秒差でリードして首位に立っていた。

 しかし、ブリーンは、午後のループで地元勢を上回るペースを見せ、SS5で3番手タイム、SS6でトップタイムを出し、クルニョーラに1.5秒差をつけて首位に立った。アンドルフィは3位に後退し、表彰台圏内のバトルを演じていたジャンドメニコ・バッソ(シュコダ・ファビアRally2エボ)はパンクによってこのステージで51番手のタイムで6位に後退した。

 最後から2番目のステージでクルニョーラが苦戦したことで、ブリーンのリードは11.5秒に広がり、最終ステージでは余裕を持って4.8秒の差をつけて勝利を飾った。

 ブリーンは当初、最後のタイムコントロールへのチェックインが遅れたために10秒のペナルティを課され、クルニョーラに勝利を奪われたかに見えた。しかし、サンレモのレースディレクターは、ブリーンがサンレモ市内の交通渋滞に巻き込まれて遅れたことを認め、このペナルティをすぐに取り消すとともに最終タイムコントロールのキャンセルを決定、ブリーンの優勝が確定している。

 また、この日の朝のオープニングステージでソルベルグは4番手タイムを奪って13位から6位に浮上するなど期待させるスタートをみせたが、次のステージでワイドになり、i20 R5の左リヤで石をヒットし、ホイールを失ってリタイアとなっている。

 一方、ストール・レーシングのフォード・フィエスタRally2を駆ってサンレモに臨んだ新井大輝は、土曜日のオープニングステージから不運に見舞われてしまった。ステージ開始直後から降り始めた雨は次第に強くなり、77番という後方からスタートした新井はフルウェットのヘアピンでスピンを喫してエンジンをストール、100位からのスタートとなってしまった。

 新井は最終日も、多数のマシンの走行によって荒れた路面コンディションでなかなかペースを上げられずにSS6でもパンクしたが、クロアチアのためのウォームアップ戦を27位で完走している。