Raid2022/01/03

ペテランセルが悪夢のトラブルで優勝争いから脱落

(c)ASO/DPPI

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 ダカール・ラリー2022は、1月2日にハイルで行われた第1ステージのセカンドパートを終えてトヨタGAZOO レーシングのナッサー・アル-アルアッティーヤ(トヨタGRダカールハイラックス)が順調に首位を快走するなか、アウディ・スポーツから参戦したステファン・ペテランセル(アウディRS Q e-tron)はリヤアクスルを破損してマシンストップ、優勝の可能性が早くも消滅することになった。

 前日に行われた短いプロローグに続いて、ダカールは日曜日のステージ1Bから最初のマラソンステージに突入した。333kmのうちほとんどが砂丘というダカール最初のステージは、いきなりクルーに真のナビゲーションを試させるものとなり、多くのマシンが道に迷って大きくタイムを失うことになった。

 土曜日にプロローグウィナーとなったアル-アルアッティーヤは、日曜日を10番手のポジションから力強いスタートを切り、第2チェックポイントでトップに立つことになった。

 14番目のポジションからスタートした昨年の覇者ペテランセルは、アル-アルアッティーヤから6秒差の2位で続いていたが、第3チェックポイント前のキャニオンのような狭い区間でトラブルに見舞われマシンを止めることになってしまう。電動パワートレーンのアウディRS Q e-tronのリヤアクスルは完全に破損しており、ビバークに戻るためにチームのアシスタンス・トラックの到着を待つという悪夢となってしまった。

 アル-アッティーヤは、ライバルが消えたあともミスを回避して第1ステージを制することになった。

「本当にトリッキーなステージだったので、信じられない気持ちだ。もっと簡単なステージだと思っていたからね」とアル-アルアッティーヤはゴール地点で語った。

「マシュー(・ボーメル)は、特にステージの後半で素晴らしい仕事をした。ちょっとコースが見えて右に行き過ぎていたことがわかったとき、彼が『ダメだ、左に曲がれ』と言ったんだ。次のウェイポイントに着いたとき、僕らが正しいコースにいることがわかったんだ」

「とてもハッピーだよ。トヨタは魅力的に機能してくれるし、このT1+では楽しく走っている。安定した感じだ。今日は僕らにとってはいいステージだったが、保守的なレースをしている場合ではない。明日はまたマラソンステージになるからね。ベストを尽くすよ」

 アウディ勢にとっては厳しいオープニングステージとなった。大問題を抱えてマシンを止めたペテランセルだけでなく、プロローグでアル-アッティーヤと遜色のない速さをみせて2番手タイムを出したカルロス・サインツやチームメイトであるマティアス・エクストロームにも試練が襲いかかっていた。4番手につけていたサインツは第2チェックポイントを前にして道に迷ったために2時間あまりもロスして47位、エクストロームもウェイポイントを探し出すことができずに1時間30分も遅れて36位となっている。

 バーレーンレイド・エクストリームのナニ・ローマ(BRXハンター)も1時間18分遅れの30位に留まり、チームメイトのセバスチャン・ローブ(BRXハンター)が2度のパンクはあったものの、後半に追い上げてアル-アルアッティーヤから12分44秒差の2番手タイムで2位につけることになった。

「ナッサー(・アル-アッティーヤ)は強い。2回パンクで彼らに追いつかれてしまったが、後ろから見ていてもわかる。彼らはショートカットする余裕もあるし、ハイスピードでコースに戻ることもできる。それはとても素晴らしい光景だった。まだ第1ステージだし、特別に難しいとも言われていない。集中力を切らさないようにしないといけないと思う。ファビアンとはうまくいっているし、ミスも少ない。最初のほうは自信をなくしてしまったが、すべてうまくいっている」

 アル-アッティーヤのTGRチームメイト、ジニール・ドゥ・ヴィリエ(トヨタGRダカールハイラックス)も序盤は好ポジションをキープしていたものの、ナビゲーションのミスで33分遅れの7位。オーバードライブ レーシングの地元のヤジード・アル-ラジ(トヨタ・ハイラックス)も同じく道に迷ってしまい43分遅れの9位で第1ステージを終えている。

 このトリッキーな第1ステージを終えて多くの有力どころが遅れることになり、リーダーボードは異例なものとなった。ベンジナ・オーレン・チームから出場する元WRCドライバーのマルティン・プロコップ(フォード・ラプターRSクロスカントリー)21分遅れで3番手、2012年のダカールで5位に入賞したルシオ・アルバレスがオーバードライブ・トヨタ・ハイラックスで素晴らしいタイムを出して4位となっている。

 なお、ダカール主催者のASOは、月曜日に予定された第2ステージのフィニッシュとなるアル・アルタウィヤのビバークが大雨で浸水したことを受けて、第2ステージと第3ステージで予定された外部からのメカニカルアシストが禁止されるマラソンステージを中止することを発表した。第2ステージはフィニッシュ後、そのままリエゾン区間として第3ステージのフィニッシュだったアル・カイシュマに移動することになる。