WRC2018/09/21

ヘニング、乱戦トルコをR5マシンで総合6位ゴール

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(c)TorkSport

 ヘニング・ソルベルグとイルカ・ミノアがかつてのコンビを復活させて、ラリー・トルコで総合6位でフィニッシュした。R5マシンが総合6位以内でWRCをフィニッシュしたのは、2013年のラリー・ドイッチュランドにフォード・フィエスタR5で参戦したエルフィン・エヴァンス以来の快挙となる。

 45歳のヘニングは、彼にとって128戦目のWRCイベントとなったラリー・トルコを前に、土壇場でトルクスポーツの使い古したシュコダ・ファビアR5にマシンを変更する暴挙に出たが、サバイバル戦となったトルコにおいて豊富な経験と慎重さを武器にWRC2カテゴリーで優勝を飾ったヤン・コペツキを4分44秒あまりも上回り、R5マシンのトップでゴールを迎えることになった。

 ヘニングとベテラン・コドライバーであるミノアとのコンビは2016年のフィンランド以来となるが、これまでに42戦でマシンをともにしているだけあって相性もばっちりに見えるが、これはミノアがうまく感情をコントロールしているからだろう。

 ヘニングが2006年に初めてWRCの表彰台となる3位フィニッシュを飾った思い出の地トルコへの出場を思い立ったのは、例によってイベントの直前だったとミノアは語った。

「彼はトルコでWRC2の優勝したいと言ったの。最初はフィエスタR5でスタートしたいと思ったのだけど、すぐにスケジュールが足りないことになって、ドイツにベースをもつトルク・スポーツにコンタクトをとったのよ。チームはトルコのノウハウをもっているのだけど、すでにチームはクリス・イングラムのマシンや機材をすべてトルコに送ったあとで、マシンもトルコで走っている彼のスペアになるはずだったファビアを予約することにしたのよ」

 スタート前に40kmしかテストできなかったにもかかわらず、ヘニングは金曜日朝の38kmのオープニングSSでヤン・コペツキを20秒上回り、RC2クラスのベストタイムを奪って、ミノアを心底驚かせた。

「トルコはまるでアクロポリスを最悪にしたようなステージだったわね。38kmの最初のステージではうまくいったわ! でも、彼はすごく速かったわけでも、とても遅かったわけでもなかった。最初から最後まで思うままにドライブしたわ」

 コペツキが2つのパンクで大きく遅れながらも初日のWRC2のリードを守ったが、トラブルなしでクリーンな走りを続けるヘニングは3分30秒を先行してRC2クラスのトップを快走、さらに厳しいステージになった土曜日もコペツキはドライブシャフトを壊してヘニングからは5分あまりの遅れを喫してしまった。

「WRC2に登録していないドライバーはWRC2の後方から走るため、石がかき出されさらにラフになった路面を走ることになった。でも、彼らが次々とパンクやトラブルで止まっているのを見て、遅いスタートの彼にはそれがいい教訓になったかもしれないわね。私たちは賢明に行かなければならないと話し合い、彼はとにかく大きな石を避けることに集中したわ」

 ヘニングとミノアは、短い最終日の4ステージでもトラブルフリーの走りを続け、コペツキに4分44秒差をつけて最終ステージをゴールしたが、それまでになかったトラブルが突然発生することになった。この3日間、彼らはあまりに後方からスタートしてきたため、WRC Liveのレポーターさえ満足に話を聞くチャンスがなかったが、やっとマイクを向けて祝福の言葉を掛けようとした瞬間、ヘニングのエンジンがストール、再始動できなくなってしまったため、あの楽しいヘニングの声を聞く機会は失われてしまった。

「パワーステージの直後、ヘニングがインタビューを受けようとしたけど、エンジンが突然止まって、始動ができなくなってしまったのよ。ヘニングはすべてを試してどうにかリスタートできたけど、また突然止まってしまい、私たちは押していなければならなかったのよ!」

 ヘニングとミノアは150mほどクルマを押した後、あと残り150mで2人を祝福するようにファビアR5のエンジンはふたたびエンジンを吹き返して、総合6位のゴールは彼らのものとなった。