WRC2021/09/28

ラッピ、「フィンランドでの2勝目は不可能」

(c)Toyota

 トヨタ・ヤリスWRCのコクピットに3年ぶりに戻ってきたエサペッカ・ラッピは、母国戦ラリー・フィンランドでのキャリア2勝目を獲得する可能性を否定した。

 来シーズンのトヨタ復帰が噂されるラッピがラリー・フィンランドでキャリア初勝利を飾ったのは2017年のことだった。シトロエンとMスポーツでの厳しい時期を経て、プライベーターながらトヨタ・ファクトリーがサポートする馴染みのあるヤリスWRCのコクピットに戻ることになったラッピが今週末の高速戦でのダークホースになることをファンたちは期待している。

 だが、ラッピは昨年以降、10ヶ月間、WRカーに乗っていないため、優勝争いへの期待を否定した。

「10ヵ月ぶりに戻ってきて優勝争いをするというのは、現実的ではない」とラッピは語った。

「不可能なんだ。テストでそのことが分かった。テストロードのセクションを変更したときに、新しいセクションでは最初の走行が十分ではなく、いくつかの場所でためらってしまったので、勝利を狙うならそんなふうでは無理だ」

 日曜日に行われたフィンランドにむけたプレイベント・テストでヤリスWRCでの本格的な走行を行ったラッピは、苦笑いを浮かべながら小さく首を振った。

「ちょっと衝撃だった。ものすごく速かったからね。マシンは素晴らしいが、しばらくR5に乗っていて、この手のマシンに乗っていなかったので、慣れるのに時間がかかるよ」

 気温5度、雨、ぬかるみという、フィンランドの通常のプレテストとは異なるコンディションのためにセットアップに手こずったとはいえ、すでにヤリスWRCでユヴァスキュラを優勝した経験を持つ彼にとって、マシンに戻ることは困難な作業というわけではないようにも見えたが、彼は頭がスピードについていかないと説明した。

「マシンはすべてがシンプルだが、脳が『ダメだ、無理だ!』と言っているんだ」とラッピは語った。

「休みが長かったので、クレストを全開で越えて直後のコーナーをスローダウンするとき、かなりクレイジーに感じるし、僕自身がかなりクレージーになる必要がある。テスト走行ではうまく出来ても、そのペースを(実際のステージの)1回目の走行で実践するのは、そんなに簡単なことではない」

「このラリーの目標は、スピードを上げて、ラリーの後半に僕たちが何をできるかを示すことだ」

 ラッピのテストでは、チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラがコドライバーを務めた。

「彼は自信に満ちていたし、良いドライブをしていたよ」とラトバラは語った。「私は彼に、『このペースをラリーに持ち込むことができれば、心配する必要はない。非常にうまくやっている!』と話した」

「彼は勝つ必要はないし、優勝争いをする必要もないんだ。彼がトップ5に入ることができれば、それで完璧だ。約1年間ドライブしていないのだから、初日はトップスピードを出すのが難しいことは彼も分かっている。しかし、その後はスピードを上げることができるだろう」