WRC2021/12/24

マトン退任は、スライエムFIA新会長の意向か

(c)FIA

 FIAは、FIAラリーディレクターのイヴ・マトンの正式な退任を発表した。FIAはその退任理由についてはマトンの決定であると述べたが、彼が4年間の任期において世界ラリー選手権に参戦するマニュファクチュラーを増やすことができなかったことは、新しいFIA会長のモハメド・ビン・スライエムにとっては人事刷新の強い動機付けになったのかもしれない。

 FIAは声明のなかで次のように述べている。「FIAは、ラリーディレクターとして4年を過ごした後に新たな挑戦に挑むというイヴ・マトンの決定を尊重している。彼のリーダーシップの下で、ラリーピラミッドの実現、世界ラリー選手権の新エネルギーへの転換などラリー部門の多くの成功と重要な成果に貢献してきた。世界ラリー選手権をハイブリッドのエキサイティングな時代に導き、クロスカントリーラリーの世界選手権のプロモーターとなるASOとの契約に署名した。彼の素晴らしい功績に感謝の意を表し、今後の活躍を祈っている」

 とはいえ先週、FIAの新会長に選出されたスライエムは、すでにWRCを対策が必要な選手権として名指している。

 中東ラリー選手権でタイトルを14回獲得した経験を持つスライエムは、新会長に選ばれた後、初のメディアインタビューに応じた際に、WRCが2社半なのは十分ではないと強く語り、WRCをマニュファクチュラーにとって魅力的なものにし、将来的にはファクトリー参戦を増やしたいとの意向を表明していた。

「確かに我々はいつもF1について話しているが、他の分野についても忘れてはならない」とスライエムは語った。

「WRCについても考えなければならない。私はラリー出身だ。だから、それも視野に入れなければならない。このような重要な選手権には、2社半のマニュファクチュラーだけでは十分ではない」

 WRCは来年、選手権誕生から最大ともいえるレギュレーション変更に踏み切り、より多くのマニュファクチュラーを惹きつけるために新しいRally1ハイブリッドルールが導入されるが、これまでのところ、この変更によって新しいマニュファクチャラーを誘致する目処はたっていない。前FIAラリーディレクターのマトンは、WRCが新しいマニュファクチュラーを迎えるのは早くても2024年になるだろうと楽観視してきたが、スライエムはこの状況を早急に改善したいと考えたのかもしれない。

「我々はただ座って人々がやって来るのを待っているのではいけない。マニュファクチュラーへと出向き、我々のスポーツをアピールしていかなければならないと思っている」