APRC2022/11/28

ヘイデン・パッドンが初のAPRC王者に輝く

(c)Hayden Paddon

(c)TGR Australia

 2022年アジア-パシフィック・ラリー選手権(APRC)は11月26〜27日にオーストラリアのコフスコースト・ラリーでファイナル・ラウンドを迎え、ヒョンデ・ニュージーランドのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 AP4)が逆転勝利で初のAPRCチャンピオンに輝くことになった。

 APRCは、COVID-19の流行によって2年間にわたってチャンピオン不在のシーズンが続いたが、2019年以来のAPRCファイナル・ラウンドがオーストラリアのコフスコースト・ラリーで開催されることになった。APRCファイナルへ出場する6人の挑戦者のうち5人はいずれも地元オーストラリアからのエントラントとなっており、ニュージーランド・ラリー選手権で3度優勝したパッドンがただ一人国外からのエントラントとなり、トヨタGAZOOレーシング・オーストラリアから出場するハリー・ベイツと弟のルイス・ベイツの2台のトヨタ・ヤリスAP4が迎え撃つ恰好となった。

 パッドンは2連続のベストタイムで発進、好スタートを切ることになったが、2位のハリー・ベイツに20.8秒をリードして迎えたSS5終盤でドライブシャフトを破損してしまう。彼はここでは17.8秒差でどうにかリードを維持したものの、応急修理による遅れで30秒ものペナルティを受け、SS6/7のラリー・スーパーSS、初日最終ステージのSS8ニューリイでもペースが上がらず、大きく遅れてしまう。これで初日トップはハリー・ベイツ(トヨタGRヤリスAP4)、ネイサン・クイン(ヒョンデi20 G4)が6.8秒遅れの2位で続き、パッドンは27.7秒遅れの3位にとどまることになった。

 しかし、パッドンは最終日の朝、オープニングステージのSS9から圧巻のペースで発進、SS11まで3連続のベストタイムを刻んでハリー・ベイツを逆転、1.2秒差をつけて首位に立つことになった。

 ハリー・ベイツにとってはオーストラリア選手権のタイトルもかかっていた大事な一戦だったが、彼はAPRC王座を目指してSS12コリンディノースでも猛チャージするも、横転クラッシュを喫してしまい、万事休すとなってしまう。

 パッドンは最終的に2位のクインに1分41.9秒差をつけてAPRCファイナルでの優勝を飾るとともに、初のAPRC王者に輝いている。

「素晴らしいよ! 僕とジョン(・ケナード)は初めてアジア-パシフィックのチャンピオンになったよ」と、パッドンは昨日のドラマとタイムペナルティの後の勝利だけに喜びを爆発させている。

「土曜日の午後、最初のステージでドライブシャフトが破損し、3WDで3ステージを走らなければならなくなった。そのため最終日は難しいアプローチとなったが、後方からうまく追い上げることができたので、勝利はより素晴らしい気分だよ。ハリーやネイサンとのバトルは本当に楽しかった。ほっとしたよ」

 3位でフィニッシュしたルイス・ベイツ(トヨタGRヤリスAP4)が初のオーストラリア・チャンピオンの座を初めて手にした。

「目の前のチーム全員に感謝してもしきれないよ」と、ルイスは語っている。「特にこの週末はタフなイベントだったが、GRヤリスはまったく問題なく走ってくれた。ハリーにとっては残念なことであり、決して見たくはない光景だったが、僕らにとっては素晴らしいタイトルとなった」

「シーズン後半はとても好調で、すべてのレースでポイントを獲得し、安定した走りができたと思う。全体としては大満足だよ」