WRC2022/01/24

ラリー後会見「ずっと限界に近かった」

(c)M-Sport

(c)Toyota

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―セブ、勝利したお気持ちを聞かせてください。

セバスチャン・ローブ:「本当にうれしい。どうなるか予測がつかなかった。最初のステージから良いフィーリングがあったので、いくらか自信が持てた。でも、自分がどのレベルにいるのかはわからなかった。WRCのレベルは本当に、本当に高いからね。しかし、僕たちはここに来ることを決め、結果も素晴らしかった。予想以上の結果だが、チームも、イザベル(・ガルミッシュ)も、僕らの初めてのラリーですべてが本当に素晴らしかった。最高だよ」

―イザベルとの初めてのイベントはどうでしたか?

ローブ:「彼女は本当によくやってくれた。1度か2度だけ、彼女のノートが少し遅れてしまったが、ほんの少しだ。このマシンはコドライバーにとって本当に難しく、ステージも飛ぶように速く、読み上げる事項が非常に多い。でも彼女は完璧なリズムで、どうすれば上手くいくかを本当によく理解している。チェックすべきことがたくさんあるのだが、彼女はそれをすべてうまくこなしてくれた。彼女はフランス選手権で多くの経験を持っているが、WRCではもっと多くのことをこなさなければならなかった。彼女は素晴らしい仕事をしたよ」

―ブーストのコントロールは難しかったですか?

ローブ:「難しくなかったよ。非常にパワーがあった。低速コーナーの出口では本当に楽しめるし、パワーがないときは、どれだけブーストがかかるか理解できる。このマシンは少し重いと言うドライバーもいるし、それは事実だが、僕は最近WRCであまりドライブしていなかったので、このようなマシンを駆ると、とても楽しくなる」

―金曜日は限界の走りだったのでしょうか?

ローブ:「ずっと限界に近い状態だった。調子が良いステージもあれば、少し苦戦したステージもある。とてもスリッパリーな場所もあったし、難しい場面もあった。金曜日はとてもうまくいき、マシンのバランスは完璧で、グラベルノートも完璧だったため、思いっきりプッシュしながらも安全に感じることができた。翌日はもうひとりのセブの活躍する一日となった。僕はまだ限界に近い走りができていたが、彼のほうが少し速かった。とても楽しめたよ」

―最終ステージのフィーリングはどうでしたか?

ローブ:「僕はオーケーだった。その後、ステージ中にフロントタイヤが減っていくのを感じた。それでもフィーリングは良かったが、彼(オジエ)のタイムを見て、あまりの速さに驚いた! ラリーを勝利できてほっとしたよ」

―今後の予定は?

ローブ:「今、僕は世界選手権をリードしている!」

―では、今後、タイトルを狙う?

ローブ:「今のところ、今後の計画はない」

―なんともすごい戦いをみせてもらい、そしてなんと素晴らしいこの新しい時代の幕開けとなったことでしょうか。どんな気分ですか?

セバスチャン・オジエ:「まずはあなたの言うとおりだ。僕たちは自分たちのチームを称えなければならない。彼らはこれまでとはまるで違う全くの新しいクルマを作るのに本当に素晴らしい仕事をした。実はもっといろんな問題が出るかと思っていた。確かにあちらこちらで多少はあったが、あの頃と同じように戦うことができて、このクルマにとって初めてとは思えないほどだった。本当に楽しむことができたし、このスポーツにとっても良きショーだった。僕は2位ではなく1位を目標にしていたから100%満足とは言えないけどね。僕たちがすべてを尽くしたことは確かなこと、運命のいたずらで2位に甘んじなければならなかったが、それでもクルマに乗っていて楽しかったし、来年もまたここに来るための理由ができたよ、うちの奥さんがそれを聞いて喜んでくれるかは微妙だけどね!」

―あなたの新しいコドライバー、バンジャマンはどうでしたか?

オジエ:正直に、彼はよくやってくれたよ。あのクルマにいきなり乗り込むというのは決して簡単なことではないことを認めなければならない。このレベルにおいてこの仕事を経験したことがなければ、肩にかかるプレッシャーはものすごく大きなものだ。総合的には、この週末バンジャマンがやり遂げてくれたことにはとても満足しているよ。もちろん、細かいところで、改善していける部分はあるし、100%ではなかったが、いきなり飛び込んで完璧な仕事するなんてことは誰にもできない。彼の仕事ぶりには満足しているし、一緒に良い一歩を踏み出すことができた。今日は僕よりも彼の方が大変だったかもしれない。僕は、自分の人生、キャリアにおいてすでに多くの成功を享受するチャンスがあった。彼にとってはモンテカルロで勝利できたら本当に最高だったかもしれないが、それでも間違いなく素晴らしい成果であり、イサベルにとってそうであるように、特別なものだ。2人とも素晴らしいラリーをやってきたが、勝てるのは1人だけだからね。今日は運が味方してくれなかったが、いつか一緒にラリーに勝てる時が来るはずだ」

―最終ステージでのジャンプスタートについては感覚はありましたか?

オジエ:「限界ギリギリだったのは感じていた。驚いたことに、エンジンストラテジーが、ゴーのタイミングの2秒前から違う音に変わったんだ。回転数がおちているのか、オイルプレッシャーあるいはパワーが失われているのか、そんな感じなのかと僕は思ったんだ。それが気になっていた。シャープにスタートを切ろうと思っていた。9秒を稼ぐためにはシャープにスタートしなければならないと。それが大変だということも分かっていた。セブに対してこの9秒差を詰めるパフォーマンスは相当ものだと思った。すべてを出し切るしかなかった。何度も限界を越えていたが、なんとかクルマをキープして走り切ることができた。でも最終的にこのジャンプスタートがあって良かったのかもしれない、これがなかったら、差はたった0.5秒だったわけで、そうなっていたらさらに悔しい思いをしただろうからね!」

―どんな心境でこのイベントに臨みましたか?

オジエ:「気付いてもらえた思うけど、少しだけリラックスした状態で、もうすでにしばらく少しリラックスしているつもりだけどね。イベントを楽しみたかったから最高だよ。なんだかそんなに違和感は感じなかった。自分のベストを尽くしてこのイベントに勝利したいと思っていた。スタートの前、クルマと信頼性について、そして誰が勝利を目指して戦うことができるのか、という疑問が本当にたくさんあって、テストの時には、R5マシンでスタートした方がいいんじゃないのか、なんて冗談も言っていたくらいだよ!チームは素晴らしい仕事をした。ハイブリッドの感触は初めてのセックスと少し似ている。とても激しく、そして一瞬で消えていく。いいスタートだ!」

―クレイグ、どんな気分ですか?

クレイグ・ブリーン:「いい感じだね。いい週末だった。この人たちと一緒にポディウムを獲得して、こうしてここに座っているのはまだちょっと現実離れした感じがする。でも今度また同じことが起きないことを願っているよ! 彼らがいなかったら僕がラリーに勝利できたかもしれないからね! なんと言ってもすごいのは、3人合わせて17の世界タイトルを持っているということだ」

オジエ:「それとモンテ16勝!」

ブリーン:「そうそう、非常にハイレベルなポディウムなんだ。スタートの前から僕には難しいラリーになることは分かっていた。もう4、5年もこのイベントは走っていないし、ここに来るのはまだ4度目なんだ。1年の中で最も難しいラリーでポディウムを獲得できて本当に嬉しいよ。これは主にチームのおかげだ。彼らは素晴らしい仕事をしてくれた、僕たちのパフォーマンスのためにすべてのツールを与えてくれたんだ。僕とポールは走る毎に学んでいきた」

―クルマにはすぐに慣れましたか、どれくらいかかりましたか?

ブリーン:「僕は慣れるのにかなり時間がかかった方だと思うけど、そういうタイプなんだ。そんな無理をしたりはしない。そこにたどり着くまでベイビーステップで進めていく、週末の終わり頃にはだいぶ自信がついた。一日フルにテストする機会が持てなかったことで、いくつかセッティングを間違えてしまって、それを修正できたのが土曜日の朝になってからだった。そこからやっとクルマに慣れてきて最後には完璧に仕上がった」

―次戦、スウェーデンでのイベントについてはどうですか?

ブリーン:「スウェーデンではまた違ったラリーになる。これまでに限定プログラムで参戦できていたのは良かった。そのときには後方のポジションでスタートして、金曜日にいい成績で通過してそのまま週末の最後までそれを保つことができていた。カッレがパワーステージを制したことで僕がロードオープナーになることはなくなったけど、でもやっぱり走るのは前の方になる。実際イベントはすごく楽しみにしているし、テストを開始して、このイベントに向けて可能な限りのしっかりと仕上げていくのに何ができるのかを見ていきたいと思っているよ。生まれて初めて選手権にフル参戦することになって、このポイントはすべて貴重なものだ」

―リチャード、Mスポーツが達成したことをどのように誇りに思っていますか?

リチャード・ミレナー:「言葉では言い表せないくらいだ。ここ数シーズンは大変だったが、今年のためにすべてを注ぎ込むと決めていた。そしてとても競争力のあるパッケージを用意できた。チーム全体が信じられないくらい頑張ってくれた。これは我々がやりたいことの最前線だ。昨年は複雑な思いでレースに臨んだが、このような結果を残せることは分かっていた。クリスマスまで、そしてクリスマスの間中も、皆が一生懸命にマシンの準備をしてくれた。素晴らしいチーム、素晴らしいドライバー、そして夢にまで見た結果を手にすることができた」

オジエ:「あなたのチームにはセブが必要なんだ・・・」

ミレナー:「このセブ(オジエ)に起きたことはとても残念だが、ラリーという意味ではこれ以上のスタートはないだろう。見ていてとてもエキサイティングな戦いだったので、このような結果になったことを嬉しく思っている。最高の気分だ」

―最終ステージはどうでしたか?

ミレナー:「かなり緊迫していた。我々には望み得る最高の選手がいた。これまでセブ(ローブ)と一緒に仕事をしたことはなかったが、彼は私が活動を始めた頃に憧れていた人だったので、同じチームで仕事をできることは少し非現実的だ。彼は十分な経験を持っているので、私が言えることは何もない。彼と一緒に仕事ができることは喜びだし、彼に優勝するためのマシンを提供できてチーム全体もとても喜んでいる。このことは、Mスポーツの歴史に永遠に残るだろう。マルコムは、このためにすべてをかけて準備をし、懸命に働いてくれた。彼のためにも我々はとても喜んでいる。これで、スウェーデンに向けての準備まで2、3日はリラックスできる」

―仕事は続きますね。

ミレナー:「パネルが数枚破損しており、解決すべき小さな問題はある。この後、グラベルに変わるし、スウェーデンまでそう遠くない。とは言え、今この瞬間は、チーム全体が我々の成し遂げたことを楽しむに値する。我々が何を達成できるか示すことができたのは素晴らしいことだ。これは夢のような結果だ」

―セブの要求は厳しかったですか?

ミレナー:「彼はエスプレッソマシンが欲しいと言っている。とてもシンプルだ。それはTo-Doリストに載せてある」

―彼は戻ってきますか?

ミレナー:「エスプレッソマシンを手に入れたらね! どうだろう。今のところ1つのイベントだけであることは明確だ。我々は彼と共にここに来て、マシンやチームに対する我々の思いを確かめたかった。何が起ころうとも、我々にはこれはたった一度のチャンスだと分かっていたし、それをやり遂げた。本当によかった」

(フロアからの質問)
―セバスチャン・ローブとセバスチャン・オジエに質問です。4月のラリー・クロアチアで二人を見る可能性はどのくらいあるのでしょうか?モンテのようにクロアチアでもう一度戦えるとしたら、それは意味を持ちますか?

オジエ:「僕はそこにいないと言えるだろう。彼については知らない」
ローブ:「同じ答えだ」

―サファリ・ラリーがケニアに戻ってきたのは素晴らしいことですが、サファリに対する思いは?

ローブ:「2002年、つまり最後のサファリに参戦したとき、素晴らしい思い出がある。信じられないほどだった。ラリーのデザインは他とは全く違っていた。動物も、何もかも、サファリという場所が素晴らしい。他では絶対に見られないようなものを見ることができる。そこに行くのは素晴らしいことだし、チャンピオンシップのためにもいいことだと思う」

オジエ:「僕にとっては、4、5戦の小さな参戦計画の中で考えているラリーのひとつだ。サファリは自然や人々、そして歓迎、本当に楽しい。ラリーに対する熱意が伝わってくる。まだ何も確定していないが、ぜひ参加したいラリーのひとつだ」